27話 会議!
他のパーティも一昨日に比べていい動きができている。昨日の森に放り出されたことがいい方向に作用したみたいね。連携力が上がってアシスタントパーティの人たちも後半には息が切れてきていた。
「はい〜全体の総括です。みなさんよく連携力を高めてきましたね。明日と明後日には昨日よりレベルの高い魔物が現れる森に入ってもらいます。今まで以上に連携を意識しないと怪我をするかもしれませんからね〜」
サラッと怖いことを言ってくる。まぁ……勇者パーティを育成する目的の学校だし、仕方ないのかな……。
「では今日はこれにて解散! お疲れ様でした〜」
これで放課後ね。やっと終わったわ。
「ねぇねぇ、明日からのことも軽く話していかない?」
「おっ、ファミレスか?」
「わ、私も話したい!」
「う〜〜ん……同居人が夜ご飯作ってくれているかもしれないし、教室で話さない?」
同居人というワードに反応したのか、ユーシャが肩をピクッと動かした。
「えっ……同居人がいたの?」
「うん。言ってなかったっけ。お弁当とか作ってくれているの」
「そ、そそそそれはどういうご関係で?」
なんでそんなに必死なのよ……。
「お、落ち着いて? 同居人は……そう、友達! 友達よ!」
従者とは言えないわね。まぁ友達でも嘘ではないし、いいでしょう。
「……へー、そうなんだぁ。今度リリーのお家に行きたいなぁ〜」
……なんかいつも通りなユーシャの笑顔なんだけど怖い……。目のハイライト消えてない?
「い、いつか呼ぶわね?」
「うん。絶対ね」
なんでそんなに必死なのよ……ユーシャが家に来てくれるなんて嬉しいイベントなのに気になっちゃうじゃない。
「んじゃ早く教室行こうぜ」
「あ、うん。ごめんごめん」
はぁ……なんか知らないけど怖かった……。ユーシャみたいにいつもニコニコしている人が怒ると一番怖いのよね。ん? ということはアスセナも……深く考えるのはやめましょう。
教室に移動して席を班の形にして会議開始! 今日は他のパーティも会議をするみたいで何人かが教室に居残っている状況。
「とりあえずお疲れー! 今日は良かったね〜!」
「えぇ。みんなありがとう。私を信じて従ってくれて」
「当然だろ。リリーがリーダーなんだからな」
「むしろこっちがありがとうだよ。私1人じゃどうすればいいのかわからないし……」
みんな手応えを感じているみたいね。良かった良かった。
「明日からは昨日の森よりもっとレベルが上がるからみんな今日みたいな連携を保っていきましょ?」
「うん!」「おう!」「はい!」
「森の中みたいな場所ではどんなフォーメーションを組もうか?」
「森の中だとどうやってカウンター決める?」
「ど、どうやって支援をかければいいですか?」
みんなストイックに明日への疑問をぶつけてくれる。当然考えていたし、魔界で魔物のいる森は経験しているから対応はとれる。1時間くらい話し合って意見を詰めていった。
「……と、こんな感じかな?」
「うん! じゃあ明日、頑張ろうね!」
「おう。んじゃお疲れさん」
「お、お疲れ様でした」
今日はいい日だったわね。みんなで手応えを感じられる戦いができたし、明日以降への詰め込みもできたし、アスセナのご飯を食べられるし。……あとユーシャがいつか私の家に来ることも決まったわね。
「じゃあね、みんな。明日も頑張りましょ」
私……リーダーとしてちゃんとできているかな? 父みたいに恐怖で支配せずに……仲の良さでまとめられているかな? 本当はちょっと心配だし、不安でもある。だって魔王の娘だから。でも……
「うん! また明日ね、リリー♪」
このユーシャの笑顔を見ていたらそんな悩みなんてちっぽけなものだって思える。本当に、不思議な魅力を持つ子よね。




