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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第3章 そして彼女は想いを伝える。
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第34話 そして、彼女は想いを叫ぶ。(1)

昨日は体調が悪くて更新できませんでした。すみませんm(__)m

     ◇◇◇◇◇



「かおり、じゃあ俺、ちょっと先に行くから、亮たちとでもゆっくりおいで」



 二手に分かれた地点から、鳥居に囲まれた階段を早足で上り進めること二十分。おそらく、あと十分も掛からずに頂上までは着くであろうそんなタイミングで、俺は口を開いた。


 この長い道をかおりをおいて一人で上るなんてことはしなかったが、一応、頂上には別々に到着した方が良いだろう。『別々に』というより『俺が一番に』と言った方が良いかもしれないが。


 とにかく、俺たちに少し遅れている亮と中野さんにかおりを任せることにして、俺は足を動かすペースを上げる。


 佐藤がいつもなら絶対に言わないようなことを言って、絶対にしないようなことをした理由は、なんとなく想像できた。昨日の件が関係しているであろうことは考えるまでもないだろうし、たぶん、その不完全燃焼に終わった告白の続きをしようと考えているんだろう。


 俺にだけ念押しをして手を抜かないようにと言ってきたのも、頂上で二人きりになれるようにするためなんだと思う。


 これまでとは違って、佐藤が俺に好意を寄せているということを認めた途端、やたらと彼女の意図が分かるようになった気がする。


 かおりたちとあまり僅差で頂上に辿り着くわけにもいかないので、俺はさらに足を動かすペースを上げる。早歩きというよりむしろ走っているという方が正しいくらいのスピードで階段を上る。


 同時に、心の中をしっかりと整理する。昨日の夜、寝れずに色々と考えていたおかげもあってか、そんなにごたつかずに片付けることができた。


 息が少し上がってくるが心中は思いのほか冷静で、それもきっとかおりという彼女がいて、佐藤への答えがもう決まっているからなんだと、そう思う。


 しっかりと彼女の言葉を受け止めて、お礼を言って、そして、正直に自分の気持ちを伝えることが俺のするべきことなんだろう。それが、今まで佐藤の想いに見て見ぬふりで応えてきた、俺がやらなきゃいけないことだ。


 いよいよ頂上が見えてきて、俺は足を止め、大きく深呼吸をした。上ってきた道を振り返って見下ろす。


 かおりたちとはだいぶ離れただろうし、少なくとも五分は遅れてくると思う。


 呼吸を整えながらゆっくりと確実に、一段一段を踏みしめるようにしてゴールへと向かう。


 残り数十段だったのが、十段、五段、と減っていく。


 佐藤が選んだ左回りのルートは俺たちよりも大変らしいけれど、それも見越して序盤にかおりとゆっくり歩いていたのでもう彼女も先に着いているだろう。


 あと三段、二段、一段。徐々に終着点が視界に入ってきて、その先では佐藤が――。



「わたしだって水瀬のこと、ずっと、ずっと好きだったよ! でも、これは……この想いは、あいつのためにならないんだよ! だから決めたの。わたしは、あいつの友達でいようって。あいつの幸せを壊すことになるかもしれない小春の告白は阻止しようって!」



「ひ、なた……?」



 否、佐藤に相対した日向が、大声で、叫んでいた。




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