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夏海は大きく、ため息をついた。
修一は横目で夏海のことをなじるように見詰めながら、
残りが少ない、冷たい飲み物を飲み干した。
「仕事だろう? 行けば……」
修一は不機嫌そうに夏海に冷たく、言った。
折角、修一と二人きりの時間を邪魔をされた夏海は
今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら、
「う、うん……」
と元気なく、頷いた。
修一は飲み干し、また冷たさが残る飲み物の容器を
夏海の頬に押し当てると
「しょうがないなぁ…… 食事は今度だなぁ。
夏海が焼肉をおごれよ!」
優しく、夏海に微笑んだ。
夏海は修一の優しさに救われた気がして
「うん。この埋め合わせは必ず、するから…… ごめんね!」
顔の前で手を合わせ、修一に謝った。
「まあ。期待しないで待っているわ……」
修一はバックを背負い直すとその場から歩き出した。
「本当にごめんね! じゃあ。行ってくるね!」
夏海は修一に駆け寄り、修一の肩に摑まると背伸びをし、
修一の頬に軽くキスをした。
修一は夏海のキスに顔を真っ赤にした。
「な、何をするんだよ!」
修一はびっくりして、夏海のことを見詰めたが
すでに夏海は修一の横にいなかった。
「じゃあね!」
夏海はもうすでに河川敷の土手の上にいて、
無邪気な少女のように修一に手を振っていた。
「まったく……」
はじめは修一も照れくさそうにしていたが
夏海の無邪気な笑顔を見るうちにいつしか、顔を綻ばせていた。
「じゃあな!」
修一は元気に駆けて行く夏海に向かって、手を振った。
「はい。おつかれ! 夏海ちゃん」
雑誌のカメラマンは写真を取り終えると夏海に
笑顔を振りまきながら、夏海に声をかけた。
「おつかれさまでした!」
雑誌の写真撮影が終わり、夏海がいつものように
撮影スタジオを後にしようとしたその時……
夏海の携帯電話の着信音が突然、鳴り響いた。
夏海はイヤな気がした。
「はい。もしもし……」
夏海は慌てて、携帯電話に出た。
電話の向こうから聞こえてきたのは
今にも泣き出しそうな女性の声だった。
「もしもし。夏海ちゃん」
その電話の主は修一の母親だった。
「ど、どうしたの? おばさん」
夏海は修一に何かあったのか、心配で修一の母親に
聞き返した。
「しゅ、修一が……」
修一の母親は泣き出したいのを押し殺しながら、
夏海に修一が交通事故に遭ったことを告げた。
夏海の直感は当たっていたのだった。
「う、うそでしょう」
夏海は携帯電話を持ったまま、スタジオに立ち尽くした。
夏海はとりあえず、修一が運ばれた病院に急いでやって来た。
修一は何事もなかったかのように病室のベットに横たわり、
スヤスヤと眠っていた。
夏海はホッと安心し、修一の母親の顔を見たが修一の母親は
今にも泣き出しそうな顔をして、夏海に抱きついてきた。




