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第3話 それから、カフェでカレーを食べる。

投稿が滞ってしまいすみません。これからどんどん忙しくなるので投稿頻度は落ちるかもしれませんがエタることはないと思うので気長にお付き合いいただければ幸いですm(__)m

               ◇◇◇◇◇


 と、いうことで。


「この合格祈願のお守りひとつください」

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」


 家から歩いて十五分ほどの神社に着くと、さっそく境内にある授与所で五百円玉と引き換えにお守りを受け取った。一応その前にはお賽銭を投げて参拝もしたけれど、正月以外に観光地でもない地元の神社に来るなんてけっこう新鮮だった。


「どこかでお昼でも食べて帰る?」

「うーん……俺は別に家でもいいかな。時間あるならもうちょっと勉強しようかなって」

「もう、そうくんはちょっと真面目すぎなんじゃない?」


 笑顔で見送ってくれた巫女さんと別れてとぼとぼと歩道を歩きながら、かおりは頬っぺたを気持ち膨らませる。


「まあかおりが行きたいところあるなら付き合うけどさ」

「え、ほんと? さすがそうくん! 実は最近、すぐそこに新しくカフェが出来たんだよね。個人経営のお店で雰囲気もかなり良さそうだったの」

「じゃ……じゃあ、そこにいこうか」


 かおりが行っていたお店は本当にすぐ近くだったようで、ほとんど家への帰り道の途中といっても差し支えのないくらいの場所に、ひっそりと佇んでいた。


「いらっしゃいませ。二名様でよろしいですか?」

「はい」


 カラン、と引き戸のベルを鳴らして店内に入るとすぐさま白髪の店主らしき人が出てきて、席まで先導してくれる。


「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」


 狭めの店内で二つしかないテーブル席のうちのひとつに俺たちを案内をして、それからお冷とおしぼりを出して、主人はカウンターの向こうへと戻っていった。


「やっぱりなんかおしゃれだね」

「でしょ!」


 手作りのメニュー表を眺めながら、時々店内に視線を散らす。狭いけれど息苦しくならないスペースは確保されていて、なにより一言で表すなら『アンティーク』という言葉を使うのがぴったりな椅子やらカウンターやら棚やらが、本当に心地いい空間を作り出していた。


「そうくん、決まった?」

「んー、かおりはもう決まったの?」


 まだメニュー表の半分も目を通していなかったので、慌てて文字を目で追いながら質問に質問で返す。


「うん。これなんだけど」

「……なるほど」


 かおりが指差したメニュー表の一番下には、苺やブルーベリーがカラフルに盛り付けられた豪華なパフェの写真があった。女子受けするのは間違いなさそうだし、ましてやかおりだ。これを頼むのも納得だ。


「なるほどってなに⁉」

「いや、かおりらしいなぁって」


 むぅ、と可愛く唸るかおりをいなして、俺は机上のコールベルを鳴らす。ファミレスみたいなボタン式のベルだとせっかくの店の雰囲気が崩れてしまいそうだけど、しっかり金属のアナログなベルなところがまたなんとも良い。


 急いで自分が何を頼むかを決め注文を済まして、それから五分ほどすると品が運ばれてきた。


 かおりが頼んだ可愛らしいクレープにカプチーノ、それと俺が頼んだ野菜カレーを順に机に置いた店主がカウンターの向こうへ戻っていくのを見送ると、俺は手を合わせてさっそくいただくことにする。


「なんかカフェでカレー食べるって面白いね」

「いや、そもそも昼飯をどこかで食べていかないかって誘ってきたのかおりじゃん」

「そうは言ったけどさ」


 かおりはパフェをスマホで手早く撮影して、カレーを口に運ぼうとする俺の邪魔をしてきた。


 だいたい、カフェっていうのは軽食を取るようなところなんだから、本来はカレーを食べるのもまったく変じゃないはずだ。なのに最近の女子っていうのは映えるスイーツがどうだとかそういうことばかりを気にしていて、本来正しいはずのお店が淘汰されてしまいそうで少し怖いくらいまである。



「……ってこれうまっ!」



 かおりの視線から目を逸らして一口、スパイシーな香りが漂うカレー咀嚼して、思わずそんな声が飛び出た。


 あまり辛い物が得意じゃない俺でも美味しく食べられて、でもしっかりピリッとはしていて。素人舌でもしっかりとその奥に旨味があると感じられる、そんなカレーだった。


「え? そんなにおいしいの?」

「うん、たぶんそこら辺のカレー専門店とかよりうまい。まあ? 華の女子高生であるかおりはこんなおしゃれなカフェでカレーを食べたりなんてしないだろうけど?」

「そんなことない! 食べる! ちょーだい!」


 必死におねだりするかおりがなんだかおかしくて、あえて見せつけるようにしてカレーをぱくぱくと食べ進める。


「そうくん! カレーくれないならこのクレープ、一口あげないよ!」

「なっ……それは卑怯な!」


 確かにクレープも美味しそうだな……と一瞬考えこんだ刹那。



「――もらった!」



 俺の手に握られたカレーを掬ったスプーンに、かおりがかぶりついた。


「あっ」

「ふっ……って、おいし!」


 俺を出し抜いて得意げな表情になったのも束の間、すぐに満面の笑みが咲く。


「そうくん! もう一口!」

「えーどうしよっかなー」

「お願い!」


 いつになく必死なかおりに笑ってしまいそうになりながら、俺は時々かおりにも分けてあげて、ほんの数分で完食した。


 そのあとに食べたクレープもかなりおいしくて、満足した俺たちが二人そろってお守りを渡すのを忘れたのは、茜には内緒だ。


 しっかり次の日に渡しておいた。


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