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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第2章 そして彼女は動き始める。
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第5話 そして幼馴染の彼女はやってきた。(5)

投稿が少し遅れました。申し訳ないですm(__)m

     ◇◇◇◇◇



「あんな健気な幼馴染が十何年もずっと好きでいてくれるなんて、亮も幸せ者だよなぁ」


 亮が来てからほどなくして中野さんの歓迎会はお開きとなった。


 まあ歓迎会とはいっても基本的にはかおりと中野さんのおしゃべりで終わってしまったのだが。


「そうくん、自分だってそうじゃん」


 駅までの道のその途中で、かおりはぷくっと頬っぺたを膨らませる。


「そ、そうだね。こんなに可愛い幼馴染が彼女になってくれて、俺は幸せ者だよ」

「でしょ? そうくんはもっと感謝するべきなの。然るべき対応があるべきだと思うの」

「然るべき対応?」

「ん!」


 かおりは立ち止まって手を俺の方へ差し出した。


「えっと……お手?」

「違うでしょ! まったくもう!」


 俺がかおりの手のひらの上に丸めて乗っけた右手を払いのけて、彼女は俺の左手をぎゅっと握る。


「……あっ」


 そういうことね。


 俺はそんな言葉を飲み込んで、再び歩き出した。


 恋人繋ぎ。


 朝はなんとなく恥ずかしくて、小学生みたいな握手じみた繋ぎ方をしてしまっていたけれど、今度は違う。


「私さ、恋人ができたら世界が変わるものだと思ってたんだ」


 もう星が出ている空を見上げてかおりが言う。


「え?」

「いや、なんていうか難しいんだけどさ。そうくんと付き合ったら、今までとは何かが決定的に変わるのかな……ってちょっと思ってたの」

「……うん」


 俺も同じように星空を眺める。


 少しの沈黙を挟んで、かおりは続けた。


「でもさ、実際付き合ってみてもなんか、思ったほど前と変わらないっていうか、まあ付き合って一日でなに言ってんだって感じだけど……」

「まあ……そうだね。何かが急に変わるかと言われればそうかも」

「もしも告白が失敗したら、今まで積み上げてきた関係が一気に崩れさっちゃうかもしれないじゃん? そう考えると、幼馴染に告白するって大変なことなのかなって」


 かおりが言っているのはきっと、中野さんのことだ。


 初恋の幼馴染を追いかけて転校までしてきた、そんな彼女のこと。


「それでもきっと、想いを伝えたくなるんだろうけどさ」

「じゃあ、俺らはしっかり応援してあげないとだね」

「うん。まあ、人の心配より付き合いたての自分たちのことをもっと考えろって気もしないでもないけど」


 駅前の大通りで、俺たちは二人して笑った。


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