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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第2章 そして彼女は動き始める。
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第19話 そして幼馴染の彼女は宣言した。


     ◇◇◇◇◇



「そうくんってばもう、優しすぎるんだから! 誰にでも優しくするのはどうかと思うよ? まったくもう!」


 修学旅行の班も無事に決まって、その日の夜。


 かおりが俺の部屋に来るなり、プンスカと唇を尖らせる。


「悪かったよ。でも、佐藤も他に班を組む人がいないってことだったんだ。さすがにそのままにしておくわけにもいけないでしょ?」

「それは、そうだけど……」


 かおりはなにか言いたそうにしてはいたが、自粛したのか口ごもった。


「そういえば聞いてなかったけど、かおりはなんで生徒会長に立候補したんだ?」


 嫉妬に関するような話題はいくら続けてもお互い良いことはないので、俺は話題を変えてかおりに尋ねる。


「あー……なんていうか、茜ちゃんが困ってたし私が力になれるならって思って……かな?」

「でも、かおりが手を上げたあのとき、佐藤も名乗り出てたよね? 佐藤に任せちゃおうとは思わなかったの?」

「それは思ったけど……」

「けど?」


 答えを急かす俺に一瞥して、かおりは続けた。


「なんか嫌な予感がしたの。あの日は生徒会室に入ったときからそうくんへの視線を感じてたし」

「視線って佐藤の?」

「そう。それで、別になに変なことがなければ任せればいいかなぁ、って思って探りを入れてみたら、佐藤さんもそうくんを副会長にしたいとかいうし……」


 そうは言われても佐藤からの視線なんて俺は感じなかったし、そもそも佐藤が俺に好意を持ってるっていうのもどうなのか。


 ここ最近になってよく話すようにはなったけれど、それまでは特に仲が良いというような関係でもなかった。


 たまにある生徒会の仕事で多少コミュニケーションをとるくらいで、それもかおりが転校してきてからは生徒会が暇になったのといつもかおりと一緒にいることもあって、ほとんどなくなってしまった。


 そんな下手したら友達ともいえるかどうかの相手に、恋心を抱くなんてことはあるのだろうか。


 佐藤が俺のことを副会長に指名すると宣言したことだけは引っかかるけれど、それも生徒会の中では比較的話せる間柄だからというだけのことかもしれない。


「まあ、佐藤が俺に気があるかどうかとかいう話は置いといて、つまりは佐藤に生徒会長になられたら困るから、かおりは立候補したってことか」

「うん。そういうこと」

「ふーん……あれ? でもそれなら中野さんに任せればいいんじゃないか?」


 さっきからでもでもと繰り返して申し訳ないが、俺はどちらかと言うと表立って色々やりたいとは思わないタイプなので、そんなことを考えてしまう。


 わざわざかおりが面倒な選挙になんて出なくても、中野さんに頑張ってもらえばいいじゃないか、と。


「それはそうだけど……」

「だけど?」


 かおりはひとつ間をおいて言った。


「私が生徒会長になったらそうくんを副会長にするって言ったのに対して、『私もそうしたい』だなんて言われたら、勝負を吹っ掛けられたようなものじゃん? そんなことされちゃったら私も引けないというか……『絶対に負けられない!』って思っちゃうでしょ!」

「……そっか」


 つまり、負けられない戦いがそこにある的な、そういうことなのか。


 なんとなくで理解した俺に、かおりは宣言する。


「だから、佐藤さんにだけは絶対に負けないからね! そうくんがどんなに良い応援演説をしても」


 それから、ベッドから起きて足早に、茜の部屋へと行ってしまった。


「茜ちゃん! 演説の練習、付き合って!」


 隣の部屋から、かおりの声が聞こえてくる。


「なんか青春っぽいなぁ……」


 一人部屋に残された俺はそう呟くと机の上に応援演説の原稿を取り出して、何度目かの添削を始めた。




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