120.救世主マサツグ
120.救世主マサツグ
(前回の続きです)
「マサツグ王のされることは世界の選択! ならば、マサツグ王がどのように振る舞われても、それはむしろ神のご意向、いやそれ以上のものとなる!!」
「そうだ。だが、そんな当然のことを説明している暇はないのではないか?」
「そ、そうでした。彼女たち三人があれほどの悲鳴を上げることは想定されておりません。何か妨害があったのかと」
「ならばそれは偶然ではないな」
「え?」
ルッツベーリン公爵が首をひねる。
しかし、俺の周囲の少女たちは俺の言っている意図に気づいたようだ。
「ご主人様がいなければ、この儀式は失敗していたでしょう。だからこそご主人様はここにいらっしゃるのです」
「エルフ族の姫たる私を救ってくださったようにマサツグ様がここにいること自体が必然なのですね」
「きっと世界がマサツグさんをここに呼び寄せたんだね~」
「救世主様なのだから当然です」
「マサツグ殿は常に神話の中心におるからのう」
「きっとこの出来事がこの世界にとって重要だということ。だってマサツグがいるから」
「ああ、今回も主様の手足となって戦える。武人として神話級の戦いに参加できる。これ以上の喜びはありません!」
と、リュシア、エリン、シー、シルビィ、ラーラ、クラリッサ、ミラが微笑みながら言ったのだった。
そういうことだな。
「これよりマサツグ王の親征の一環として聖女たちを救出しよう。それがおそらくこの世界の救世につながる運命の一くさりである」
「おお……。まさかこのような神話の一場面に立ち会えるとは」
ルッツベーリン公爵が感涙にむせんでいる。
「やれやれ」
俺が動くというだけで、周囲の人間はそれが奇跡の顕現ととらえるらしい。
それは無論、その通りなのだが、だからといっていちいち感動に震えられていても面倒だ。
「普通にしろ、と言ったというのに、まったく」
「も、申し訳ございません」
ハッとした公爵は姿勢をただした。
まぁいい。
「よし、行くぞ」
俺は声を上げる。
「面倒だが、いつも通り、世界をすくうとしよう」
その言葉に、少女たちは深く頷き、
「ご主人様とともに世界を救います!」
「エルフ族の姫としてマサツグ様に付いて行きます!」
「自然界の意思を代表して、マサツグさんを全力で支援するよ!!」
「救世主様の仕事をお手伝いできるなんて、これ以上の喜びはありません」
「魔族の王として、マサツグ殿にいいところを見せようではないか!」
「ドワーフの武器、防具の力を役立ててもらうチャンス到来」
「見ていてください、主様、ミラの活躍を!!!」
そう応えたのだった。






