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プロローグ:始まりの始まり

 今からおよそ10年前、地球に魔王が現れた。


 その姿は世界中の空で、まるで映写しているかのように見ることができた。


 魔王は言った。我に従え、と。


 正しくは人々の心に直接伝えた。言語も関係なくわかるように。


 しかし人々の反応は魔王の予想とはかけ離れていた。


「すっげー! なんだあれ、新作映画の告知?」

「いやゲームだろ。どこのメーカーかなぁ」

「ま、広告にがんばるとこが出すのって大抵クソゲーだけどな」


 誰も信じていない。今日も世界は平常運転。

 そもそも、どうすれば従えるのかを知らないのだから仕方がない。



 1ヶ月の後、再び魔王が現れた。


 あと7日の猶予をやろう。それまでに降伏せぬ場合、貴様らの力を2つ奪う。


 そう言って再び消えた。


「あー、あのゲーム1週間後発売かぁ」

「ネトゲかもしれないぜ? 当日はDLで鯖落ちるんじゃね」

「魔王なう」

「革新的な宣伝はいいけどさ、もっと前情報くれないとやりづらいよなぁ」


 人々の反応は、相変わらずであった。



 そして1週間後、世界はパニックに陥った。


 そう、魔王は我々から2つの力を奪っていったからだ。



 火と雷を



 それと時を同じくして、各地で魔物が発生することに。

 人々は驚愕した。あれはゲームや映画などではなく、本当だったのだと。

 しかし今更もう遅い。魔王は人類を滅亡させ、魔物の生息地にすることを選んだのだから。


 魔物の群れに人々は成す術がなかった。

 エンジン──火を奪われた軍は出動することもできず、銃火器もただの鉄の塊と化した。


 遠くと連絡をする術も奪われ、今まで科学の恩恵にあずかっていた人々はこのまま朽ち果てるしかなかった。



 しかしその時、1人の男(34歳 ヲタニート)が気付いてしまった。

『魔王とかエレメントとかどこのファンタジーだよ……。あれ? ひょっとしてこれ、魔法使えんじゃね?』と。

 試しに手をかざし、念をこめ、火をイメージしてみる。


 彼の手のひらからは、炎があふれた。


 マッチやライターすら使い物にならないというのに、彼は火を扱うことができた。

 この世界ではなく、精神世界から火を召喚できる。


 彼は走った。仲間のもと、秋葉原へ。

 みんなにこのことを伝えようと。


 半壊した町並みを抜け、秋葉原に到着。いつもの店へ急行する。

 そこには最後の時間をここでと、いつものメンバーが揃っていた。


 彼はみんなに教えた。魔法のこと。この力で魔物と戦い、ここまで来たことを。


 皆は魔法を駆使して戦った。人々のため、というよりもこの時を待っていたとばかりに。


「すげぇ、すげえよ! 俺魔法使っちゃってる!」

「よし、拙者は忍術に応用するでござる!」

「いいなそれ。俺も何かやろっ」


 秋葉原周辺の魔物は倒しつくされ、一時の平和が戻った。


 命を救われた周りの住人は感謝をし、女性は群がった。ステキ! 抱いて!

 数名の仲間だったと思っていた裏切りもののイケメンニートたちは、夜の廃ビルへと消えていった。

 しかし翌日、恐ろしいことが判明。


 彼らは魔法を使えなくなっていた。


 男(34歳 ヲタニート)は考え、1つの結論を導く。

 魔法は童貞にしか使えないと。


 今となっては原理も究明されている。

 だが当時の彼らにはそれしかわからない。 


 とにかくこのことをもっと世間に知らしめるため、仲間は日本中に散った。

 そんな中、彼らのことを知りこうしてはいられないと動き出したものもある。


 ゲーム会社及び出版社だ。


 それらは互いに連絡をつけ集まり、今まで培った知識や経験を使い、役に立たない政府の代わりに様々なことを考え始めた。

 主に職業制と、レベル制を。

 魔物と戦う人々を冒険者と呼称し、レベルやランクなどを制定していった。

 様々な場所へ足を運び、敵の名称を考え、その強さによって『○○を倒せるくらいが△レベル』といった具合に。


 それが現在に残るギルドの始まり。




 そして10年後の今日、1人の少年が秋葉原へ向け歩を進める。


 冒険者になるために。






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