"イセカイイテン”承ります
彼女は、とんでもない美少女だった。
艶やかな桜色の長い髪。透き通るような白い肌。ぱっちりとしたエメラルド色の大きな瞳。日本人離れしたと言うより人間離れしたような美しさ、まるで天使のようだ。笑顔がすごくカワイイ。だが、そんなことよりも
…今、なんて言った?
「どうしたんですか?顔色が悪いですよ?」
いつの間にかその美少女が目の前に立っていて、顔を覗き込んでいた。ふわりと甘い花のようないい匂いがする。女の子とこんなに近い距離になったのはいつぶりだろうか。いや、そんな事じゃない。
「さっき、なんて言いました?」
「顔色が悪いです。どうかしましたか?と」
「いや、その前の」
「あ!最初は信じてくれないって習いましたよ!」よく分からない事を叫ぶと、俺の手を取り、強く握った。そして俺の目をまっすぐ見つめてくる。ヤバイ、すげぇドキドキする。
「メイジ ノウトさん。残念ですが、貴方は短い生涯を終了してしまいました。」
「…俺は死んだのか?」
「はい。貴方は、トラックにぶつかり、命を落としました。」
「…」
そうではないかとは思っていたが、言われるとやはりショックが大きい。
「やっぱりショックですよね。でも安心してください!私がついています!!」
ドヤッてかんじで、胸を張っている。結構大きい。
「で、突然なんですが、貴方には選択肢が2つ、あります。」
「2つ?」
「そうです!天国で静かに暮らすのはどうでしょう?会いたい人がいますか?」
「特にいないな。」
ばあちゃんはまだ生きているし、じいちゃんは、俺が産まれる前からこの世にいない。
「順番が来たら転生出来ますよ?まぁ、何になるかはお楽しみですが。運が良ければまた人間になれるかも知れませんし」
「…虫とかかも知れない?」
もしGとかだったらどうしよう。あの黒光りしたヤツを想像しただけで鳥肌がたってきた。
「そうですね。でも記憶はなくなるんだし別に関係ないですが」
でも 記憶なくなるのは嫌だな。
「もう1つは?」
「とっておきがあるんですよ!」
顔がすごい近い。近すぎる。
「大人気なんですが、"イセカイイテン”はどうでしょうか!?」
「それがイイ!!」