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87.限界突破MASATUGU

8月10日に第1巻発売! 感謝の毎日連載中!(8/3-8/17)

87.限界突破MASATUGU



「「はあああああああああああああああああああああああああ」」


 俺と邪神端末体MIYAMOTOの拳撃が交錯する。


 が、さすが一端とは言え邪神を名乗るだけある。


 これまで戦った相手たちとは比べようがないほどの膂力だ!


「どうした! その程度か、ナオミ・マサツグ‼」


「チッ」


 俺は奴の猛攻を防ぎながらも舌打ちする。


 奴の言う通り、相手の力が俺に勝っていたからだ。


 無論、単純な力のことではない。


 ミヤモトが既にMIYAMOTOになっているように、奴はもはや人間ではない。


 一方の俺はただの人間であり、操ることのできる魔力量に差があるのだ。


 だが、それはさほど大きな差ではない。俺の潜在能力は人間でありながら、それをはるかに超越している。


 そのため、せいぜい1%の差だとかその程度の差にすぎない。


 それ自体は驚異的なことだが、しかし、結果として俺たちの様な巨大な力が激突する場合、その極小の差こそが決定だとなるほど大きな影響力を生む。


 10%の差だとしても、1と1.1の差は0.1。しかし、1兆の場合は1000億となる。1000億の差が俺たちの間には存在し、それが徐々に戦力の差として影響してくるのだ。


 今、俺たちの戦いはそうした人のスケールを超越した次元で繰り広げられていると言えた。


 くそ、このままではじり貧だな。


 俺がそう考えた時である。


「マサツグ、いい案があります‼」


 女神リュシアが叫んだ。


 さすが女神だ。


幸運を授けてくれるのか。


おれは耳を傾けた。


「すぐに結婚しましょう! マサツグ!」


 俺は肩を落としながら、


「また、その話か! 後にしろと……」


「違うのです! まじめなお話なのです!」


 何だと?


「お聞きください! 神様とえにしを結べば、その者は神々の係累となり、神格を得ることができるのです! そうすれば、あなたは人の枠を超え、更に大きな力を振るうことができるでしょう!」


 何だと? 馬鹿な、そんなことが……って、ん?


「その話、どこかで一度聞いたことがある気がするぞ……?」


「あ、それ私ね~。初めて出会った時に、私と結婚したら精霊神になれるよ~って言ったわね~、なつかし~」


 シーが挙手しながら言った。


 そう言えばそんなこともあったな。あの話は本当だったのか。


「だが結婚などとは行き過ぎだろう?」


 俺は躊躇する。


だってそうだろう?


やはり結婚と言うのは愛し合う男女が付き合い、結果としてするものだ。最初から結婚するというのはやはり歪な気がする。


「そうよ、そうよ~」


 と、シーも賛同してくれた。いいぞ、フォローしろ、シー。


「オルティス様が結婚することないわよ~。ここは今まで良妻賢母役として孤児院をマサツグさんと一緒に切り盛りしてきたこの精霊神のわたしが適任だと思うな~。神格がちょっと上くらいの最高神様だからって抜け駆けは禁止なんだから~」


 ん?


 俺が首を傾げているとオルティスは微笑みながら、


「まあ、何だか見たことあると思ってたらシーだったのですね。とってもお久しぶりです。元気でしたか?」


「元気よ~。1万年くらい地下に封印されちゃってたけどね~」


「それは私も同じです。ところで、良妻賢母役とはどういうことですか? 最高神として認めていないのですが? 看過できないのですが?」


「うへへへ~、いくら最高神様ではしょうがないよ~。女神だって恋は盲目なんだから~。ここはシーが結婚役に適任よね~。あっ、もちろん、オルティス様も結婚してもいいけど、順番だからね~。私たちは協定で順番を決めてるから~」


「むむむ、ち、ちなみに私は何番目になるのですか?」


「7番目くらいだと思うよ~?」


「最高神なのに⁉ 何とかしてくださいよ、シー! 同じ女神仲間じゃないですか!」


「んー、こればっかりはねー。血の盟約だからね~」


「そ、そんな……」


 女神リュシアが絶望に打ちひしがれた声を上げる。


「こほん、というわけでマサツグさん。シーと結婚しようね~。指輪の交換なんかは後でしようね。ま、まずは誓いの、キ、キ、キ、キスをして愛を確かめあいましょう~」


「いや、しないが……」


「ええっ⁉」


 シーが絶望に打ちひしがれた声を上げる。


 いやいや、当然だろう。


「結婚と言うのは愛し合った者同士がするものだからな。お前たちだって俺と結婚するなど無理をする必要はない。いくら戦いの中で仕方ないのだとしてもな」


 俺は滔々と説明する。


 が、なぜか女神リュシアもシーも、また他の孤児たちもポカンとした表情になり、


「あの、もしかしてマサツグって物凄く……」


「はい、もしかしなくてもマサツグ様は超がつくほどの」


「ドンカンなのじゃ!」


「なのよね~、はぁ」


 シーが大きなため息をついた。


 一体どういうことなんだ?


「おい、てめえら冥途への無駄話は終わったか? なら、これで仲良くあの世へ行くんだな」


 と、MIYAMOTOが角に邪悪な力を結集させる。


それは先ほど山を一瞬で蒸発した恐るべき攻撃だ。


今度は寸分たがわずこちらへ放つつもりである。


奴はこの一撃で戦いに終止符を打つつもりだ。


 ちっ。


 俺は舌打ちする。


 俺だけならば避けるなりすることは容易だ。防ぐことも可能だろう。だが、その余波は周辺一帯をただでは済まさない。


 最悪、このワルムズの王城を含む半径100キロが死の荒野へと変貌するだろう。


 それは孤児院の消滅を意味する。


 それだけは絶対に避けねばならない。


「マサツグさん! 早くしないと! このままでは孤児院も!」


 チッ、少女たちは嫌だろうが仕方ないか。


「分かった、今だけは結婚しよう。シーかオルティスと結婚をすれば……」


 と、そこまで行った時である。


「いいえ! 血の盟約の第1番はこの私、リュシアです! ご主人様、愛しています! 結婚しましょう!」


 そう言ってリュシアが俺の胸に飛び込んで来たのである。


「えっ?」


 俺は唖然とした声を思わず上げてしまう。


 反射的に抱き留めるが、頭にハテナが浮かぶ。


 なぜなら、今までオルティスが憑依していたはずのリュシアの意識が、本人のものに切り替わってしまっていたからだ。


 よほど強い想念でもなければ、最高神オルティスの意識を押さえ、本人の意識が出てくるなどということはありえないだろう。


 だから、分からない。


 何がリュシアの意識を呼び戻すほど、強い動機になったのかが。


 そんな風に俺が珍しく戸惑い、動きを止めていたせいだろうか。


 その一瞬の隙をつかれることになった。


「わたしのご主人様……チュッ。リュシアをお嫁さんにしてくださいね」


 そう呟いて、リュシアが俺の唇に、自分の唇を一瞬だけ重ねたのであった。




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