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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
22/152

第22話 なぜだか旧友とばったり再会する。(1)

◇◇◇◇◇



「――で、なんとかするんじゃなかったのかよ」

「……」


 放課後。


 帰りのホームルームが終わり、ちょっとトイレへ行って教室に戻て来たところで

亮に声をかけられた。


「今日も一緒に帰らないのな」

「そんなこと言われても急にどうこうなるもんでもないだろ」

「あっそ。俺はもう部活行くからな」

「あいよ。頑張って」


 自分から話しかけてきたのにそれだけかよ。


 亮は部活道具の入ったエナメルバッグを肩にかけて、早足に教室から出ていく。


 俺だけが教室に取り残されてしまったので、仕方なしに一人寂しく帰ることにした。


 かおりは今日も、ホームルームが終わるなりすぐに帰ってしまった。

 月曜日からもう三日も続けてこの調子だ。


 彼女が転校してきてから毎日のように一緒に歩いた駅への道を一人で歩く。


 かおりと帰るようになる前までは一人でもなにも感じなかったのに、今はやはりどこか物足りないような感覚に襲われてしまう。


 距離ができて初めて与えられたものの大きさに気づくなんて、皮肉なものだ。


 歩道のタイルの目を眺めながら、ひたすらに歩く。

 何も考えずにこうしていると、感覚的な問題ではあるけれど、不思議と早く進んでいるように思えるからだ。


 話す相手もいないとこの十数分がやたらと長く感じてしまうので、無心でただ足を動かす。


 歩いて、歩いて、歩いて――。


「――あれ? もしかして水瀬?」


 聞き覚えのある声に、肩を掴まれて引き止められた。


「ん? えっと……日向ひなた?」

「そうだよ! めっちゃ久しぶりじゃん! 今帰り?」

「ま、まぁ」

「じゃあ一緒にファミレスでも行って話でもしようよ! よし決定。サイザリア行くよ!」


 怒涛の勢いで話を進めて、俺の肩をぐいぐいと押してくるこいつは、日向成海ひなたなるみ

 中学時代にはそれなりに仲の良かった、俺の数少ない友人のうちの一人だ。


 前と変わらず程よく筋肉のついた手足はよく日に焼けていて、胸の方も相変わらず……うん。小さい。


 日向とよく話すようになったのは中学に入ってからだったが、小学校も同じではあった。

 もしかしたら、かおりと俺の昔のことも多少は知っているかもしれないし、これを機に少し聞いてみてもいいかもしれない。


「ご注文がお決まりになりましたら――」

「――あ、私はマルゲリータピザとペペロンチーノ、あとミラネーゼドリアで! 水瀬はあれでいいのか? えっと、なんだっけ……アラビアータ?」

「あ、うん。それでいいよ」


 日向は俺たちを席へと案内してくれた店員の言葉を遮って、速攻で注文を済ます。


「お前頼み過ぎだろ。夕飯前だぞ?」

「いいんだよ。普段から動いてるから。それより水瀬の方が男のくせに食わなすぎるんだよ」


 酷い偏見だ。

 男にだって小食はいるっていうのに!


 そういえば日向は中学時代、陸上部のエースだった。

 きっと高校でも陸上を続けているんであろうことは、その引き締まった脚を見ればなんとなく想像がついた。


「余計なお世話だよ。それより日向、よく俺がアラビアータを好きだって知ってたな」

「ん? あぁ、前に一回だけ二人でサイザに来たことがあっただろ? あたしのおごりで。その時に言ってたのを覚えてたんだよ」

「そういえばそんなこともあったような……」


 よくもまあそんなことを覚えているもんだと、俺は心の中で感心する。


 俺なんて言われるまで一緒にサイザに行ったことなんてすっかり記憶の彼方だったのに。

 いったいどういう経緯があって日向におごってもらうことになったのか、甚だ不思議だ。


「そうだ。そういえばさ」


 かおりとは相反して、待ち時間はスマホをいじって過ごす日向に、俺は口を開く。


 日向はなにかと俺に視線を向けながらコップの水を口に含み、続く俺の言葉を聞いて――。


「小中のときにいた藤宮かおりって覚えてるか? 今、あいつ同じ高校にいるんだけどさ」


 水を俺の顔に向かって、盛大に噴き出した。


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