終
試合終了間際、修一は限界だった。
疲れ切り、足がまるで動かなくなった修一は
グランドの中央で立ち止まっていた。
『どうか、お願い!無理だけはしないで……』
夏海は祈る思いで修一のことを応援していた。
『負けてたまるか! 絶対、勝つんだ!』
修一のチームメイト達は必死にサッカーボールを
修一に繋ごうとボールに食らい付いていた。
残り時間……数分。
(サッカー)ボールは転がり、修一のもとへ……
修一のチームメイトたちは
「頼む! 修一。(ゴールを)決めてくれ!」
とボールを託した。
『よし!』
修一は勝利の為に相手ゴールに向かって、
駆け出そうとしたが……
「行かせないよ!」
修一の前には浩次が立ち塞がっていた。
「ど、どけ! 浩次」
みんなが繋いだ(サッカー)ボールを受け取った
修一は目の前の浩次を抜き去り、相手ゴールに
向かおうとしたが
「絶対、ここは通さない! 夏海ちゃんは俺のものだ!」
浩次は修一は抜かないように修一の前に立ち塞がった。
「バカを言うなぁ…… 夏海は僕の彼女だ!
お前なんかには絶対に渡さない!」
修一と浩次の(サッカー)ボールの奪い合いは白熱し、
他の誰もが近寄れなかった。
時間は瞬く間に過ぎ……
残す時間はロスタイムの数分のみだけだった。
『最後の賭けだ!』
修一は最後の力を振り絞り、浩次を抜き去ろうとした。
だが、その時、修一の脚に激痛が走り、修一はその場から
動けなくなった。
『ま、負ける……』
修一がそう思い、俯き、諦めかけた時、修一の視線に
夏海の姿が映った。
『そうだよなぁ! ここで諦めたら……』
修一はそう思い直すと浩次がこぼれ球を拾う前に
こぼれた(サッカー)ボールに駆け寄り、浩次を一瞬で
抜き去ると相手ゴールに向かって、全速力で駆け抜けた。
修一は夏海と一緒に来た砂浜に一人佇んでいた。
海から吹く風に吹かれながら……
その横には夏海の姿はない。
「……」
修一が大きく溜息を付くとその修一の後ろから
「お待たせ!」
と元気な女の子の声が聴こえてきた。
だが、修一は振り返ることはなかった。
振り返らなくても修一はその声が誰なのか、
良くわかっていた。
その元気な声の女の子が夏海という事が……
夏海は後ろから勢い良く、修一に抱きつくと
「ねぇ、修一。今日は何処に行く?」
と修一に話しかけた。
修一は夏海のギュッと握ると
「何処でも良いよ! 夏海が行きたい所なら……」
と優しく、夏海に言った。
「なら、何処にしようかな? ねぇ、修一。
ずっと、一緒だよね?」
夏海が修一にそう訊くと修一は小さく頷き、
「ああぁ…… ずっと、一緒だよ!」
と夏海に言った。
「約束だよ!」
夏海はそう言うと修一の背中越しに
修一の頬っぺたにキスをした。




