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105.(勇者ミヤモト編)何もしてないのに敵が死んじまうナァ

・ついに第2巻が発売されました! Web版とはまた大きく展開が異なりますので、どうぞお楽しみください!

・ミヤモト君も大活躍しますよ!

・第3巻も発売決定です! こちらはまた進捗を活動報告でご連絡いたします!!

105.何もしてないのに敵が死んじまうナァ



「キ、キキキキヒヒヒヒヒヒヒぃ! ツええええ! 強すぎるうぅうぅうううああああああ! これが、これが俺の力! 真の力なんだなぁ! 雑魚雑魚雑魚雑魚雑魚雑魚どもがああああああああああああああ。この勇者ミヤモト・ライズ様の力を思い知ったかぁああああああああああああ!」


 あふれ出る力!

 

 才能!


 才覚!


 ポテンシャルウウウウウウウウウウウ!


 俺は自分が選ばれた存在であることを確信して雄たけびを上げる。


 無論、力におぼれているわけではない。


 力など俺にとっては本当のどうでもいいこだ!


 いいことだぁ!


 俺の喜んでいる理由はぁ、あくまでぇ、


「この世界を俺が平和に導けるってことがぁ! 確定的に明らかってことにだああああああああああああああ!」

 

 まずは下らねえ馬鹿どもを血祭りにあげる!


 土下座して俺の靴をなめさせる!


 考えられるだけの恥辱を与えるぅ!


 逆らう奴は死刑だ!


 俺の目指すユートピアにそんな反逆者はいらねえ!


 ミヤモト王! いいや、もはや王なんて器じゃねえ! 世界王‼ 大皇帝! 神ぃ!


 このミヤモト神様の治世、統制、秩序!


 神の与える恩寵に従えねえやつに生きてる価値なんてあるはずがねえ!


 極刑が相当!


 死刑が妥当だあ!


 そして、世界をまっ平らにして俺が平和をもたらし、俺が思うがままにこの世界に秩序を与えてやった後にぃ! そう、そうだぁ。最後のデザート!


 平和の総決算んんんんん!


 ナオミ・マサツグ!


 直見正嗣ぅうっぅうあああああああああ‼


 奴を、奴をああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼


 こ、ごろぅずううううううううううううううううッッ‼


「あ、あの邪神様。ルイクイ様? ライズっち、ちょっと様子が変じゃないですか? いえ、最初からテンションたっかーい、って思ってましたけどぉ。ここまで涎だらだらしながら泣き笑いみたいにしゃべるお方ではさすがになかったんですけどぉ」


「ううーん、そうですねえ。ちょーっと強くツボを押しすぎちゃいましたかねえ」


「うへえ。やっぱり邪神様のせいなんですねえ! ああん、やっぱり凶悪ですねえ。こうやっていたいけな人間の心の隙間に入り込んで力を与える代わりに理性を奪って化け物にしてしまって、そして世界を崩壊へ導くんですねえ! この邪神‼」


「ああ、いえいえ」


 邪神はキョトンとした顔で首を振り、


「違いますよ、失礼な。どんなイメージなのですか。私はそんな卑怯な真似はしませんよ。善神の彼女じゃああるまいし。ツボって言ったでしょ。ツボって。異世界の人間だから魔力の使い方がまだまだですからね。そこの通りがいいように、ちょっと手伝ってあげただけです。それ以外は何もしてません。魔力だって与えていませんし」


「まじ?」


「ええ、まじまじのイグザクトリィですよ。狂騒すらも彼の魔力に備わった力の一つ。狂うことだって才能の一つ。わたしとていやしくも神の一柱。嘘なんてつきませんとも」


「ということは?」


「ええ。周囲を腐らせ、汚濁させ、崩壊を早め、寿命を削るこの腐蝕した魔力こそが彼の才能。狂騒し、惑乱し、神を犯す汚辱こそがミヤモト・ライズ君の隠された真の力、ということです。ああ、心地よい、なんて清々しい……ではなくて禍々しい波動なのでしょう。お姉さんも思わずにっこりです」


「しゅんごい」


「さっきからなぁにをゴチャゴチャと言ってやがるぅぅぅぅう!」


 俺は隣でささやき合う二人を怒鳴りつける。


「俺と言う英雄が、まさに英雄的力を行使し、世界平和を実現しようとしているというのに、それに注目しないとは何事かぁ!」


「ええ、ああ、はい。はいはい。見ていますよ。邪神が曇りなき眼であなたを見ていますとも。ええ、ええ、英雄ミヤモト君」


「私としては主上を倒されるのを邪魔しないといけない立場なんだけどねえ。まあ、今回は無理っぽいからねえ。また時を待つとするよおお。とりあえず殺さないでぇ」


 二人の心からの応援に俺はにやりと笑う。


「くくくく、心配するなあ。いいや、王たる俺、神たる俺が負けるはずがねえ! いくぞおおおおおおおあああああああああああ‼」


 俺は勢いをつけてアモンに向けて飛び出す。


「まあ、実際そうでしょう」


 後ろからささやきが聞こえた気がするが、アモンへと斬りかかろうとする俺の耳はうけつけねえ!


 神たる俺の前に立つんじゃねええええええええええええ!


 天を突く巨体!


 アモン!


 神!


 地霊の王!


 だがぁ!


「俺にかかれば雑魚よぉ! 俺にかなう奴はいねえ! マサツグさえ雑魚だあああああああああああああああああ!」


 ドゴオオオオオオオオオオオオオン!


「⁉ ――――――⁉ ――――――⁉」


 アモンが神言で叫び声をあげる。


 左腕を千切れとばされたアモンが絶叫する。


 呪いの言葉で! 呪詛を込めた魔笛を上げる。


 本来ならばその絶叫だけで人の脳はつぶれてしまう!


 だが、俺は人間なんて小さな器じゃねえ!


 神!


 神だ!


 魔神王!


 つまり、世界で一番偉い存在ぃいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


 だからあぁああああああああああ‼


「頭がたけえんだよおおおおおおお‼ 俺を見下ろしてんじゃねえええええええええええええええ! 土下座して詫びろおおおおおおおおおおおおお‼」


「⁉⁉⁉⁉ ギギイイイイイイイイイイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」


 俺は奴を嬌声するぅ!


 神を前にして礼節を欠いた報いを受けさせるぅ!


 下半身を放出する魔力で無造作に消し飛ばしたぁ!


 ズズズウウウゥゥウゥゥゥウンンンン!


 森の中に奴の上半身が倒れこむ。


「げひ! ゲヒヒヒヒヒイヒヒヒヒぃ! どうだあ、反省したかぁ! この偽神がぁ! 俺こそが本当の神ぃ! 俺を見下ろすなんてとんでもねえ不敬だぁ! 不敬不敬不敬不敬不敬罪ぃぃいぃいい! うおおおおおおおお死刑だあああああああああああああああああああああああああ!」


 俺は倒れこんだアモンの頭の上で哄笑を上げる。


 勝利の雄たけびだ。


 アモンは俺を憎々し気に見上げてくる。


 目立をぎょろりとこちらに向けながら。


 それは先ほどよりも憎しみ、呪い、俺の強さへの羨望、嫉妬、嫉み。


 そんなものが込められている気がした。


「はーっはっはははははっはははははっは!」


 俺はアモンに唾を吐きかける。


「⁉ ―――――――⁉ ギィいぃぃい!」


「雑魚が! 雑魚が! 雑魚がああ!」


 俺は寛容にも許してやる。


 ゴミが!


 この地べたを這う虫野郎がぁ!


「猿がぁあああああああああ! たかだか猿のくせに何を偉そうにしてやがったあああああああああああああああ」


 雄々しき武人たちの戦いにふさわしい、伯仲の戦いは神々しく華々しく続いて行くのだった。


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