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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第3章 そして彼女は想いを伝える。
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第28話 そして金閣派と銀閣派で意見は分かれる。

    ◇◇◇◇◇


 枯山水をたっぷりと堪能した俺たちは龍安寺から十分ほど歩いて、京都で一番有名と言ってもいい金閣寺へと向かった。


 例のごとく拝観券を購入して、観光客の間を縫って進む。龍安寺よりも人が多かったのも、紅葉に囲まれた金閣を見れば納得だった。



「ねぇ、みんなで写真撮らない?」



 佐藤の一声で金閣をバックに、集合写真を撮る。撮影はちょうど通りがかった老夫婦に、佐藤がお願いしてくれた。


「にしても、この時期の金閣寺ってこんなに綺麗なんだね」

「ねっ! 私も写真でしか見たことなかったけどすごいね」


 はぐれないように皆が誰かしらのリュックを掴んだ状態で、のしのしと進んでいく。


 きっと修学旅行でもなければこんなに混む季節になんて絶対に来ないだろうけど、それでも一生のうちで一度は見ておいてもいいかなと思える絶景だった。


「意外に見るところなかったね」

「まあ、金閣寺はそんなもんだよ」


 本当に現実離れしたひと時だったが、それでも基本的には黄赤と金色に染め上げられた池の周りを歩いていれば三十分足らずで見終えてしまい、予定より少し早いがバスで銀閣寺へ向かうことに。


 帰り際には金箔入りの梅昆布茶を買っていかないかとおばちゃんにせがまれてしまったが、もう龍安寺で買ってしまったのでと断ったのは中学時代と変わらなかった。


「移動時間、けっこう長いよね」

「それが旅の楽しみのひとつみたいなとこもあるしね」


 銀閣寺までは五十分ほど。確かに金閣寺の散策時間よりも長いかもしれない。


 今日はこれから銀閣寺に行ったら、清水寺周辺で長めの時間を取って、そのまま流れで祇園へ。お土産などを揃えたら、六時にはホテルに戻る予定だ。


 なんとか確保できた席にかおりを座らせて適当に駄弁っているうちに時間も過ぎて、あっという間に銀閣寺に到着する。


 バスに乗っていた乗客の多くは俺たちと同じ目的だったようで、かなりの大人数が銀閣寺前に下りた。


「私、銀閣寺の方が金閣寺よりも好きなんだよね」

「おっ、それ分かる。金閣寺は派手で綺麗だけど、銀閣寺の方が落ち着く感じというか居心地がいいというか」

「み、水瀬くんも? やっぱりそうだよね」

「そう? わたしは派手な金閣のが好きだけど」

「日向はわびさびを理解するにはまだ早いんだよ」


 佐藤や日向と無駄話をしながら、お金を払って中へと入る。


「ていうかなんか昨日から、佐藤と日向ずっと二人でいないか?」

「は⁉ そんなことないぞ?」

「そういわれてみると、そうかも」


 反応は真逆だけれど、どうやらだいぶ仲良くなれているみたいで良かった。日向も転校してきたばかりで不安なこともたくさんあるとは思うが、誰か一人、困ったときに頼れる友達がいれば心強いだろう。


 銀沙灘、向月台、銀閣が一直線に並ぶ場所で立ち止まり、周りの観光客と同じようにスマホで写真を撮る。


「やっぱり私はこの景色の方が、金閣より好きだな」

「そうだよな」


 佐藤の小さい呟きを拾って、それからスマホをしまいまた歩き出す。



「み……水瀬くん、このあと――」


「――そうくん! こっちもきれいだよ? 早く早く!」



 立ち止まったままの佐藤が思いつめたような顔で、何かを伝えようとしたようだったが、かおりに腕を引っ張られた俺には、その言葉の続きは聞こえなかった。


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