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128話 第一回戦①

 お昼を食べ、ついに私たちの出番がやってきた。仮想戦闘空間室に移動し、先生の指示に従って席に座る。

 第11試合を終えた生徒たちはみんな憂いた顔を見せる。それもそのはずで、第11試合はセレナの圧勝だった。

 仮想戦闘空間室から出てくるセレナとすれ違った時、「次の戦いで待っているよ」と声をかけられた。特別セレナだけを意識することはないけど、そうまで言われると気にはなるわね。


「それでは転送します。3・2・1……」


 先生の声を最後に、身体が引っ張られる感覚を覚える。どこにというより、四方八方から引っ張られる感じ。少しだけ気持ち悪さもあるけど、前回の慣れがあるからどうってことはない。

 引っ張られる感じがなくなり、足元に地面を感じた。目を開けると街中のフィールドが広がっている。すぐそばにはみんながいた。


 今回も設定されているHPは100。これを削られると敗北になる。たぶん今回は魔法だけでなく瓦礫に巻き込まれるとかでもダメージを負うのよね。気をつけないと……。


『それでは第12試合を開始します。試合……開始!』


 先生の宣言によって試合が開始される。


「みんな、とりあえず高いところへ移動しましょう」


 まずは相手がどこにいるかを知る必要がある。この街中の戦闘では情報の量がものをいうと言っても過言ではないわ。


 家の屋根を伝って行こうとする。ヒラがなかなか登れなくてシルディが引き上げたりと、いろいろ困難はあるけどパーティみんなで立ち向かっていく。


「……みんな、伏せて」


 敵パーティを発見した。相手は……2人パーティみたいね。


「どうする? 行くか?」

「罠の可能性もあります」

「ちょっとあからさまに開けたところにいるもんね」

「た、たぶんどこかに他の仲間が隠れているんじゃ……」


 みんな冷静に状況を分析できるようになった。みんなで成長するって、なんだかいいわよね。

 さてあの敵をどうするか……顔は知らないから1組の生徒ではないわね。

 本来なら突っ込んでも良い場面かもしれない。でもさっきメルティ・ニアンのパーティが0ポイントの無名の子に倒された場面を見ると……どうしても足踏みしてしまう。ましてや他に2パーティがとこかに潜んでいるとあればなおさら下手に動けない。


「「「『ファイアー!』」」」


「ハッ!」


 後ろの家の屋上……いつのまにか3人が登って後ろを取られていた。


「シルディ!」


「おうよ! 『シールド』」


 シルディの盾で後方の炎は防げた。あとは……


「「『サンダー!』」」


 前方の2人。これは私が!


「『ブランクウォール』」


 私の壁で雷を止める。何人の攻撃でも、そう簡単に私とシルディの壁は破れないわよ!


「これは……」


 たぶん、異なるパーティが組んで私たちを同時に攻撃してきたのよね。やっぱり読み通り、前回優勝の私たちに対して休戦協定を結んで組んできたか……。となると……


「ユーシャ! 上!」


「了解!」


 キン! と甲高い金属音が鳴り響く。上から剣で襲いかかってきたのは知った顔だった。クラスメイトね。確か1人パーティの子よね。


「ごめんね〜。ユーシャちゃんたちは強いから、私から声をかけて協力しちゃった」


 そう言ってクラスメイトの子は笑う。

 1人パーティと、2人パーティ、それから3人パーティで結託か……数的には上回れたわね。


「どうするリリー。ヤバいぞ」


「そうね。でも……」


 私はみんなに手で指示を送る。背中を合わせて全方位に対応できるフォーメーションね。


「今日手を取り合ったばっかりのパーティに、倒されるような私たちじゃない。そうでしょう?」


 数では上回られた。でも……負ける気はしないわね。

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