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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第2章 そして彼女は動き始める。
78/152

第8話 そして二人は足を踏み出した。

更新遅れまして申し訳ないですm(_ _)m

     ◇◇◇◇◇



「そうくん、来たよ~。映画見よ!」

「ん? あぁ、うん。飲み物取ってくるから、適当に準備してて」


 風呂も夕飯も済ませて、ベッドの上でだらだらとしているところにかおりがやってきたので、俺は昨日と同じように台所に向かった。


 昨日したことをほとんどそのまま反復して、二人分のコップと冷蔵庫から出した麦茶のポットをお盆に載せて運ぶ。


「あ、そういえば DVD 入れっぱなしだったか」

「うん。お菓子はこれでいい?」


 部屋に戻るともう電気は消されていて、常夜灯だけの薄暗い空間が出来上がっていた。


 テレビの正面に、ベッドを背もたれにするような形で座っているかおりのその隣に腰を下ろして、俺は頷いた。


 かおりが俺に見せるように持っているポテトチップスをあけて、机の上のプラスティック製の皿に出す。


 それからテレビの設定がシアターモードになっているのを確認だけして、DVD を再生した。


 しばらくすると、画面が暗転して映画が始まる。


 映画の内容は、高校生の主人公が幼馴染の女の子を助けるために何度も何度もタイムリープを繰り返すという、青春 SF ものだった。



 何度過去に戻っても、必ず最後には幼馴染の死へと収束してしまう。


 自分が過去で少し行動を変えただけで、一見関係ないと思える色々なことに影響が出てしまうのに、なぜだか幼馴染の死だけは決められているかのように揺るがない。


 そんな世界で、何度も何度も、何度も何度も何度も何度も諦めずに過去へと遡り続ける――そんな物語。


 最後には未来の自分からの言葉に励まされ、やっとの思いで幼馴染を助けだすのだが喜んだのも束の間、彼女を救った先に待っていたのは、荒廃した破滅寸前の世界だった。


 「こんなディストピアでも二人なら」と足を踏み出したところで終わりという、何とも言えないエンディングではあったけれど、まあなんだ……泣いた。



 えぇ、彼女の隣で号泣でしたよ。はい。


「ちょっとそうくん、泣き過ぎじゃない?」

「なっ、泣いてねぇし!」

「いやいや、目腫れてるし……」

「…………」


 エンドロールが終わって、かおりが部屋を明るくして苦笑する。


 ポテトチップスは、俺が一口も食べていない間にもう二切れだけになっていた。


「まあ、なんていうか……あんなに必死になって何回も何回も助けようと頑張るって、やっぱりすごいよね。恋ってさ」

「……そうだね」


 かおりの言う通り、もしも死んでしまう運命のヒロインに主人公の想いを寄せていなかったら、早々に諦めていたかもしれない。


 目の前で何度も何度も想い人の最期を見せられて、頭がおかしくなりそうになりながらも諦めなかったのは、そこに恋心からくる執念やら何やらがあったからだとも考えられるだろう。


 恋というか、むしろ愛と言うべきか。長年一緒に居続けたが故の愛。


 『愛は世界を救う』とは言わない。むしろこの映画では愛が世界を破滅へと誘ってしまっていた。


 それでも、愛は彼女を救った。


 これだけは明確な事実だった。フィクションなんだけども。



 そんなことを考えながら、俺はぽろっと言葉を零す。


「中野さんの亮へのそれって、恋っていうより愛だよなぁ……」

「確かに……」


 間をあけずに、かおりも呟いた。


 想い人を追って転校までしてくる。そんなこと、高校生レベルの恋なんて話じゃない。ましてや父親を説得するために全国模試で一位を取ってのけたのだから、本当にレベルが違う。


 映画の内容とはなんら関係ないのだけれど、なぜだか中野さんのことを思い浮かべてしまう。



 いやまあ、自分のことを思い出してくれない幼馴染を相手に毎日のようにアプローチをかけ続けるっていうのもそれはそれで愛なのかもしれないけれども。


「ほんとにさ、なんで神木くんはすずちゃんと付き合ってないんだろうね」


 かおりの言葉に、その通りだと俺も大きく頷く。


「でもまあ、亮には亮の考えがあるんだろうけどさ……」


 そう返した俺の脳裏には、なぜだか今朝の、亮の真面目な横顔が浮かんでいた。


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