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【書籍化&コミカライズ】異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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99/135

99.(勇者ミヤモト編)英雄ミヤモトの優しさ。しかしその友情は儚くも踏みにじられた!

・2/10に第2巻が発売されます!

・それを記念して第2巻で大活躍するミヤモト君を主人公にした、異世界孤児院「ミヤモト」編を連載中‼

・もちろん、これまでのストーリーの続編!

・マサツグに敗れたミヤモト君の、大大大復活を見届けてください‼

99.英雄ミヤモトの優しさ。しかしその友情は儚くも踏みにじられた!





 俺はショックを受けた。


 ああ、この俺ですらショックを受けることがある。


 無敵の人間なんぞいねえ。


 完全な俺にすら存在する唯一の弱点。


 それは信じていた『友』に裏切られることだァ!


 信頼していた友たち。俺はそんな奴らに名誉を与える気持ちで、栄光ある命令を下していた。


 学園の平和、正義、秩序、そんな善意を体現する俺に逆らう奴らをかたっぱしから反省を促すために、こういう一見大人し気な奴らを仕方なく使ってやり、この俺様の役に立たせてやってきたのだ。


 ああ、そうさ。


 こいつらも口にこそしなかったが、きっと俺に感謝の念を抱いていたはずなんだ!


 なぜなら、この俺様!


 成績優秀、眉目秀麗、ハンサムで賢いっていう、こんな欠点の一つもないイケメンの俺の役に立てるのだ。これを喜ばないはずがねえ!


 俺たちは固い友情で結ばれ、けっしてほどけぬ信頼と言う鎖で結ばれていたはずなのだっ……!


 それなのにっ……!


「てめえらぁ、そんな口を、このミヤモト・ライズ様に聞いてただで済むと思ってんのかあ⁉」


 俺はこいつらの余りの無法な物言いに思わず激高した。


 当然だ。


 奴らは俺の信頼を裏切った……!


 決してやってはいけないことをやりやがったんだぁ!


 この俺様のプライドをズタズタにしやがったんだからなあ!


 ただじゃおかねえぞおおおおおおおおお!


「この英雄で勇者のミヤモト様に対して、言っていいことと悪いことがあるぞ! この舎弟どもがああ!」


 俺の正義の心が絶叫する。


 裏切者で無法者のクラスメイトどもを。俺の子分であり舎弟である、がり勉、イシジマ、サカイ、ヨシハラ、そしてフカノの4人を断罪せんと轟き叫んだのだ。


 だが……。


 だがぁ!


 俺の誠意はまたしても儚くも打ち砕かれたのだ‼


「はぁ……。やれやれ、何を言っているんだか、ミヤモト君。いいや、人類を敵に回した裏切者で罪人のミヤモト・ライズ‼」


 とんでもないことを言い放ちやがったのだ‼


「はあ⁉ てめえ、何をでたらめなことを言ってやがるう⁉」


 俺は思わず怒号を飛ばす。


 当たり前だ!


 勇者であり英雄。


 人類の希望であり、平和の象徴‼


 いずれはこいつら舎弟どもを率いて世界を征服し、平和を大陸にもたらすべきこの俺! 勇者ミヤモト様をつかまえて、こいつらはッ……! 言うにこと欠いてッ……‼


「ふん、相変わらずの勘違いぶりじゃあないか、ミヤモト君。繰り返し告げよう。君こそが人類の犯罪者。僕たち正義のマサツグ王の仇敵だ。覚悟してもらおうか」


 イシジマはそう言って眼鏡をクイっとする。


「なぁ⁉ てめえら、マサツグ王だとぅ⁉ それに覚悟ぉあああ⁉」


 俺は舎弟イシジマの余りに無礼な発言に頭がどうにかなりそうになる。


 と、そこに残りの3人のぶんぶん蠅どもも調子にのって口を開いた。


 こいつらの中でも最も体躯のでけえサカイが一歩を前に出て俺を睥睨するようにしながら、


「ミヤモト、いいから自首しろ。お前の命運は尽きた。ふ、前の学校ではどうだったか知らんが、今のお前はただの負け犬だ。負け犬は負け犬らしく、隅っこにでもいるがいい。は、は、もし、お前が泣いて許しを請うようなら、俺たちがマサツグ王に口をきいてやっても構わんがなあ。んん~?」


 余裕そうな口ぶりで告げてくる。


「へん、そうだよ、ミヤモト! さっさとあたしたちに降参しなよ! そしたら、おやさしーいマサツグ王だって許してくれるよ。んで、あたしたちは褒美に更に出世させてもらうってわけだ! WinWinの関係じゃんか、へへへ」


 馬鹿なヨシハラまでが尻馬に乗る。


 よりによってこんな馬鹿女にまでえ⁉


 と、最後に令嬢然としたフカノが口を開いた。

 

「さようですよ、ミヤモトさん。ええ、ええ。フフフ、負け犬さん。みじめなものですね。私たちのような知能をもっていれば、まさか人類の敵、犯罪者、邪神の走狗になどに落ちなかったものを」


 陰湿な笑みを口元に浮かべた。


「風見鶏になれず、表に立つことの愚かしさ、ここに極まれり。恐るべきはその顕示欲、自尊心、我欲。理解せぬわけではありませんが、行動に移すのは知能の足りない証左。ふふふ、愚かな殿方につける薬は何もありません。さあさ」

 

 フカノは歌うように告げる。


「わたくしたちの軍門に下りなさい。ええ、悪いようにいたしません。せいぜい、老いさらばえ、この世を去るまでワルムズ城地下牢でくさくてとても発狂を免れ得ないご飯を食べさせられるだけです。ふ、ふふふ、罪人にはふさわしい刑でございますわね」


「フカノン怖いなあ! でも、それ、そういうこと! あたしもそういうことが言いたかった! 死ね! この犯罪者!」


「て、てめえらあああああああああああああああああああああああああああ‼」


 俺は涙を流しながら怒号を放った。


 悔し涙だ。


 もちろん、好き放題言われて悔しくて泣いた訳じゃない。


 それは『愛』だ。


 俺と言う孤高の存在に突きつけられた刃。


 俺はこいつらが言うようなことは一切していねえ。


 そう、人類を、この世界の住人達に武器をつきつけたことなど一度もないのだ!


 誤解。


 そう、まったくの誤解なのだ。


 俺は人類の敵であるマサツグの野郎をちょっと反省させるために、邪神の力を借りた……。いいや、利用してやったのだ!


 わざと隙を見せた俺に、邪神の部下は接触してきやがった。


 それを俺はマサツグという巨悪を打倒するために、仕方なく、一時的に、やむを得ず利用してやったのだ!


 だが、奴はそれ以上の悪の力を得ていた!


 クラスメイトどもを洗脳し、城内を暴力と金で支配した。


 何よりもオルティスとかいう訳の分からない存在に力を借り、それでも俺にかなわないもんだから、いたいけな周りの少女たちの力まで借りて歯向かってきやがったのだ!


 多勢に無勢!


 本当に反吐がでるう!


 俺は、俺は絶対にそんな人の風上にもおけない奴にはならねえ!


 だからこその『愛』!


 俺の皆に対する『愛』が通じない苦しみ!


 愛を裏切られる悲しみ!


 絶望ぉ!


 そんな『愛』を知らないこいつらに対して、俺を裏切った『愛』を知らない愚民どもに対して、おれは憐れみの涙を浮かべたのだ!


 悔しいからなどでは断じてない。


「どらっしゃあああああああああああああああああああああああああああ!」


「ぐわあああああああああああああああああああああああああ⁉」


 俺は勢いよく斬りかかり、イシジマの前に仁王立ちしていたでくの坊サカイを成敗する。


「ちっ、生きてやがったか」


 俺は大地に沈んだサカイへ唾をはきかける。


「ヘヘヘ」


 正義を実行するのは気分がいい。


 無論、俺は突然斬りかかったように見えるがそうじゃねえ。 


 相手が油断してやがったのが悪い。


 言い訳もできねえほどの愚行だ。


 赤子にすら手をひねられるほどの愚行!


 話し合いは無意味。


 それは、この間の俺の説得に応じず、むしろ俺を人類の敵と誤認したまま罵倒し、宣戦布告にも等しい言動を繰り返してきた奴らの態度から明らかだ。


 戦争をはじめやがったのは当然向こうだ。


 俺はやむを得ず正当防衛の正義の一撃を繰り出したにすぎねえ。


 言って分からねえ奴には、残念ながら拳でこたえるしか方法がねえのだ。


 俺も器用だが不器用な男だからなあ。


「ミ、ミヤモトぉ! 卑怯だぞおおおお‼」


 イシジマが眼鏡をずりおとしそうになりながら慌てて剣を構える。


 そして、斬りかかって来るがおせえ!


「このガリ勉野郎がああああああああ! 前から気に入らなかったんだよおおおおぉおぉ! そのすかした面を今日は二度と見えねえもんにしてやるぁあああああああああ」


「ふん、ミヤモトぉ! この勘違い野郎めえ! お前の不細工な顔をもっとぐちゃぐちゃにしてやるぞおおおおお」


「このハンサムなミヤモト様にむかって貴様ぁあああああああああああ!」


 絶対に許さねえええええええええ!


 この超絶イケメンの俺様をつかまえて罵倒するなんてなあああああああ!

 

 ガギン!


「ぐぁ! ミヤモトぁあああああああああああ」


「へへへっへへっへ! し、死ねええええええええええ!」


 俺の正義の一撃がイシジマに炸裂しようとする。


 が!


 ジャギーン!


「邪魔すんな、このあばずれがああ」


「だーれがあばずれだよ! このオタンコナスめえええええ!」


 ヨシハラが馬鹿力を発揮して素手で俺の刃を弾いていた!


「この脳筋があ!」


「この勘違い男がああああああああああああああああああああああ!」


「ぐあああああああああああああ」


「きゃああああああああああああああああ」


 俺の右頬に馬鹿の拳が突き刺さって、その馬鹿力に吹き飛ばされる。


 一方の俺の蹴りが相手を吹き飛ばしていた。


「きかねえなあ! 吹っ飛びはしたが、まったくきかねえ。覚悟しろよオラァ!」


「いいえ、この蛆虫。死ぬのはお前です」


「んなぁ⁉」


 俺が瓦礫から起き上がるのと同時にフカノが魔法を放ってくる。


「死ね死ね死ね死になさい! 死になさい! この蛆虫めが!」


 呪詛のごとき魔弾が次々に俺へと注がれる。


「この魔女めがああ!」


「⁉ 言うてはならぬことを! 連行するのはやめです! あなたはこのガラケフ城に屍をさらすのです! この罪人めがああああああああああ」


「魔女に言われる筋合いはねえええええええ!」


 俺は魔弾を真正面から受けながらも、構わず直進して間合いを詰めた。


「ぐっ、なぜ効かないのですか! 呪詛を込めた即死の魔弾だというのに!」


「殺す気かあ! は、はははっははあ、だがきかねええ! 俺は邪神の力を得た男! そんな闇の力が通じる訳がねえだろうがああ!」


「迂闊!」


「死ねどらっしゃああああああああああああああああ」


「ぎゃあああああああああああああああああああああああ」


 剣はさっき吹きとばされたときについビックリして落としてしまった。ゆえに、これは正義の右だ。


 右ストレートだああああああああああああ!


 俺の拳がフカノの顔面にめり込み、吹っ飛ばす!


「くはははははっはははははっはっははは」


「ミヤモト・ライズぅ⁉ お前、女にまで手を挙げるとは! 貴様それでも人間かあ⁉」


 イシジマがいつの間に割れた眼鏡の奥で、殺意を宿らせた目でこちらを見てくる。


 だが、俺はそんな脅しには屈しねえ。


「黙れ! この裏切りもんどもがあ! マサツグなんていうクソ野郎に尻尾を振るゴミどもがあああ! この正義の鉄槌を受けやがれえ!」


「お前がゴミだ! ミヤモトぉ! この蠅野郎ぁぁぁあああああああああああああああ」


 正義の叫びと、聞くに堪えない悪のこだまが、封印城ガラケフに轟いた!


好評をいただいたおかげで、第2巻に続き、第3巻の発売も決定しました!

皆様のおかげです、ありがとうございます!

Web版、書籍版で大きくストーリーが異なりますので、どちらも楽しんで下さいね‼


それにしてもフカノが可愛いのではないですかね? どうですかね?

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