23話 リリーリーダー②
結局シルディと半ば喧嘩状態になったまま、お昼ご飯の時間が終わってしまった。そのまま実習の時間に移る。
「は〜い。今日は第4運動場……もとい超下級魔物がいる森でパーティ実習を行います」
第4って……一体何個運動場があるんだろ。
「ルールは簡単。パーティで森に入ってもらって1時間過ごすこと。もちろん森の中には下級の魔物がいるので遭遇したら力を合わせて戦ってくださいね? もし身の危険を感じたらこのクラッカーを鳴らしてください。私が飛んでいきますからね〜」
なるほど……危なくなったら先生を呼べばいいのね。流石に見習いも見習いの入学したてで魔物と戦わせるわけないものね。……まぁ私は魔界の魔法さえ使えれば中級以上の魔物でも余裕で狩れるけど。
「ではスタートです。もちろん森の前でやり過ごそうなんてしていたら落第ですからね♪」
笑顔で怖いことを言ってくる……。
「よ、よし! みんな、行くわよ!」
「おー!」
「お、おー!」
「……」
シルディからは反応が返ってこない。やっぱりムキになってるのね。
恐る恐る森へ入っていく。魔物なんて慣れっこだけど魔界の魔法が使えない今、ちょっと緊張する……。そこそこの成績を残せた私ならきっと楽勝だとは思うんだけど……今回はヒラやシルディも導かないといけないしね。
「よーっし! とりあえず歩き回って1時間を過ごそっか!」
「あっ! ちょっとユーシャ!」
元気に走って行ってしまった。見失っちゃうじゃない! もう……!
「み、みんな追うわよ!」
ユーシャを追いかけてダッシュ! しばらく走ったのに全然見つからない。一体どこに行ったのよもう!
「ヒラ、シルディ、ここは一旦……って」
あれ? ヒラがいない……
「ちょっとシルディ、ヒラはどうしたの?」
「……知らない。いつのまにかいなくなってた」
「何それ!」
「何それってなんだよ。リリーはリーダーだろ? お前が見失ったんじゃないか」
「何よ!」
「何を!」
ぐぬぬ……と向かい合う。こんな森の中で叫んだら……と気がついたのは叫び終わった後だった。
「クキョー!!」
「魔物だと!?」
「マミーバード……!」
小さいけどすばしっこい魔物、マミーバードに見つかってしまった。冷静になって考えてみたらそりゃ見つかるわよね……。
「喧嘩は後! とりあえず倒すわよ!」
「おう!」
盾役のシルディが前、私が後ろで構える。
「キュイー!」
マミーバードの唯一の攻撃手段とも言えるクチバシの攻撃がシルディを襲う。でも……
「ハッ。甘いぜ!『シールド』」
盾の魔法に関しては優等生のシルディを前にそれは無意味。そして……
「『ファイアー!』」
炎の魔法で攻撃! 弱い魔物に入るマミーバードは一瞬で焼け焦げる。
「よし! いい魔法だ!」
「ナイス防御よ、シルディ!」
無意識のうちにシルディとハイタッチをする。
「「はっ!」」
そういえば喧嘩中だった……。どうしよ、気まずい雰囲気が……。
「見ーちゃった!」
「うわぁ!?」
茂みからユーシャ、それからヒラが出てきた。
「な、何!? 何なの?」
「リリーとシルディが怖い雰囲気だったからさ、仲良くなるためにヒラちゃんに協力してもらったの」
ということは……ワザとはぐれたってこと? ユーシャも、ヒラも。
「あ、あの……仲良くしてください!」
「……わかったわよ。ゴメンね、シルディ。勝手な考えを押し付けて」
「いや……アタシだって1人だけ不真面目じゃいけないよな。これから頑張るからさ、よろしく頼むぜ、リーダー」
硬い握手をする。「うんうん」と頷きながらユーシャは満足気な表情を浮かべた。
「さぁ、仲も戻ったことだし、この実習、生き抜くわよ!」
「「「おー!!!」」」
元気な声が森にこだました。……あれ? 魔物を呼び寄せるんじゃ……。




