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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第3章 そして彼女は想いを伝える。
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第10話 そして三人目の転校生はやってきた。(2)

更新遅れましたm(__)m



「「「「「え?」」」」」



 日向の言葉に、思わず五人の反応がきれいに重なった。


「いやだから、来月の修学旅行、水瀬の班に入れて欲しいなって」

「…………」


 いやまあ、聞こえてはいたんですけど。


 突然の申し出に、黙り込んでしまう。


「ほら、あたし今日転校してきたばっかだし、こんなタイミングだから班ももう決まってるじゃん? だから知り合いとかがいたらその班に入っていいぞって先生が」

「そう……なのか」


 考えてみれば、今日初めてこの高校に来たばかりで、出会ったばかりの人に混ざって班行動しろだなんて、さすがに鬼畜すぎる。昔から日向は誰とでも仲良くなれるような奴だったけれど、顔も知らないメンバーでもう決まったグループに入っていって気まずくないわけもなかろう。


「で、どうなの? これ断られるとわたし、結構困るんだけど……」

「俺はいいよ。みんなが良ければ全然オッケー」


 珍しく日向が本気で困っていそうな顔をしていたので、俺は承諾して他の四人に視線を振った。


「私はいいよ。日向さん同じクラスだし、私も仲良くなりたいし」

「俺も、奏太しか知り合いいないならそれでいいと思うぜ」

「私も」


 みんなも快く頷いて、そして揃ってかおりの返事を待つ。


「…………仕方ないなぁ……むぅ」


 雰囲気に押されてか、かおりも不満げながらもなんとか認めてくれた。


「良かった。自己紹介もしてなかったけど、日向成海です。みんな、よろしくね」


 俺とかおりは顔見知りなので、亮と中野さん、それと一応佐藤さんが簡単に自己紹介を返す。



「(そうくん、どうなってるの!)」

「(どうって言われても……なにが?)」

「(なにがって、そうくんのこと好きそうな女の子がこんなに都合よく転校してきて、しかも修学旅行にも一緒に行くことになるなんてご都合展開が普通に考えてあるわけないでしょ! どうなってるの、もう)」

「(そ、そう言われても実際にありえてるし……っていうか、日向は別に俺のこと友達としか思ってないからな⁉)」

「(そんなのそうくんには分かんないじゃん!)」

「(それを言ったらかおりにだって!)」



「――えっと、とりあえず今のところ、京都に行こうってところまでは決まってるんだけど、日向さんもそれで大丈夫かな?」


 こそこそと俺とかおりとの会話がいつまでも続いてしまいそうだったのを見かねてか、佐藤がコホン、と咳払いをして話をした。


「うん。途中から入れてもらった身だし、そこは全部任せるよ」

「そっか、良かった。じゃあ昼休みは修学旅行の話をしたりもするから、明日からは日向さんも一緒にお昼食べるってことでいいかな?」


 こういうときに、やっぱり佐藤は気が回る。すんなりと話が進むように上手くやってくれる。


 佐藤の問いにみんなで頷き、この話はここでおしまいということで昼食を再開することにした。


「(かおり、またどこか行きたいとことかある?)」


 今回は日向が班に入ったことでかおりとの時間が減るようなことはないとは思うけれど、それでも佐藤の件で長らく我慢をさせていた直後にこれというのも少し申し訳ない。故にかおりの肩をツンツンとつついて、他の人には聞こえないくらいの小声で言う。


「(そういえば、駅前に巨大パフェが売りのカフェがオープンしてたなぁ)」

「(…………奢ります)」


 ため息を吐きかけて、しかしニコッと笑った彼女を見てそれをやめた俺だった。


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