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95.(勇者ミヤモト編)男女女男女男男女

・2/10に第2巻が発売されます!

・それを記念して、10話分ほど、第2巻で大活躍するミヤモト君を主人公にした、異世界孤児院「ミヤモト」編をスタートします‼

・もちろん、これまでのストーリーの続きとして描いて行きますので、お楽しみに!!

・マサツグに敗れたミヤモト君の、大大大復活を見届けてください‼

95.男女女男女男男女




 はぁはぁはぁ……。


 俺は肩で息をする。


 あまりにも頭に血が上っておかしくなりそうだったが……。


「ありがとうございました、ライズ様! このわたくしをお助けくださって!」


 美少女が感謝の言葉を口にする。


 それで、俺の頭は冷静になった。


 そうだ。


 そうだよ。


 俺はこの少女を助けたのだ。


 見事に。


 傷一つつけずに。


「やはり英雄ッ……!」


 危なかった。


 これは奴ら化け物どもの作戦だったのだ。


 まるで俺がマサツグに負けたかのようにマインドコントロール(洗脳)するための、姑息で卑怯な作戦ッ!


 危なかった。


 もう少しで奴らの狡猾な罠にかかるところだった。


 俺は負けちゃいねえ。


 多勢に無勢の状況を覆し、ついにこの美少女を救ったんだ。


 まさしく英雄的行為。


 マサツグでは決してできない男気を見せてやったわけだ。


 そもそも、俺はマサツグに負けたわけじゃねえ。


 奴はオルティスの力を借りた上に、何人もの仲間と共に襲い掛かって来た卑怯者だ!


 俺のように騎士道や正義、そういったものには見向きもしない悪人なのだ。


 だからこそ、俺がここで弱気になるわけにはいかない。


 王を僭称する奴をその玉座から引きずり下ろし、王者の気風と、その資質、権利を持つ俺こそがあの玉座に座る。


 それこそが世界の安寧につながるのだ。


 だからこそ、あきらめるわけにはいかない。


 今は一時的に天秤が奴に傾いただけだ。


 だが、俺はここにいる。


 本当の資格者がここにいる以上、奴の命運はつきたも同然だ!


「く、くくくくくく、ぐはああははっはははは」


「あ、あのう。ライズ様????」


 美少女の困惑した声が聞こえて来た。


 おっと、しまった。


 つい、自分の英雄的行為のすごさを確認してしまっていた。


 俺ほどの男が、この程度のことに驚く必要などないと言うのに。


 英雄にはこれくらいのことは日常茶飯事だ。


 冷静に、冷静に。


 俺は改めて美少女の姿を視界におさめる。


 絶世の美女、といってよかった。


 黒い髪はつやつやとした光沢を放ち、腰まで伸びている。


 肌はやや浅黒いものの、健康的だ。


 民族衣装なのだろうか、厚く着こんでいて体つきまでは確認できない。


 俺と同い歳くらいか。


 唇は赤く、瞳は赤の不思議な色をしていた。


 蠱惑的で、官能的で、見ているとどこか不思議な気持ちになりそうな……、


「いててててて!」


「……」


 俺は思わず視線をそらして、頭を振った。


 なぜか突然、頭痛がしたのだ。


 俺は別に頭痛持ちというわけではないのだが、一体どういう……、


「ふみゅみゅみゅみゅ、ぼくの魅了がきかないなんて……」


「ん? 何か言ったか?」


「いいえ、ライズ様。何も申しておりません。言ったとすれば、それは恐ろしいモンスターたちから私を助けてくださった感謝の言葉が知らないうちに漏れ出したものでしょう」


「は……ハハハ、なるほどな! そうかそうか‼」


 俺もさすがに病み上がりだ。たまに空耳をすることだってあるだろう。


 それに、今重要なのはそんなことじゃねえ。


 この女はきっと俺にぞっこんだろう。


 間違いない。


 何せ俺のようなイケてる男に、命の危機を華麗に救われたんだ。


 惚れない方がどうかしている。


 いいや、そんな過程がなくても一緒だ。


 女ってのは俺みたいな強くて英雄的な男に引かれるもんだ。


 こうやって、俺に尊敬の眼差しを向けてくることは当然のこと。


 英雄にラブロマンスはつきもの、ごくごく当たり前のことだ!


「ふっ、あれくらいの敵、どうということはねえ。俺にかかれば殲滅するなんて訳ないことだ」


「さすがでございますライズ様! ああ、わたくし本当にもう駄目かと思いました。そこを貴方のような勇者様に助けて頂けるなんて、本当に運命を感じております‼」


「ふっ、当然のことを下までさ。感謝なんていらん。世界を救うことが俺の使命だからなあ!」


「すごい、えーっと、本当にすごいですわ! 運命的ですわ」


 俺はどんどん良い気分になる。


 女は俺への感謝があまりに大きいためか、うまく表現できないのだろう、とにかくすごいすごいと感謝の気持ちを捧げてくる。


 くくく、まったく、大げさなものだ。俺くらいの英雄ともなれば、こんなことはあたりまえのこと。


 世界を救う前の小事に過ぎねえ。


 が、感謝する気持ちを否定するつもりはない。


 それに言葉だけでは表せない感謝もあるに違いねえ。


「大げさだな。別に俺は感謝されるためにやったわけじゃねえ。ああ、別に何もいらねえ。ああ、当然のことをしたまでだからな。何かが欲しくてやったわけじゃねえからよお」


「そんな、それでは私の気持ちが……」


「ふ、そうは言ってもな、俺に欲しいものなんて別にねえからなあ。物欲なんてものはねえからよお」


「ですが、命を助けてもらっておいて、お礼を申し上げるだけではわたしの気持ちが納得できません!」


 くくく、と、俺は舌なめずりをしたい気持ちを抑えながら、


「おいおい、ならどうするってんだよ」


 俺は声を上ずらせないように気をつけながら口を開く。


「ふ、不束ものではありますが、この私をもらっては頂けないでしょうか?」


 少女はそう言うと、パサリと上着を地面に落とした。


 中には白い装束を羽織るだけで、ほとんど無防備な姿だ。


「そんなことを急に言われてもな。俺が軽い男に見えたのか?」


「無礼は承知しております。ですが、どうかわたしの気持ちをお受け取りください。何も持たない不肖なるわたくしでございますが、せめてこれくらいはさせて頂きたいのです!」


「へへっへ、いやあ、困っちまうな。そんなことを言われてもなあ」


 俺のような英雄にひかれるのは仕方ねえことだ。


 だが、こうも突然だとな。


 何事も心の準備ってもんがある。


 だが、まあ、相手がこれほど求めているんなら仕方ねえのかもしれない。


 むしろ断ることのほうが、相手を傷つけることになるだろう。


 それにだ。


 俺はあれだ。


 英雄だからな。


 ならば、いくら女を抱こうが許されるに違いねえ。


 むしろ、俺が断る方が、世界の損失に違いねえのだ!


「ライズ様……」


 と、俺が世界規模の高尚なことを考えていると、いつの間にか近づいて来た女からキスをされた。


 まったく、モテる男はこれだからつれえ。


 だが、へへへ、もうこうなったら仕方ねえ。


 もう我慢する必要はねえよな!


 俺は我慢するのをやめて一気に襲い掛かる。


 森の中だから草むらがそのままベッド代わりになる!


 邪魔するモンスターもいねえ。


 ゆっくりと楽しませてもらうことにするか!


「ライズ様……」


 俺はその女と何度も唇をかわす。


 それこそ、口の周りがべとべとになるくらいに。


 だが、その際に妙な違和感を覚えた。


 女の体液が俺の体に入るたびに、どこか俺の意識が混濁するような、どこか遠のく様なそんな違和感を覚えたのである。


 が、


「ライズ様、ライズ様。突然黙られまして、どうかなされたのですか?」


「いや、なんでもねえよ」


 女の声が響き、俺の違和感が遠のく。


 この少女の声はどこか不思議なのだ。


 耳に届くとどこか心が浮き上がるような気持ちになる。


 こいつの喘ぎ声がききたくなった。


「脱がすぞ」


「恥ずかしゅうございます」


 俺は一切躊躇せずに脱がしにかかる。


 女ももちろん抵抗しようとはしない。


 当たり前だ。


 この女はもうおれにぞっこん。


 もう俺無しでは生きていけないほどの感情を俺に抱いているに違いねえからな。


 最後の一枚を俺は脱がしきる。


 相手は素っ裸になった。


 実に美しい、シミひとつない体。


 赤ん坊のようなもちのような肌だ。


 俺はその体を見て目を見開く。


 思わず口を開いた。


「て、てめえ」


「はい」


 相手は恥ずかしそうに頬を染めた。


 だが、俺はそんな可憐な仕草など目に入らず、思わず大きな声が上げたのである。


「なんで女のはずのお前に、そんなものがぶらさがってやがる!」


 俺は身を離し、その女……そいつの股間にぶら下がるやけに立派なものを指さしながら絶叫した。


 だが、そいつはあっけらかんとした表情を浮かべると、


「え? だってぼく、男だもん」


 そう言って、にこりと微笑んだのであった。


 俺はあまりのことに、うげえ⁉ と言う声を上げて気絶したのである。


好評をいただいたおかげで、第2巻に続き、第3巻の発売も決定しました!

皆様のおかげです、ありがとうございます!

Web版、書籍版で大きくストーリーが異なりますので、どちらも楽しんで下さいね‼

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