表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

知らなければ幸せだった、知ったから幸せになれた

茹だるような陽も、近頃はすこし、息を潜めるようになってきた。目覚めた時の額に広がる滴はない。それでもまだ、空の中心を見上げると汗が滲む。秋の足音はまだ聞こえない。夏の匂いが遠のき、日陰を探すこともない。僕はいま、1人だ。


時計の秒針が定期的なリズムを保って音となって耳に届く。静かな夜。国道沿いに佇む築年数が僕の年齢とさして変わらないこのアパートで、その音しか響かない。車の走行音も、隣人カップルの声すら聞こえない。ベッドとテレビと小さなテーブル、殺風景な7畳のワンルームで常夜灯の明かりを頼りに煙草を探す。箱の中から一本取り出し、フィルターを口にくわえた。ヤスリ式のライターを擦るときの音が好きだ。火を灯す。小さななにかを潰すような音。小さな火種を灯し、煙を吸い込む。1日一本だけ。今日が終わる間際、僕はこの行為をやめられない。今日で空箱になったセブンスターを見ながら、思い出す人がいる。彼は元気だろうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ