神様生誕2500年記念プレゼント企画
祝神様生誕2500年記念プレゼントとして神様が人間1人に一つづつスキルをばら撒いた。
国は国民全員にスキル診断を受けることを奨励しマイナンバーにスキルもあわせて登録した。国家間の戦争にでもなった時役立てるためだ。
妻は早速役場に出向き、スキル診断を受けて来た。結果、スキルは「水耕栽培 小」これは
トマトを育てると収穫が若干多くなるというスキルだそうだ。ひけらかして自慢するほどのスキルでもなかったという事で、妻の中ではスキルの話など無かった話になった。
茶吉のスキルはタイムトラベル。
今立っている場所からその場所の過去にさかのぼって行ったり、その場所の未来へ飛んで行くことが出来る。だが、そこにある物を動かしたり、そこにいる人に話しかけたりはできない。つまりその時代の事象に干渉することは一切出来ないのだが、そこで起こっている事象を映像として映画のように観る事が出来る。そこに取り残された思念を観ているという具合だ。
このスキル、何か人のために役立てたいと考えていたところに、政府から茶吉に依頼が入った。歴史の教科書の間違いを修正する仕事を請け負う事ができる国家資格を数回の講習を受けるだけで取得できますよ、というのだ。もちろん若干の手数料はかかるが、ちょっとしたと言っても、ちょっとしたひと財産くらいの金額ではあったものの、社会に貢献する事ができそうだと喜んでいた。
だが、時は21世紀も後半の今、街のいたるところに夢カフェがあり、リクライニングベッドに横たわり、ヘッドホンをつけてひと夢いくらで金さえ払えば、いくらでも過去なんか好きなように変えられるこの現代に、間違いだとか修正だとか、そもそも歴史などというものに、まったく意味がないのであった。