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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
52/152

第52話 なぜだか海の家とお別れする。

     ◇◇◇◇◇



「二人とも起きな……って、うわ! 窓やられてんじゃん……」

「ん……日奈さん? おはようございます」


 すっかり熟睡していたところを、日奈さんの声で目を覚ました。


 時計を見ると、もう八時過ぎだった。


 確か昨日布団に入ったのが八時より前だったから……十二時間も寝ていたことになるのか。


 俺はそんなことを考えながら、左腕に柔らかい感触を感じて視線を落とす。


「ってかおり⁉」

「…………そうくん?」


 目をこすりながらおはよう、と続けるかおり。


 彼女の胸には抱き枕のように俺の左腕が抱えられていた。


「あの……かおり、放してくれるかな?」

「放すってなにを…………ッッッ⁉」


 かおりが自分の胸部に目をやると、寝ぼけ眼が一瞬にして大きく開かれる。


「そうくんのえっち!」

「え……俺が悪いの……?」


 いやまあ、確かに俺は一晩中ずっとその感触を味わっていたのかもしれないけれど、でもそんなの寝てて覚えてないし、まあ起きてからは少しだけ、本当にちょびっとだけ左腕に全神経を集中させてしまったかもしれないけどそれは不可抗力というもので……。


「二人とも、なに朝っぱらから夫婦漫才やってんの」

「そ、そんなんじゃないですよ!」


 はたから見るとそんなふうに見えるのか。


『べ、別に嬉しくなんてないんだからね!』とばかりに俺は即座に否定してみせる。


「はいはい。それよりこれ、大変だったでしょ。直してくれたの?」

「まあ応急処置ですけど、そのままじゃ雨も吹き込んできちゃってたんで」


 日奈さんはそんな俺の言葉を聞くと一階まで下りていき、それから二枚の封筒を持って戻ってきた。


「はい。二人分の給料。ちょこっとだけ色付けといたから」

「すみません」

「ありがとうございます」


 お礼を言ってかおりと二人、封筒を受け取る。


「もうちょっとしたらおばさんが迎えに来てくれるって言ってたから、朝飯はどこかでうまいもんでも食わせてもらいな。さすがに焼きそばとかイカ焼きばっかじゃ飽きてくるでしょ」

「分かりました」


 それから荷物を片して十分もしないうちに迎えは来て、日奈さんにお礼とお別れをして車に乗り込んだ。


「なんか寂しくなっちゃうね」

「まあ、また来年もバイトさせてもらえないか頼んでみてもいいかもね」

「そうだね」


 車窓から海が見えなくなるにつれて、なんともいえない寂寥感に駆られる俺たちだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です〜 同じ話が2話更新されちゃってますよ〜
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