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【書籍化&コミカライズ】異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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37.温泉で語り合おう! 前編

37.温泉で語り合おう! 前編


自称大魔導の雑魚魔術師アラハムを圧倒した俺であったが、どうでも良いことなのでリュシアとのデートを続けようと頭を切り替えた。


だが、その雑魚魔術師に追われていたフード姿の女性が、立ち去ろうとする俺を呼び止めたのである。


「ま、待ってくれ! そなた、一体何者なのじゃ!?」


「何者って・・・。ただの一般人だが?」


俺の答えに、しかしその女性は不満そうにする。


「そ、そなたのような一般人がおるわけがないじゃろうが!!!!」


その指摘に俺は首をかしげるが、孤児院の少女たちは一様に、うんうん、と頷いているのであった。


ふぅむ、なぜだろうか。


まぁ、そんなことはともかく、


「俺は今、リュシアとデート中なんだ。あとにしてくれないか?」


そう言ったのである。


すると、そのフードの女性は、なぜかショックを受けた様子で、


「デ、デート? そ、そこの娘と付き合っておるということか? へ、へえ・・・」


と、妙に肩を落とすのであった。


うーん、一体どうしたんだろう?


「まあ、そういうことだから」


とにかく俺がそう言って立ち去ろうとすると、


「待ってくれ!! わしはそなたにどうしてもお願いしたい事があるのじゃ。何でもする! そ、そうじゃ、わしを好きにしてくれても良い!! じゃ、じゃから少しだけ時間をくれ!!!」


そう言って俺の足にすがりついて来たのである。


その時、フードがはらりとめくれた。


そこには、美しく流れるキラキラ光る銀髪と、ややつり上がった瞳、小ぶりで赤い唇。そして、二本の控えめな角があったのである。年齢はリュシアやエリンたちと同じくらいだろうか?


ボロボロのフードの女性の正体は、幼い美少女だったのだ。


「むぅ、角を見られてしまったのじゃ・・・。もはや隠してはおけまい。そう、わしは魔族・・・。そして魔族の王、魔王ラーラじゃ」


だが、俺としては少女が魔族だろうが、魔王であろうが関係がないので、


「そうか。とりあえず後にしてくれ。南地区にある俺の孤児院で待ってくれていれば良い。エリン、シー、案内してやってくれ」


俺がそう言うと、エリンとシーは「はーい」と返事をする。


「え?」


と魔王ラーラだけが間の抜けた声を上げる。


「じゃあ、行こうかリュシア」


「あ、あの、いいんですか、ご主人様? 魔王のラーラさんとの大事な話し合いより、私なんかとのデートなんかを優先されて」


「今はデートが一番大事さ」


俺がそう言うとリュシアはカーッと顔を赤らめながらも、俺の腕にすがりついて来るのであった。


「あれ? ・・・あの、わしいちおう魔王で・・・」


だが、言い募ろうとするラーラに対して、エリンとシーが注意をする。


「ほら、ラーラちゃん、行きますよ? マサツグ様はリュシアちゃんとのデートがあるんですから、邪魔しちゃいけません。それに、しつこくすると嫌われちゃいますよ?」


「こっそり付けてた私たちが言えた義理じゃないけどね~」


「あ、う、うむ。そ、そうか・・・」


魔王ラーラはそう言って頷くと、どこかしょんぼりとしながら、エリンとシーに連れられて孤児院の方へと去っていったのだった。


そんな訳で俺とリュシアは、30分ほどトラブルで無駄にはしたものの、順調に昼食後のデートを満喫することが出来たのである。


デートを終えた俺たちは夕方頃には孤児院に戻って来た。


とても楽しい一日だった。


リュシアも満足してくれたようだし、俺も彼女の可愛さを堪能できたので本当に良いデートだったな。


ただ、そんな風に良い気持ちで戻ってきた俺だが、昼間のこともあって、やや汗をかいてしまった。


という訳で俺は玄関をくぐると、すぐに風呂場へと直行する。


ちなみに、孤児院の風呂は、ひと部屋をまるごと潰して作った巨大なもので、水の精霊神シーのおかげでいつでも良質の温泉が準備されているという力の入れようである。


元日本人ゆえ、致し方ないのだ。


俺は脱衣場でさっさと服を脱ぐと、湯けむりの中を進む。そうして、かけ湯をしてから湯船へと浸かるのだった。はぁ、いい湯だ。


だが、俺がそんな風にお湯を楽しんでいると、湯けむりの向こうに何やら黒い影が動いた気がした。


気のせいだろうか?


しかし、その影は徐々に湯けむりの中をこちらに進んでくると、俺へと飛びかかって来たのであった。


しかも、それは一つではなかったのである。


「くっ!?」


と俺は声をあげる。お湯の気持ちよさに油断してしまっていたのだ。


おかげでこうして・・・、


「マサツグ様、お帰りなさいませ!」


「今日一日寂しかったよ~。ふえええええん。リュシアちゃんだけじゃなくて私も構って~」


エリンとシーに抱きつかれてしまったのだから。


「なんだ、入ってたのか。すまなかったな。それにしても、お前たち、裸ではしたないぞ?」


まぁ正直、嬉しくない訳じゃないけどな。


何せ二人とも、存在するのが奇跡と言って良いくらいの美少女だからなあ。


エリンは、ハイエルフで唯一生き残ったお姫様だ。ほっそりとしていて、どこか幻想的な雰囲気を持っている。そんな彼女が背中まで伸びた美しい金髪と白磁のような真っ白な肌を、今はお湯にしっとりと濡らし、肌をやや薄桃色に色づかせているのだ。神の造形と思われる完璧な容姿と、まだ完成する前の未成熟な身体が相まって、そのことが逆にとても12歳とは思えない美しさと色気、そして背徳感を醸し出している。


一方のシーは対照的な美少女だ。身長も160㎝くらいで俺より少し低いくらいだが、ともかくスタイル抜群、容姿端麗を絵にかいたような存在である。優しい水の色をしたロングヘアーと同系色の瞳が柔らかく、優しそうで、常におっとりとした雰囲気をしている。エリンとは逆に実ったそれは抱きついた俺の身体で柔らかくたわむ。文字通り女神様といったところだ。


と、そんなやりとりをしていると、湯けむりの向こうにもう一つ影が動くのが見えた。


「お、お主たち、そ、そんな赤裸々な状態で・・・。は、恥ずかしくはないのか・・・」


そう言って顔を赤らめ、大事な部分を手で隠しながら、魔王ラーラが現れたのである。


ラーラはエリンと同じ年齢の幼い美少女でありながら、魔族ゆえか成長が早いようで、エリンにはない果実を既にたわわに実らせているようだ。少しつり上がった大きな瞳も、今は照れているのか伏し目がちであり、それが妙に可愛らしい。悪魔らしい黒い尻尾も困ったように揺れている。美しい銀髪をしとどに濡らし、それをお湯のせいか照れのせいかでピンク色に染まった白磁の肌へと張り付かせた様子はやけに扇情的でもあった。





「恥ずかしくないよ。だって、マサツグ様と洗いっこしたり、こうやってぎゅーってしてもらうと、すっごく幸せな気持ちになるんだから。ね、ラーラちゃんもやってみたら?」


「そうよ~。それにお姉さん、ラーラちゃんの気持ちに気付いちゃってるんだからね~」


そう言うと二人は俺の膝の上に乗ったり、肩に頭を乗せて体を密着させたりしてくるのであった。少女特有のスベスベとした肌や、たわわな果実が腕に当たって非常に気持ちが良い。


「おいおい、二人とも無理言うんじゃない。初対面の男と一緒に風呂に入っていること自体、彼女にとっては嫌に決まってるんだから」


俺はラーラのことを思って、そう注意をする。


だが、ラーラはそんな俺の言葉とは裏腹に、顔を真っ赤にし、尻尾も緊張からか左右に振りながらも、おずおずとした様子で少しずつこちらへと近づいて来るのであった。


そして、俺の前まで来ると、


「マ、マサツグ殿のことは、魔皇ミラからよく聞いておったのじゃ・・・。ち、直接会うのは今日が初めてじゃったが・・・、その・・・あの・・・、お、思ってた通り・・・いや、思ってたよりもずっとカッコよかったのじゃ。あ、ありがとう、敵から守ってくれて。まるでナイトのようであったぞ」


そう言って、シーとは反対側の肩に頭を乗せると、ぴたりと体をくっつけて来るのであった。


シーの巨大な果実とラーラの大きな果実に挟まれて見事なサンドイッチだ。逃げ場がない。


と、そんな風に困っていると、


「あー! やっぱりみんなここだったんですね!! 誰もいないからどうしたのかと思いました。私もご主人様と一緒にお風呂入りたいです!!」


そう言って、リュシアまで入って来たのであった。


やれやれ、もう収集がつかないな・・・。


「の、のうマサツグ殿。さっきエリンが言っておった洗いっこというのはどういったものじゃ?」


そうラーラが聞いて来る。


うーん、どう説明したものか・・・。


だが、俺が悩んでいると、反対側にいるシーがあっけらかんと答えた。


「言葉の通りよ~。背中を流したり~、お互いに向き合ってタオルで洗いあったりするだけよ~」


「む、向き合って!? は、裸のままでか!??!?!」


「そうよ~。でもすっごく気持ちいいんだから~。あ、そうだ~、ラーラちゃんもしてもらったら~? マサツグさんすっごく上手なんだから~」


おいおい、さすがにそれはラーラも嫌がるだろう・・・。


俺のことは命を救われたからか、嫌ってはいないみたいだが、洗いっこなど承知する訳が・・・。


「わ、わかったのじゃ・・・。そ、その、マサツグ殿がお嫌でないのなら・・・」


そう言ってチラリと俺に不安そうな瞳を向けるのだった。


あれ?


「えっと、嫌じゃないのか?」


「は、恥ずかしくて死にそうじゃ! ・・・じゃが、い、嫌な訳がないじゃろう? む、むしろマサツグ殿が嫌ではないのか・・・?」


ラーラは顔を真っ赤にしつつも、どこか期待したような目をする。


うーん、なんで「嫌な訳がない」のだろうか?


俺はよく分からずに、何度も首を傾げるのであった。


「じゃあ、洗いっこするか」


「よ、よろしくお願いするのじゃ!」


俺と妙に嬉しそうなラーラは湯船から上がると、洗い場でお互いに向き合って座り、タオルでお互いの体を洗い出すのであった。


それにしても、幼いのによく育ってるな。シーほどではないが、数年後にはそれを追い抜くのではないかという程の実り具合である。


ちなみに、石鹸はまだない。「まだ」、というのは近々作成予定だからである。


「あっ・・・」


と、洗っているとラーラが少し大きな声を上げた。


彼女のお腹あたりをこすったのだが、どうやら少し敏感な場所だったらしい。


「すまない。嫌な場所があれば言ってくれ。そこは触れないようにするからな?」


だが、少女は首を横に振ると、


「そ、そうではない。少しびっくりしただけじゃ。そ、それに、マサツグ殿に触られて嫌な場所など、ない。好きにしてくれ」


そう言うと顔を真っ赤にして瞳を伏せるのであった。


うーん、社交辞令なのだろうが、嫌な場所は特にないのか。


何だか孤児院の少女たちと同じことを言うんだな。


俺は首を傾げつつ、彼女の体を隅々まで洗ってゆくのであった。


途中、少女の口から、「や」とか、「そこ・・・」とか、少し息を荒げながら声が漏れたが、別に嫌という訳ではないらしかったので、俺は止めることなくタオルを当てて行く。


逆に、少女の俺を洗う手は完全に止まってしまい、なぜか途中からギュッとグーにしたまま、何かに耐えるかのようにかすかに震わすようになってしまう。


特に俺が彼女の果実の部分や、少しデリケートな部分を軽く洗った時には、唇を強く噛み締めて、漏れそうな声を必死でこらえているようであった。


「嫌なら」


「嫌ではない!」


・・・とのことであった。


うーむ、よく分からん。


とにかく、そうして、俺が彼女の体を洗い終わる頃には、彼女はどこか逆上のぼせたような様子で、荒い息をつくのであった。だが、どこか非常に満足そうな表情だ。


きっと、体が綺麗になって嬉しいのだろう。


ふぅ、一段落だな。


と、俺が一息ついていると、いつの間にかリュシアやエリン、そしてシーが期待する眼差しで俺の方を見ているのに気がついた。


やれやれ、お前たちもだったな。


俺が手招きすると、少女たちは嬉しそうな様子でこちらにやって来るのであった。


お風呂タイムはまだしばらく続きそうである。


いつも沢山の評価・ブクマありがとうございます!

お陰様で執筆がとても進みます!!!


また、皆様のご支援のおかげで、そろそろ累計入りできそうです。

本当にありがとうございます。

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