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なぜだか隣の家の転校生の好感度が高すぎる。  作者: 鞘月 帆蝶
第2章 そして彼女は動き始める。
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最終話 そして彼女は想いを巡らせた。(2)(小春 side)

今日は予定より時間が少し早いですが、更新します。2章の最終話になります!

     ◇◇◇◇◇



『水瀬くん、今日まで本当にありがとね。これからも副会長として支えてくれたらありがたいな』



 スマホの画面をタップして、文を打ち終えては消して。ベッドに寝ころびながら十数回はそうした後に、私は思い切ってメッセージを送信した。


 この一か月で水瀬くんと連絡を取りあう機会はぐんと増えたけど、私は相変わらずメッセージひとつ送るのにもがちがちに緊張している。


 これで返信が全然ないようじゃあ仕方ないとも思えるのだけれど、彼はかなりまめで、ほとんどの場合数分後には返信がくるんだ。


「あっ」


 今回も例に漏れず、既読の二文字が私の送ったメッセージの下に付いた。


『学校でも言ったけど、今日の結果は佐藤の努力の成果だよ。俺の方こそ、これからもよろしくな』


 通知音とともに画面に浮かんだ返信を見て、私は大きなため息を吐く。少しの嬉しさと空しさを孕んだ、そんな乙女心の詰まったため息だ。


「ほんと、ずるいんだから……」


 誰に言うでもなく、本音が零れ落ちる。


 ずるい。水瀬くんはずるい。


 私に優しくしておいて、でもそれは彼にとっては当たり前のことで、私のことなんてただの友達くらいにしか思ってなくて。私の気持ちになんてきっと、まったく気づいていないんだろう。


 でも私は、そんな彼のことを好きになってしまったんだ。


 なにげなく手を差しのべてくれる彼の手が、私のためだけにあればいいのにと、そう思ってしまったんだ。


 どうしたってこの想いは止められない。


 それが遅すぎた初恋だったとしても。気が付いたときにはもう彼の隣に、別の女の子がいたとしたって。そんなことで簡単に諦められるものじゃないんだ。



 きっとこの想いは叶わない。

 言葉にしたって迷惑に決まってる。

 今の私じゃあ、この想いを伝えたって振られてしまうに違いない。

 そもそも水瀬くんにはあんなに可愛い彼女がいるんだ。勝機なんてはなからないだろう。



 ――それでも、身近にあんな良い子がいたのに勿体ないことをしたな、とそのくらいのことは思わせてやりたいじゃないか。あわよくば、私になびかせてやりたいじゃないか。



 私にとって水瀬くんは人生で最初で最後の、初めての恋をした相手なんだから。


 私がもっと自分を磨いて、自信を持てるようになって、可愛くなって、これで振られたら一片の悔いもないってところまで努力をして。




 そうしたら――。




 そのときには、この想いをぶつけよう。



 私は一人、そんな覚悟を胸に刻む。



 そう。でもそのいつかが来るまでは――。



『うん! これからいっぱいよろしくね!』



 私は手早くそう打ち込んで、送信ボタンをタップした。



                              【第2章 了】

                                


※作者から※

いつもお読みいただきありがとうございます。

一応、これにて二章はおしまいになります。一章のようにしっかりとした終わり方ではないかもしれないですが、とりあえず考えていた一区切りということで。

三章では修学旅行へ行くことになりますが、そろそろカクヨムでの先行公開に追いつくことになると思いますので、毎日投稿もあとひと月ほどになると思います。

所々至らぬところもあるとは思いますが、この作品をこれからも楽しんで頂けたら幸いです。

最後に毎度のことですが、気に入って頂けたら↓からブックマーク&pt評価をして頂けるととても励みになります。ちょっとした感想にもいつも励ましてもらっています。どうぞこれからも応援よろしくお願いしますm(__)m


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