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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第1章 なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。
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第14話 なぜだか目を覚ますとお隣さんが隣で寝ている。

◇◇◇◇◇


「奏太、早く起きないと――って、かおりちゃん泊まってったの⁉」

「ん……。ん?」


 球技大会当日。

 いつものように茜に起こされた俺は二度寝に入ろうとして、いつもとの違いに気づく。


「かっ、かおり⁉ 離れろって!」

「むぅ……そうくん……むにゃむにゃ」


 目を開けたら、すぐ息がかかるくらいの距離にかおりの顔があったのだ。


「ふぅ……」


 落ち着け俺。

 

 確か昨日はマッサージをしていたらかおりが眠ってしまって、さすがに一緒のベッドで寝るわけにもいかないので床の上で寝たはず。


「まあ、ゆっくり来るといいわよ。うん。私は先に行ってるから」


 寝起きで現状についていけていない俺に、茜はニヤニヤと笑いながら言って部屋から出ていく。


 俺が今寝ているのは間違えなくベッドからそう離れていない床だ。


 そしてかおりは、俺とベッドの間に潜り込むようにして寝息を立てている。


「あっ! あのときか……」


 だんだんと頭が冴えてきて、ふとこの現状を作り出した原因に思い当たった。

 確か明け方ごろ、なにかが床に落ちたような音がした気がする。


 そう思って改めてかおりを見てみると、可愛らしいピンクのパジャマがところどころはだけていた。


 おへそはちらちらと見えているし、胸元からはモノトーンのキャミソールが顔をのぞかせているし。


 なんというかもうそれはそれは、教育上あまりよろしくない光景が眼前に広がっていた。


「寝相悪すぎでしょ……」


 幸せそうにすやすやと眠っているかおりを見ていると、俺まで口元が緩んでしまう。

 普段からそうだとは思うけれど、こうやって落ち着いて見てみるとかおりはやっぱり可愛い。


「かおりー。朝だぞー」

「……」

「おーい。そろそろ起きなって」


 その天使のような寝顔にそそのかされてか、俺は目を覚ます気配のないかおりに少しだけ魔が差してしまった。


 ぷにっ。ぷにぷに。


 見るからにすべすべな頬っぺたを俺は人差し指でつんつんとつつく。


「……」


 つんつん。


「……」


 つんつんつんつん。


「むぅ……ん……そうくん⁉」


 そして、俺は調子に乗りすぎた。


「なっ、なんでそうくんがここに……」

「いや、俺は最初からここで寝てたんだけど」


 目を覚ましてきょろきょろとするかおりに、そんなことを言う。


「っていうか、寝ている女の子にいたずらするなんて、立派なセクハラだよ!」

「いや、全然起きないからさ……」

「もう! そうくんのむっつり!」


 ぷんぷんと効果音が出ているんじゃないかと思うような仕草のかおりに少し後ろめたさを感じ、俺は目をそらした。


「――っていうことがあったんだよー」

「おいおい奏太。お前、藤宮とは仲が良いとは思っていたけど、お泊り会なんてするほどだったのかよ」


 場所は変わって朝の教室。


 珍しく早くに学校に着いた俺たちは、これまたいつになく朝早くに登校してきていた亮と教室で出くわした。


 そして何気ない雑談をしていたはずが、話が逸れてそれて話題は今朝の家での出来事に。

 おかげさまで、俺は亮にニタニタと笑われる羽目になっている。


 それもこれも、かおりが「あっ、そうくん家にパジャマ忘れてきちゃった。朝家にもどったときに持って帰ろうと思ってたのに!」とか急に言い出したせいである。


「……別にお泊り会だなんてそんなもんじゃない」

「じゃあなにか? 藤宮がたまたま夜にお前の家にやってきて、たまたま眠り始めて、気が付いたら朝だったと、そういうことか?」


 亮は水を得た魚のように言葉をたたみかけてくる。


「……」


 あながち間違ってない。むしろ限りなく正解に近いんだが。


 エスパーかよこいつ。


「そんなわけねぇよな? ったく、こんなかわい子ちゃんが家に来るってだけでも羨ましいのに、まさか泊まりなんてな! 奏太も俺を置いて遠くに行っちまったもんだぜ……。女子とはほとんど関わりもない哀れな俺に、せめて話ぐらい聞かせてくれたっていいとは思わないのか?」

「思わないな。そんなことより俺たちはそろそろ体育館へ行くぞ。開会式の準備があるんだ」


 だる絡みを続ける亮を適当にあしらい、かおりと一緒に体育館へ向かう。


「おい! 俺も手伝うから置いていくなって!」

「勝手にしろよ」


 かまってちゃんな親友が追いかけてくるのを横目で見て、俺はくすっと少しだけ笑った。


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