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47.ソーダを作って仲良くなろう! 後編

47.ソーダを作って仲良くなろう! 後編


クラリッサがリュシアたちに受け入れられた事を受けて、俺たちはソーダを作ってお祝いパーティーをすることにした。


さて、ソーダはどんな材料を使って作るのか?


実はとても身近な食べ物から出来ているのである。


そんな訳で俺はそれをクイズにして、少女たちに出題しているのであった。


「よし、じゃあ次の素材についてヒントを出すぞ? 3文字の果物で、皮が黄色くて酸っぱい食べ物だ。さあ、これはなんだと思う?」


俺の質問に、エリンがピンと来たのか真っ先に、


「はい、はい、はい!!!」


と非常に元気な声を上げる。


ちょっと必死すぎる気がするくらいだ。


「おいおい、返事は一回で良いんだぞ?」


俺は苦笑くしょうして言う。やれやれ、何でそんなに気合が入っているのやら。


別にナデナデ以外ご褒美があるわけでもないってのに。


「す、すみません・・・。今回ばかりはゆずるわけには行かなかったので。えっと、ちなみに答えは、レモンでしょうか?」


エリンはおずおずと言った調子ながら、期待に満ち満ちた視線を俺へと向ける。


すると他の少女たちから、


「!? さ、先を越されちゃいました・・・」


「してやられたわ~・・・女神失格ね~」


「むう、二回連続は無理じゃったかぁ」


「無力・・・」


と、そんな本気で悔しがる声が上がるのであった。


ふうむ・・・孤児院の子たちに、これほどクイズが大人気とは思わなかったな。


顔女たちの間で早押し大会のようになっていて、なんだか鬼気ききせまるほどだ。


きっと、クイズが大好きなのだろう。


また今度、別のクイズを用意しておくとしよう。


俺はそんなことを思うのであった。


「そ、それで答えはっ!?」


エリンがれた様子で尋ねる。


俺は苦笑いを浮かべつつ、


「ああ、正解だ。よく分かったな」


そう言って簡単に褒めてやるのであった。


すると、


「や、やりました!! 正解です!!!」


と、彼女はややオーバー気味に喜ぶのであった。


まったく、本当にクイズは大人気だな。


ちょっと嫉妬してしまうぜ。


そんな事を考えていると、エリンが頬を染めて俺の方を見上げ、


「わ、わたしも・・・」


そう言って、頭をズイと差し出して来たのであった。


ああ、忘れていた。


いちおう形ばかりとはいえ、ご褒美だもんな。


俺は先程正解したラーラ同様、エリンの頭に手を置いて撫でてやるのであった。


「ああ・・・マサツグ様・・・」


彼女は先程のはしゃぎっぷりからは信じられないほど大人しくなると、なぜか俺に撫でられるたび、大きく息をくのだった。


きっと、くすぐったいのだろう。


だが、ラーラの時もそうだった様に、やはり俺が気を使って手を離そうとすると、


「だ、だめ・・・。まだ、もう少しだけ・・・」


と、何度も延長をリクエストされるのだった。


ううむ、なぜだろう?


俺は首をかしげながら、しばらく彼女の頭を撫で続けたのであった。


・・・さて、そんな訳でいちおう主要な材料はピックアップされた。


そう、重曹とレモンがあれば、炭酸ジュース・・・いわゆるソーダが出来るのである。


ただ、それだけだと味がイマイチだと思うので、砂糖か蜂蜜を混ぜて調整するのが良いだろう。


それを魔法で冷やせば、蜂蜜レモンソーダの出来上がり! という訳だ。


「それじゃあ、正解したラーラとエリンは、重曹とレモンを持ってきてくれ。水の精霊神であるシーには綺麗な水を出してもらおう。それからリュシアは、この前買った砂糖を棚から持って来てくれ。あと、クラリッサは鏡作りに使った蜂蜜が残っていただろう? あれを使うから出してくれるか?」


俺がそう指示すると少女たちは、


「はい! 分かりました!」


と元気よく返事して、それぞれすぐに行動に移るのであった。


そうして間もなく、必要な材料一式を揃えてしまう。


おお、なんという速さ。テキパキとしていて、うち(孤児院)の子たちは優秀だなぁ。


俺は満足して、先ほどのクイズに正解出来なかったリュシア、シー、そしてクラリッサの頭も撫でてやる。


すると、その3人の少女たちの口から、


「は~・・・」


とか、


「クセになりそう・・・」


といった、よく分からない感想が漏れるのであった。


やっぱりくすぐったいのだろう。


俺はほどほどで手を離そうとする。


すると、やはり他の少女たちの時と同様、悲しそうな顔で何度も延長を求められるのであった。


ううん、本当に謎である。


俺は何とかそれを程々(ほどほど)で切り上げさせてもらうと、やっとサイダー作りを開始する事が出来たのだった。


・・・やれやれ、何でジュースを作るだけで、こんなに疲れてしまうのだろう。実に不思議だ。


「ふぅ・・・よし、それじゃあ始めるぞ? と言っても手順はとても簡単だ。この重曹とレモンを混ぜれば炭酸が発生するんだ。基本的にはそれで完成さ」


「炭酸???????」


少女たちが一様に首を傾げて、ポカンとした表情を見せた。


ああ、そうか。炭酸を知らないのか。


「百聞は一見だな。実際にやってみるとしよう。ほら、こうやって混ぜると・・・」


俺はそう言いながら、重曹とレモン汁をシーの出してくれた水に注いで行く。


すると・・・、


「ああっ!?!?」


みんなの口から驚愕の声が漏れた。


「ご主人様!! 何だか小さな泡が沢山浮いて来ましたよ!」


リュシアが驚きに満ちた声で報告をしてくれる。


「ああ、それが炭酸だ。どうだ、誰か飲んでみないか?」


俺が落ち着いてそう言うと、


「ええっ!? マ、マサツグ様、こ、これって飲めるんですか!?!?」


「何だかシュワシュワって言っておるぞ!??!?」


そうエリンとラーラが焦った様子でたずねて来るのであった。


「マサツグさん凄いわ~・・・。こんなお水の状態、わたしも見たことないもの~」


水をつかさどるシーさえも、そう言ってしげしげと俺とグラスを交互に見つめるだけで、手を伸ばそうとはしない。


ふうむ・・・、珍しすぎて、みんな飲むどころの騒ぎではないようだ。


少し驚かせすぎたか。


と、俺がそんなことを思っていると、


「わ、私が飲んでみる」


そんな声とともに、クラリッサの手が上がったのである。


ざわ、と他の少女たちが驚いた。


ふむ、どうやら新しい物にチャレンジしたいという、職人魂に火がついたらしい。


さすがドワーフの少女、肝っ玉が座っている。


とは言え、いつもは眠たそうな目が見開かれている所を見ると、かなり緊張しているようだが。


「よし、頑張れ!」


まだ迷いの色を浮かべていたクラリッサだったが、俺の励ましの声に意を決した様にうなずく。


そしてグラスを傾け、異世界初のソーダを味わったのだった。


さて、その感想はと言うと・・・、


「!? お、美味しい!?!?!?!?」


そう目を白黒させて、残りの分も我慢できないとばかりに、グイグイと飲み干してしまうのだった。


「おいおい、まだ砂糖や蜂蜜で味付けしてないってのに」


俺は苦笑してその様子を眺めたのである。


「そ、そんなに美味しんですか!? クラリッサちゃん!!」


「ど、どんな感じなんですか!??!」


リュシアとエリンがそんな質問を投げかける。


するとクラリッサは、


「こんな飲み物初めて。とにかく飲むと喉がパチパチって拍手する。とっても面白い」


と、何とも独自な感想を述べるのだった。


「いいな~、何だかとっても美味しそうだね~」


「しまった、一番目に飲むんじゃった!!」


シーとラーラが羨ましそうな声を漏らす。


そうして、クラリッサ含む少女たち全員が、俺の方へ期待に満ちた視線を向けるのだった。


ふう、やれやれ。


「そんなに慌てなくても幾らでも作ってやるから、ちょっと落ち着け、お前たち。ああ、それからな、レモンだけでも十分だとは思うが、少し砂糖や蜂蜜を入れて冷やすと良いと思うぞ? そうしたら更に何倍も美味しくなるからな」


「あ、あの何倍も・・・っ!?」


ごくり、とクラリッサの喉が鳴ったのが分かった。彼女もなかなか食いしん坊のようだ。


また、他の少女たちからも、


「ご、ご主事様! わ、わたし、楽しみすぎて待ちきれません!!」


「冷気を操る魔法を覚えたのは、全てはこの時のためだったんですね!! 今、確信しました!!!!」


「わたしも水の精霊やってて良かった~。綺麗なお水でソーダを作ることが出来るんですもの~」


「早く飲みたいのじゃ!!」


といった声が漏れるのであった。・・・色々とツッコミどころのある発言があった気もするが、スルーする事としよう。


さて、そんな訳で俺はみんなに蜂蜜レモンソーダを振舞って行ったのである。


少女たちは最初、そのパチパチとする食感に驚いたようであったが、すぐに慣れたようで、俺の出すソーダを次々に飲み干して行った。


そして、そんな彼女たちの口からは、


「本当に美味しいです!!」


「こんなの飲んだ事ありません!!」


「面白いね~。水が口の中ではじけて。何だか私の中の水の概念が変わっちゃいそう~」


「うまいのう! 何とか魔王国の名物にしたいものじゃ!」


「これも十分売り物になると思う。さすがマスター」


という、絶賛の声が巻き起こるのであった。


やれやれ、ソーダくらいで何やら大げさな気もするが・・・まぁ、人生色々と大変だった少女たちが、こうして幸せそうなのだ。


彼女たちが幸せなら全てオッケーである。


俺はそんな風に一人納得するのであった。


と、そんな具合にソーダのおかげで盛り上がることができ、少女たちも随分仲良くなれたようだ。


当初のクラリッサと孤児院の少女たちを友達にするという目的も達成出来たようである。


良かった、良かった。


そうして、何時間か過ぎ、ぼちぼちえんもたけなわという段階になった時のことである。


ふと、エリンが何気なく、


「マサツグ様って本当に何でも作られますよね! きっとポーション調合の才能なんかも、おありになるんでしょうねー」


と呟いたのであった。


「・・・ん? ポーション?」


俺は聞きなれない言葉に首をかしげると、それが何なのかエリンに尋ねたのであった。


いつも沢山の評価・ブクマをありがとうございます。

おかげさまで執筆がとても進んでいます!!

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