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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
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第47話 なぜだかお隣さんと二人で砂浜を歩く。

     ◇◇◇◇◇



「じゃあ、明日もよろしく頼むよ。布団は二階に敷いてあるから。あんまり夜更かししないようにね」


 バイト終わりに近くのファミレスで少し早めの夕飯をおごってもらい、海の家まで戻ってきた現在の時刻は六時半。


 日奈さんはにやりと笑ってそう言うと、海の家の合鍵を置いて帰っていった。


「なんか、わくわくするね!」

「そ……そうだね」


 海の家の二階には二、三人なら寝泊りできるくらいの畳の部屋があるらしく、俺とかおりにはそこを使うようにとのことだった。


 わくわくというかドキドキというか。


 飯付きでしかも寝床まで確保してもらっておいて言うのもなんだが、そもそもいい年頃の男女を二人っきりで同じ部屋に一泊させるのはいかがなものか。


 まあ俺からしたらむしろ喜ばしいことしかないし、きっとかおりだってたいして気にしないんだろうが、それにしたってもう少し気を回していただきたいものだ。


「二階っていうより屋根裏みたいだね」


 階段をのぼって、かおりが言う。


 確かに少年心がくすぐられるような、わくわくしてしまいそうな二階だった。


「えっと、のぼって右側の部屋って言ってたよな」

「うん。左の部屋は物置に使われてるって」


 日奈さんに言われた通りに右側の部屋の襖を開ける。


「……」

「けっこう広いね。エアコンも効いてるし、思ってたより快適そう」

「……そうだね」

「そうくん、どうしたの?」


 俺は昔ながらのきれいにピタッと隣同士に並べられた二枚の布団を眺めて、息を大きく吐いた。


「いや、なんでもないよ。まだ寝るには早いし、シャワー浴びる前にちょっと散歩でも行かない?」

「おぉ~! 砂浜を散歩、いいね!」


 一階から持ってきた荷物だけ部屋に置いて、上ってきた階段を戻る。


 日奈さんが置いていった合鍵で入り口に鍵をかけて、俺たちは外に出た。


「夜になっても暑いね~」

「まだ海風があるだけましだけどね」


 少しだけ涼しく感じる海風に髪を揺らして、砂浜を二人並んで歩く。


 波打ち際の夕方の砂浜を端から端まで歩くなんて、なんだかすごい青春っぽい。


「ねぇそうくん、なにか思い出さない?」


 少し歩いたところで、かおりが口を開いた。


「……? いや、まったく」


 もしかすると、前にもここへ来たことがあるのだろうか。


 ぜんぜん思い当たる節はないけれど……。


「まあ、一緒に熱海に来たことなんてないから当たり前なんだけどね」

「なんだよ!」


 思わず声を荒げた俺を見て、かおりが面白そうに笑う。


「まあでも、今ここを歩いたことは忘れないでよ?」


 いきなり数歩前まで駆けだしてくるりと振り返った彼女を、俺は直視できなかった。


 昼間の人でごった返したビーチとはうって変わって、この広い砂浜全体が自分たちだけのものなんじゃないかと錯覚するような静寂が流れる。


「ちょっと座ろうか」

「うん」


 十分も歩くとさすがに疲れてきて、俺たちはビーチの端にある小さな堤防に腰を下ろした。


「陽が落ちてからの砂浜も悪くないね」

「ロマンチックだよね」


 堤防の上に背中も投げ出して、仰向けに寝転がる。


「……かおり」

「ん?」

「空、すごいね」


 なんで今まで気が付かなかったのか。かおりと砂浜を歩くのに夢中でそれどころではなかったのか。


 とにかく――。


「……すごい真赤」


 ふと見上げた海の家の方角の空は、台風が近づいてきているだなんて考えられないほどに澄んだ夕焼けだった。


「明日、晴れそうだね」


 しばらく西の空に見惚れて、俺はそう零す。


「……そうだね」


 翌日の大荒れなんて覆してしまいそうに思える、そんな空だった。


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