125.ゼシカの過去
『聖女さんは追放されたい!~王家を支えていた宮廷聖女、代わりが出来たとクビにされるが、なぜか王家で病が蔓延!えっ、今更戻って来い?一般の大勢の方々の病を治すのが先決なので無理です』
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轟音を立てて現れたのは、巨大なスカルドラゴンであった。
肉体は腐り落ち、既に呪いの塊となったゾンビのような存在。
ないはずの眼孔には、青白い灯火のようなものが見えた。
そして、その灯火は、明らかにギョロリとこちらをにらみつけ、
『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
と、大音量のいななきを発した。
「きゃあ!?」
この咆哮自体が強烈な呪いの力を有している。まともに喰らえば意識喪失はまぬがれない。
ドラゴンという地上最強のモンスターが、呪いによって、地上をさまよう恐るべき状態。
それがスカルドラゴンだ。
S級モンスターの中でも、最も恐れられているものの一つであろう。
しかし。
「静かにしろ」
俺の一言によって、天空より白い壁が4枚落ちてくる。
そして、それはスカルドラゴンを囲った。
「ガアアアアアアアアアアアアアアア!?!??!?!」
中のドラゴンが何が起こったのか分からずに、悲鳴めいたいななきを上げたのが分かった。
「す、すごい! 最凶と言われたスカルドラゴンの動きを一瞬にして!!!」
ゼシカが感動の面持ちになる。
「話の邪魔なのでな。しばらくあそこにいてもらうとしよう」
その言葉に彼女は驚愕する。
「は、話の邪魔だから……。それほど簡単にあのスカルドラゴンをいなしてしまわれるなんて」
「大したことじゃないさ」
俺は首を横に振って微笑む。
だが、ゼシカは「いえ」と首を振ると。
「私の故郷はもともとのどかな山の麓にありました。日々、平穏なゆったりとした暮らしをしていたのです。ところが」
なるほどな。
「あのモンスターが現れたというわけか?」
「おっしゃる通りです。さすが神聖マサツグ王です。なんでもお見通しですね」
「なに、大したことじゃない。それで、あのドラゴンを一度は倒したわけか。人の手によってドラゴンを倒すとは大したものだな」
「はい、何とか。ですが、ドラゴンは呪詛によってスカルドラゴンへと変貌。その呪いの力によって故郷は滅んでしまったのです。村の者たちは幸い、すぐに別の村に逃げたものの、滅んだ故郷はいまだに復興のめどもたちません。私は聖選の儀によって大聖女となり、私の村をはじめ荒廃した世界を救いたいのです」
「なるほど、それがゼシカへの試練というわけか」
「そうです。しかし、スカルドラゴンの呪いはいまだ私を蝕んでいるようで、すぐに気絶をしてしまったのです」
彼女は落ち込んだ表情をする。
だが、
「落ち込む必要はない、ゼシカ」
そう優しく言う。
「え?」
彼女は戸惑った表情を浮かべた。
聖選の儀に失敗したと思っていたのに、意外なことを言われたと思ったからであろう。
「忘れたのか?」
俺は微笑む。
「俺が世界の運命の体現者である以上、この危機に俺がここにいることこそ、君の素晴らしい資質を表しているということを」
その言葉に、ゼシカがハッとした表情になったのが分かった。
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