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異世界ビブリオテーク物語

彼は今日も本を読む

作者: 明星ユウ
掲載日:2014/09/05

 



 彼は、本が好きだった。

 それは、彼を表現する際に必要な言葉が、〝本好き〟の一言で片付くほどに。


 本は知識。本は知恵。本は力。本は癒し。本は――


「本は、僕の全て」


 例えその地位が、一国の第二王子であろうとも。

 例えその姿が、その国一の美女にさえ勝るほどであろうとも。

 例えその頭が、次期宰相になれるほどであろうとも。

 例えその魔法が、王城魔法使い長に届くものであろうとも。


 彼が望むことは、ただ一つ。

 本を読むこと。ただ、それだけ。


 いかなる名誉も。

 いかなる褒賞も。

 いかなる賛辞も。

 彼が振り向くには値しない。


 ただ一言、本、と言う言葉に対してのみ。

 その形、その名、その力においてのみ。

 彼は自ら動き、そして完璧なる対応をする。


 真の国一番の笑顔を満面に浮かべ。

 誰もが見惚れるほどの所作でもって。

 本へと向かって歩くのだ。


「貴方様は、何故そこまで本に執着を?」

 いつだったか、彼にそう問いかける者がいた。

 彼は、笑って答えた。

「僕が僕であるために。ただ、必要だから」

 自分を好きでいるために。

 自分は自分であると、胸を張って生きられるように。




 今日も、城の書室に彼はいる。

 天井に届く本棚を見上げ、たくさんの本の山に埋もれて。

 紙がめくれるかすかな音と、時折響く、積み上げた本の崩れる音を音楽にして。


 無邪気な読書家の書室の主は、今日も本を読みあさる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 本好きさんの、ただひたすら本が好きっていう部分がなんだか良かったです。言い表しづらいですが、こう、人物の自己というものがはっきりしているというか…。 [一言] サクッと読めて良かったです。…
[一言] 確かにそうかもしれませんね。 ただ読みたい。いいですね。
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