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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
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第60話 なぜだか花火大会の後には集まって花火をする。(2)



 家から歩いて五分くらいのコンビニまで歩いていき、売れ残りの花火セットを購入する。


「よかった。まだ売ってて」

「もう夏休みも終わりだしね」


 店の端っこにひっそりと置かれていた花火は、最後の一セットだった。


それから家に一旦戻ってバケツとライターを持ち、公園へ向かった。


「なんかさ、夜の公園っていいよね」


 公園について、水道をひねりながらかおりが言う。


「俺、夜にここに来たの初めてかも」

「本当に?」


 前にも来たことがあるかのように聞き返してきた彼女に俺は少し考えたが、花火大会のことのように思い出せはしなかった。


 俺はろうそくに火をつけ、ろうを地面に垂らしてその上にろうそくを立てる。


 その間にかおりは買った花火を袋から取り出した。


「うわあ、きれい」


 火薬に火がつくと火が勢い良く飛び出して、かおりがそんな言葉を漏らす。


 花火の色は赤から黄色、そして青、緑と次々に変わっていき、そしてしぼむように消えていった。


「俺、この音けっこう好きなんだよね」

「なんか分かるかも」


 水を入れたバケツに終わった花火を突っ込むとなるジュッという音に、二人して笑みをこぼす。


「じゃあ、どんどんやっちゃおうか」

「そうだね」


 二人で消費するには多すぎるくらいの量の花火に、次々と火をつけていく。


 二、三本をいっぺんに持って振り回してみたり、一本しか入っていないちょっとプレミアムな花火を二人で楽しんでみたり。


 数十本はあっていたはずの花火が、あっという間にほとんどなくなってしまった。


「やっぱり最後は線香花火だよね」

「そうだね」


 残った花火は線香花火が一折三本ずつ。


「よし。じゃあどっちが長く続くか勝負しようか、そうくん」

「いいよー」


 もう小さくなったろうそくで、二人同時に火をつける。


 線香花火はパチパチと火花を生じながら、他の花火とはまた違った輝きをする。


 それを二人で座りながら眺めて、少し風が吹くたびに揺れて落ちそうになる火球にひやひやとさせられる。


「あっ……」


 少しだけ気を抜いてしまったのか、かおりの火球がぽとりと地面に落ちた。


「あっ、消えた」


 俺の持っていた方は地面に落ちることなく、すっと小さくなって燃え尽きる。


「俺の勝ちだねー」

「……三回勝負だもん! あと二回あるから!」


 かおりは悔しそうに声を上げて、次の線香花火を俺に差し出した。



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