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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
42/152

第42話 なぜだかお隣さんとキャンプに行く。(2)

     ◇◇◇◇◇



「でもよかったよ。かおりがまたこうやって坊主と遊ぶようになって。俺の転勤の都合でかおりには迷惑かけたからな」


 川遊びから戻り日も暮れてきて、皆で薪の上にセットされた四つ足の金網を囲いながら肉や野菜を焼いている中、かおりの父さんがぽつりとそんなことを言った。


「ほんと、かおりったら転校で奏太くんと離ればなれになったときなんて、一月以上あなたと口を利かなかったものね」

「かおり、そうなの?」

「お母さん! 余計なこと言わないでよ!」


 俺に補足説明をするかように付け足したおばさんをかおりは責め立てる。


「なあに言ってんだ。こちとらお前があのままずっと口を利いてくれなかったらどうしようかとひやひやしてたんだからな!」

「そうよかおり。お父さんったらそのことをずっと気にしていて、山梨への転勤の話が出たときにはいの一番に俺を行かせてくれって上司に直談判したんだから」

「え? お父さん、それ本当?」

「おい、余計なことを言うなって!」


 ついさっき聞いたような文句を今度は美少女ではなく中年のおっさんが言った。


「おじさん、かおりのこと大好きなんですね」

「うるせぇ! おら、お前は男なんだから肉食え、肉を!」


 おじさんに肉を盛り付けられて、仕方がないので豪快に三枚ほど箸でつかんで口を大きく開ける。


「……うまい」

「当たり前だろうが。俺の焼いた肉だぞ? ほら遠慮しないでどんどん食え」

「普通にスーパーの安売りで買ったんだけど、喜んでもらえたなら嬉しいわ」

「おい、そういう雰囲気壊すようなこと言うなって」


 普通にスーパーで買った肉ではあるらしいが、鉄板やフライパンで焼いても絶対に出せないであろう香ばしい風味。


 外でわいわいキャンプをしながらの食事だということで多少補正はされているかもしれないが、それでも普段食べるような焼肉とは一味も二味も違った。


「そうくん、私にも一枚ちょうだい~」

「二枚でも三枚でもあげるよ」


 おじさんが追加で載せてきた肉をかおりの取り皿に移し替える。


「んっ、本当だ。おいしい!」

「当たり前だろ。俺の焼いた肉――」

「そうくん、肉ばっかりじゃなくてこの玉ねぎも食べてみて。すごい甘くておいしいよ!」

「あ、あぁ」


 しょぼんと小さくなっているおじさんはスルーして、俺は玉ねぎを頬張った。


「ほんとだ。すごい甘い」

「それもスーパーで――」

「お母さん! 雰囲気壊すようなこと言わない!」


 両親を二人とも黙らせて、鼻息を荒くするかおり。


「まあまあ。おれちょっとトイレ行ってくるから、適当に食ってて」

「おっ、じゃあ俺もちっと行ってくらぁ」


 俺はおじさんと男二人で仲良く連れしょんと興じることにした。


 いや、愉快なことはなにもないのだけれど。


 少し酔っているのか、顔を赤くしているおじさんとトイレで横に並んで言葉を交わす。


「本当に、これからも仲良くしてやってくれよ?」

「まあ、それは心配ないですよ」


 それからぼそっと「かおりを泣かしたらただじゃおかねえからな」と付け足して、おじさんは先に外へ出た。


「――おっしゃー、今日は飲むぞぉ!」


 テントに戻って食事を続けて、ビール缶を一本開けたところでおじさんはだいぶ出来上がっていた。


 顔を真っ赤に染めて、もっと食えもっと食えと取り皿に肉をよそってくる。


「お父さん、酔っぱらい過ぎだって……」

「やっぱり親子なんだな」

「え? それってどういうこと?」


 下田旅行の旅館のワインチョコで記憶をなくしたかおりを思い出して、俺は少し頬を緩めた。


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