表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
54/152

第54話 なぜだかお隣さんの父さんに着付けをしてもらう。

     ◇◇◇◇◇



「――はぁ、今日もやっと終わったか……」

「そうくん、着付けするから早く帰るよ! ほら!」


 補講を終えた教室で、俺はかおりに腕を引かれた。


 そう。今日はいよいよ花火大会だ。


「相変わらずお熱いねぇ」

「うるせえよ。また明日な」


 相変わらず軽口をたたいてくる亮を適当にあしらって、俺はかおりと二人で教室を出る。


 午後からの補講が終わって四時過ぎで、それから帰路を少し急いで家に着いたのが五時。


 俺は一旦家に勉強道具の入ったかばんを置くと、すぐに財布だけ持ってかおりの家へ向かった。


「おう、坊主。早く上がりな」

「はい。おじゃまします」


 藤宮家のベルを鳴らすと、かおりの父さんに家の中へと迎え入れられる。


 廊下を通って和式の畳の部屋へと案内されて――。


「――ほら、早く脱げ」

「ッッッ⁉」


 セクハラ発言を食らった。


「……坊主、ふざけてないで早くしな」


 自分の肩を両手で抱えこんだ俺に、おじさんが突っ込みを入れる。


「そういや、なにか浴衣の下に着るもんって持ってるか?」

「いや、特には持ってないですけど……」

「そうか……ちょっと待ってな」


 おじさんはそれだけ言い残して部屋から出ていった。


「あったあった。ほら、これ下に着な」


 一人で待たされること数分。


 何かを二階へ探しに行っていたらしいおじさんがドタドタと階段を下りて戻ってきた。


「えっと、これって――」

「――ステテコだよ。上は普通に無地のシャツ着ても良いし、それが嫌だったらなにも着なくても良いけど、下はパンツだけだと太もも浴衣が張り付いて気持ち悪いんだよ」

「は、はぁ……」


 人生で初めて見るステテコに、声とも息とも言えない音が漏れる。


 灰色のそれ単体で履くにはちょっとダサく思えてしまうステテコだが、俺は言われた通りにパンツの上から足を通した。


「そしたら後ろ向きな」

「はい」


 おじさんは長押なげしに掛けてあった浴衣を広げて、後ろから俺の腕を通させる。


「えっと、どっちが下でしたっけ?」

「右だよ。逆じゃ死人になっちまう」


 それから俺の周りを回って腰ひもを結んで、そしてその上から帯を、今度は俺をくるくると回転させながらセットしてくれた。


「おし、これでよし。たぶんかおりはまだ掛かるから適当にくつろいで待っててくれ」

「分かりました。ありがとうございました」

「あいよ」


 おじさんは右手を軽く上げて、部屋から出ていく。


「そうくん、お待たせ。どう……かな?」

「…………良い」


 俺に遅れること三十分。


 髪もきれいに編み込み、鮮やかな花で彩られたきれいな浴衣に身を包んで首を傾げたかおりは、破壊力抜群の可愛さだった。


少しでも気に入って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けると更新の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ