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第二話 アカシックレコード

やっと転生


あれ?


ギフトが無いな( ̄◇ ̄;)

序章


第二話 アカシックレコード


「うおおおおおおっ!」


光の奔流の中を流され続けて数秒かそれとも数時間がたった時ーー直上に巨大な青い天体が見えた。「あっ!」と声を上げた直後、吸い込まれる様に俺は黒い闇の中に堕ちていったのだがーー「ああああ……えっ?」気が付けば俺は黒い部屋の中に辿り着いていた。


……今度は黒い部屋の中か


すると


頭の中に声が響いて来る。


『ようこそ! ユグドラシルへ!』


振り返ると丸い顔の様な物がフォンフォンと浮かんでいる。出来損ないのゆるキャラの様なその姿は物理法則を無視するかのように俺の周りを飛び回っている。


「ここはーー何処なんだ?」


『そうだね、いわばユグドラシルと言えなくも無いけど、まだ同調はして無いから不安定に重なった状態だというのが正しいんだろうけど、君の知る言葉の中にそれを表す物はまだ創られてはいないようだね』


やっぱり俺は送り込まれたのか。この崩壊すると言う世界に


「で、なんでここで止まってるんだ。何か意図があるんだろう?」


『そう、今回は緊急事態何で特別だよ』


そう言うとその丸い塊は周りにある石柱の一つに触れた。


『今から約束通り、君にギフトを渡すよ。ただし、君のは特別製だからね、サポートで俺も付くことになったんだ。これからよろしく頼むね。ボクの名はアガペ、アカシックレコードの管理者だよ』


「アカシックレコード?」


確かアカシックレコードってのは概念状の存在で全ての出来事を記憶してるって言うやつじゃ無かったか?


『ふむ、それに近いけど、正確には人の持つ情報に特化した存在なんだよ』


「人の持つ情報?」


『うん、この世界にはスキルとかクラスとかジョブとか言う物質では無い霊質に描き込まれた情報が溢れているんだ。ボクはそれを記憶しているんだよ。そして、それを人に与える事が出来るんだ』


「ゲームで言うところのジョブの事か? それで俺に特別な力を授けてくれるのか?」


『いや、与えるのはアカシックレコードそのものだよ。そのなかでも【魂の器】と呼ばれるモノだ。勇者のロウ-アライアメント、魔王のカオス-アライアメントに匹敵するニュートラル-アライアメントの中でも最高位のギフトだ』


「ニュートラル-アライアメント?」


『そう、君は非常にバランスの良い精神構造を持っている様だ。だから、勇者でも魔王でも無い力を得る事が出来る。とは言えこれから育てていかねばなら無いんだから大変だけど、この【魂の器】にはとんでもないスキルが満載されているから、使いこなせばこの世界を一変させかね無い力を秘めているんだよ』


「でもこのユグドラシルは滅びかけているんだろ、俺が居ても同じじゃ無いのか?」


『それは分からないよ。魔王や勇者の持つ力と言うのは戦い、争う為の力だからね。君の持つ力の中には幾つもの世界改変の為の力が隠されているからね。元々の所有者達は自分ですらその可能性に気がつかなかったんだけど、それらを統合する君は言わば肉体を持った神の分身に等しいからね。何が起こるかは君を送り込んだ者たちですら分からないよ』


……神の分身か


『とは言え今の君にはその力があっても使いこなす事は無理だけどね。アップデートが必要なのさ。君自身のね』


「アップデート? 俺自身の?」


『そうさ。例えば君に核爆発に匹敵する爆炎の呪文があったとしても、それに必要な魔力や知性、発動に必要な呪文を覚えて無ければそもそも唱えられ無いからね。力にはそれに見合う下地が必要という訳だ』


「それを君がサポートしてくれるのか?」


『そうさ。君の借金返済の為にも、それ位はしないと手も足も出ないよね。君の借金はポイントに変換されて700,000,000近いんだよ? 生半可じゃ終わらないからね?』


しかし滅びるかもしれない世界に送り込まれて借金返済とは遣る瀬無いな


『それも運命のお導きと言うやつさ。さあ、そのクリスタルに触れてくれ! 今から君に同期させるからね?』


そう言うと巨大なクリスタルが浮かび上がって来た。そのクリスタルは青い光をたたえ、緩やかに明滅していた。その青い光は柔らかな暖かさを俺に伝えてくる。神秘的な輝きに思わず目を奪われてしまった。


「えっと、ただ触ればいいのか?」


『そう、掌をゆっくりと当て……《ドズンッ!!!》ぐっあっ…くうっ!』


その時ーーフワフワと浮かぶ光の珠に突然亀裂が入った。刃に突き通され、光の珠ば女の姿に変わり崩れ落ちる。


「お、おい! どうしたんだ!」


そしてその背後から禍々しい黒い装束に身を包んだ女が、その姿を虚空より表して来る。恐るべき魔力を纏うその姿背後人を遥かに超える存在感を放ちゆっくりとその姿を晒す。


しかしーーその姿は


「……お前は…」


俺は目を疑った。


「うふふ、お久しぶりね♥︎ 佐藤くん♥︎」


それは……俺を裏切った女


「……女狐め…よくも俺の前に顔を出せたな!」


「あら、久し振りなのに冷たいのね♥︎ もっと気の利いた再開を祝福するのに相応しい事が言えないのかしら♥︎」


「……桐子、俺を裏切ったくせにいい度胸だな。ここでケリをつけさせてもらうぞ!」


『よ、よせ! その女は魔王に匹敵する力を持っている! 分から無いのか!』


アガペは必死に俺と桐子の間に立ち庇おうとしていた。


『どうやってこの空間に干渉出来たんだ!隔絶された結界に護られている筈なのに!』


「うふふ、意外と簡単だったのよ、神様とやらがこの世界を閉鎖したから、反応はここ一点だけだったし、私と佐藤くんは深い縁で結ばれているから♥︎ まあ、待つのは大変だったけどね♥︎」


「……お前は俺と同じく異世界に放逐された筈だ。どうやってそんな力を手に入れた」


「そこは大人の事情と言うやつよ。ひ・み・つ♥︎」


「……てめえ…」


そして、桐子は妖しい笑みを浮かべこう言い放った。


「ねえ、佐藤くん、貴方の力は大変厄介なのよね。申し訳ないけど、このまま転生させる訳にはいか無いのよね♥︎」


「……じゃあどうするつもりなんだよ…」


「悪いんだけど、ここで死んでね♥︎」

「!!!!!」


そう言うと桐子は巨大なデスサイズを取り出した! 禍々しい魔力がビリビリと伝わってくる。


「大丈夫! 死んでも元の世界に戻る筈だから♥︎ 多分ね♥︎」


『早くクリスタルに触れて同期しろ! でないと君はただの人だ!瞬殺されるぞ!』


アガペが必死に桐子に飛び掛かり時間を稼ぐ! 俺がクリスタルに飛びつこうとしたその瞬間


《ガキンッ》金属音がしたかと思うと目の前でクリスタルが砕けちった。


「!!!!!」

『!!!!!』


「あらん♥︎ 貴女もきちゃったのね♥︎ さすが侮れ無いわね」


砕けちったクリスタルが光の粒子に姿を変えて消えていくその向こうからーー巨大なランスを携えた女が現れた。


そして


その女は


「……雪代…」


…それは俺が裏切った女ーーそして俺の恋人だった女が立っていた。


「…久し振りね……佐藤…くん」


『クリスタルを打ち砕くなんて…貴様! 勇者のくせに魔王の片棒を担ぐ気か!』


「……なんで…お前が勇者なんだ…」


「…私を見捨て逃げた佐藤くんには教えられ無いわ。でも…悪いけれども……死んでもらうわね」


『!!!!!』


「お前もかよ!」


雪代に殺される理由は……あるな


『あるの! あるんだ! 砕け散ったクリスタルはカオス-アライアメントを持った魔王やその眷属には触れる事すら叶わないモノだけど、勇者には同種の霊質が備わっている[勇者の秘剣]がある! だから如何なるアーティファクトもこのユグドラシルに存在する為の要素を満たした時点で、難易度の差こそあれ、最終的には必ず破壊されてしまう運命だけど、仮にも神の創りし神器を一撃で崩壊させるなんて』


アガペは必死で雪代の持つ力の秘密を探ろうとしている様だったが……


「…無駄……私には勇者の力も在る。佐藤くんでは相手になら…無いわ…ね」


……今…雪代は「勇者の力も」と言ったな。他にも在るのか? なら雪代は勇者では無くて……いや、雪代は自分が勇者だとは言わなかった。桐子も自分が魔王だとは言わなかった。何故だ?


「お前ら二人とも……一体この世界で何をやらかしたんだ?」


しかし、それを確かめさせてくれるつもりは無い様だった。


「うふっ♥︎ 残念ながら佐藤くんには教えられ無いわ。もうこの世界から居なくなるんだから関係無いしね♥︎ この世界は無い私のモノになるんだし♥︎」

「…佐藤くんは大人しく私に殺されれば良いの。痛くはし無いわ…私を裏切ったとはいえ仮初めにも私の大切な人だったんだもの……いえ、少しくらい痛くしたほうが佐藤くんの為なのかも」


『仮にも元恋人か何かを匂わせながら佐藤は本当に嫌われているんだね。でも忘れ無いでねココはボクのフィールドだからね』


桐子はニヤリと笑ってデスサイズを振りかぶる。

雪代はニコリと笑ってランスを振りかざす。


「分かっているわよ♥︎」

「…分かっている……」


『やけに仲が良いな! カオス-アライアメントの頂点である魔王とロウ-アライアメントの頂点である勇者、本来相容れ無い二人だけど、思惑には重なるところがある様だね……まあ、確かめる暇は無いけどーー舐めるなよ!』


そう言うとアガペは


『悪いが強制終了させてもらうよ! [ログアウト]だ!』

「あん♥︎ [魂の器]意外にも力を残していたのね♥︎ 」

「…でもかなり弱い力しか感じられ無い。それで何とか出来るつもり…なの…」


そう言われてアガペはニヤリと笑う


「ふん! だからこそ君達が仲良く出張って来たんだろ。この佐藤の中に眠る力を恐れているのはーー魔王と勇者に他なら無いんじゃ無いのかな? この佐藤の中に眠る[災厄の渦]が《ドズンッ!!!》《ザシュン!!!》と桐子のデスサイズがアガペの首を切り裂きーー雪代のランスがアガペの核を貫いた!


「それは余計な事よ♥︎」

「…関係ない…事だ…」


『でも時間は稼げたよ♡』

「「!!!!!」」


『受け取れ! 佐藤!』


その時ーー切り裂かれ貫かれたアガペの身体が光の塊になり凄まじい熱量をこの空間に爆発させた! そしてーー「こ、これは」小さな青いクリスタル/水晶が俺の掌に顕現して来た


『いけ! この二人はココで足止めする! その[魂の器]の元型を渡す! 後は君次第だからな!』


「あら♥︎ 自爆するつもりね♥︎」

「…甘い…舐められたものだ」


二人はジッと俺を見た


そして


「「必ず見つけ出す」」




俺はまた二人から逃げ出したのだ。


このユグドラシルでもーーまた




そして俺は再び光の奔流に包まれて行った。


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