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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
53/152

第53話 なぜだか夏休みは気が付くともうあと少しになっている。

確認不足で申し訳ありません、同一話を二度投稿してしおりました。

どうぞこれからも本作をよろしくお願いします。

     ◇◇◇◇◇



「あづいなぁ……」


 ソーダ味のアイスをかじりながら、畳の上でそんな言葉をこぼす。


 二日間の熱海でのバイトから帰ってきて、家族と一緒に送り火をして、それからだらだらと過ごしていたら二日も経って今日になってしまった。と言ったらさすがに大げさか。


 でも学校の夏休みだとか冬休みって時間がすごいあるようで、なにもしないうちにどんどん過ぎていってしまうものだ。


「もう明日から補講だよ」


 当たり前のように俺の隣りに座っているかおりがため息をを吐いた。


「あ、そういえばそうか」


 すっかり忘れていた。


 俺たちの通っている芦川高校は一応自称進学校。その割に学園祭は受験が始まる秋にあるという矛盾っぷりだが、それでも長期休暇には最後の一週間ほど、全員に補講という形で模試対策をしている。


「そう考えるともう夏休みも終わりか」

「ほんと、早いよね~」


 かおりと二人で、世の学生の半分以上が思っているようなことを嘆く。


「そうくん、花火大会って今週だよね?」

「うん。水曜日だから……明々後日(しあさって)だね」


 気がつけば地元では毎年恒例の花火大会までもあと三日。


 毎年このお祭りが終わるといよいよ小中校の夏休みもあとわずかだと実感させられる、そんな祭りがもう三日後だ。


「そういえばなんかお父さんが昔着てたっていう男物の浴衣があるんだけど、そうくん着ない? 私も浴衣着てくつもりだからどうせだしさ」

「浴衣かぁ。たまにはそういうのもいいかな」

「ほんと⁉ じゃあ水曜日は学校終わったら私の家に集合ね!」


 俺の何気ない返答を聞いて、かおりは声を弾ませた。


 そのまま食べ終わったアイスの棒をごみ箱に入れて、スキップをしながら「お邪魔しました~」と言って帰っていく。


 女子というものは、お祭りに浴衣を着ていくことがそんなに嬉しいのだろうか。


 浴衣姿のかおりを想像して、思わず顔が熱くなってしまう。


「あれ? 二人で浴衣で花火大会って、これもしかしてデートなんじゃ……」


 ふとそんなことを考えてしまって、俺はそれを振り払うように残りのアイスを一気に食べ尽くした。




 きーん、と頭に響いたアイスは、夏の味がした。


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