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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第3章 そして彼女は想いを伝える。
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第2話 そして久しぶりの席替えをする。

     ◇◇◇◇◇



「亮! お前、中野さんの入部断ってたってほんとかよ!」

「全校生徒の前で告白するくらいお前のことを想ってくれてるってのに」

「ったく、もっと大切にしてやれよ? 俺らは中野さんがマネージャーになってくれるっつーなら大歓迎だぜ」

「なっ、なんでお前らが知ってんだよ!」


 かおりに腕を引っ張られて教室に入ると、朝っぱらから亮がサッカー部の連中に囲まれていた。


「なんでってそりゃ……風のうわさで……」


 問い詰められたうちの一人が、下手くそな口笛を吹きながら亮から目を逸らす。


 俺とかおりはそんな光景を眺めながら、だいぶ座り慣れてきた窓際の自席に腰を下ろした。


「おいすず、お前だろ」

「なっ、何のこと? わたしは知らないけどっ?」


 席に座っていた中野さんが急に話を振られて、やけにそわそわとし始める。


 あっ。これ話したのたぶん中野さんだ。


「いや、逆にそれでしらばっくれてるつもりなのかよ」

「…………」


 やっぱりそうだったらしい。


「まっ、まあまあ。とにかく、マネージャーなら一人でも多い方が良いだろ? 中野さんが入りたいって言うなら入れてあげればいいじゃんか」

「そうだそうだ!」

「照れてんじゃねえよ!」

「別に照れてるわけじゃねえからな!」


 中野さんの味方をし始めたサッカー部三人に、亮は少しだけ気圧されそうになる。


「ほら亮、みんなもこう言ってくれてるんだし、いいでしょ? サッカー部に入ったって」

「……いやでも、勉強にも支障が出るだろうし、お前の親父が知ったら絶対面倒なことになるだろ」

「それはおいおいなんとかするよ! 勉強だって今まで以上に頑張るし。だからさ、ね?」


 上目遣いで懇願する中野さんに亮が根負けしそうになったところで、ホームルーム開始のチャイムが響き、担任の木本が教室に入ってきた。


 サッカー部の連中もどたばたと自分の席へ戻っていく。


「はい、おはよう。突然だが、かねてよりそろそろ席替えをしたいという要望が多かったので、席替えをする。くじを委員長が作ってきてくれたから、出席番号順に前にきて引いてくれ」


 木本は入ってくるなり教卓に両手をつき、やる気なさげにそう言ってくじが入っているであろう小さめの袋を取り出した。


「マジ⁉ やったぜ!」

「え? 聞いてないんですけどー」

「てか、やるの遅すぎじゃね? 前に席替えしたの五月だろ?」


 クラスの話したこともない奴らが次々にはしゃぎ始める。


 木本は注意するのも面倒くさいのか教室の端にある椅子に腰かけて、あとはお好きにやってくれといった様子だ。


「席替えかぁ。ずっとこのままでいいのにね、そうくん」

「まあ、俺らは窓際の後ろなんていうベストポジションだからね」

「……そういうことじゃなくて!」


 かおりは後ろの席で急にそっぽを向いてしまうし、なんだかなぁ……。


「次、藤宮だぞー」


 そうこう話している間にかおりの番が回ってきたようで、かおりは俺とは目を合わせずに教卓に向かう。連番の俺もその後ろにぴったりくっついて、かおりとほとんど一緒にくじを引いた。


「えっと、四十番だから……」


 黒板にクラス委員長が書いた番号と席の対応表を眺めて、自分の席を探す。


「「あっ、あった」」


 かおりとほぼ同時に見つけたその席は、廊下側の最後列。


「そうくん、またすぐ近くだね!」

「うん。良かったね」


 ニコッと笑ったかおりが見つけた席のすぐ隣だった。


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