46 ついに飛べる・・・!?
「っフーちゃんっ!!!!」
すぐに倒れているフーちゃんへと駆け寄っていく。
フーちゃんは地面の上で血だらけになって倒れていて、意識を失いそうになっていた。
血を流しているところを見て、涙が溢れそうになった。
でも涙をグッと堪え、すぐにアイテムボックスからポーションを取り出す。
前回の怪我を踏まえて、上級ポーションも買っておいたのだ。
念の為に買っておいて本当によかった。
「グスッ、ごめんね。囮なんて・・・やらせちゃってごめんっっ。」
『だ、大丈夫やっていうたやろ・・・。
絃のためなら・・・こんなんへっちゃらやで・・・。』
ぐったりしているフーちゃんを優しく抱き上げて、小さな口に少しずつポーションを垂らしていく。
そうしてゆっくりと上級ポーションを飲み終えたあとフーちゃんが光に包まれ、負っていた傷がすべて塞がった。
フーちゃんの苦しそうだった息遣いが、穏やかになっていく。
よ、よかった・・・!
ホッと一息つく。
『大事な上級ポーション、使わしてしもてごめんな。』
「なに言ってんの!フーちゃんの方が大事に決まってるでしょ!
...ほんとにっ...
無茶しないでよっ...
お願いっ...。
フーちゃんがいなくなったらと思うと、私っ...」
先ほどの、血だらけで倒れているフーちゃんを思い出して身体が震えてくる。
ダンジョンでエクストラボスを倒してから、フーちゃんとズーマとずっと一緒だった。
フーちゃんがいなくなるなんて・・・
考えたくない。
大切な人を亡くすのはもういやだ。
その為に強さが必要なら。
強くなれる手段があるなら。
強くなりたい。
堪えきれなくなった涙が流れ声を押し殺していると、抱き上げている私の手にフーちゃんの手が添えられた。
『そんなに泣かせてしもて、ごめんな。これからもワイはずっと、絃のそばにおるから。な?』
「ッ...っう...うん...ずっと、そばにいて...っ」
『約束や。不死鳥のフーちゃんに二言はないで。』
フーちゃんの優しさに甘えてしまって、しっかりと泣いてしまった。
ひとしきり泣いたあと、急に恥ずかしさが込み上げてきたので話題を変えることにした。
「・・・そ、そういえば巨大ペンギンを倒した後のステータスを見てなかったね!」
『そーやん・・・!
めっちゃ強敵やったんやから、ええ報酬やなかったら怒るでー!』
上級ポーションを飲んでしっかりと元気になったフーちゃんに安心しつつ、ひとまずステータスを確認する。
【ステータス】
◇レベル : 56 ※→ 12
・体力 :11,200 ※→ 2,576
・魔力 :11,200 ※→ 2,576
・攻撃力 :11,200 ※→ 2,576
・耐久力 :11,200 ※→ 2,576
・敏捷性 :11,200 ※→ 2,576
・器用さ :11,200 ※→ 2,576
・知力 :11,200 ※→ 2,576
※シンクロ率により全ステータス制御
現在のシンクロ率:23%
◇スキル :
隠蔽
アイテムボックス(特大)
デバフ耐性
◇固有スキル:
〈硬化Lv.2※常時発動〉
〈回避Lv.2〉
〈爆速Lv.2〉
〈天界の鍵1/10〉
〈三日月斬Lv.1〉
〈飛行Lv.1〉
〈氷牙雨Lv.1〉
◇称号 :
"世界最速エクストラボス討伐者"
"鍵を受け継ぎし者"
「レベルが一気に3つも上がって、56だって!それにシンクロ率も23%まで上がってるよ!」
『ほんまか!やったやんー!ワイらまた強くなったな!』
『・・・・・・って!!!ここーーー!!!!!
こ、これやっ、見てみー!
飛行・・・って書いてるように見えるんやけど、ワイの見間違いかっっっ!?』
「えっ・・・!?
ほんとだ!飛行ってなってるよ!
フーちゃん・・・もしかして、ついに飛べるようになったの?」
固有スキルのところを見ると
【飛行】と【氷牙雨】
という二つのスキルが増えていた。
あの巨大ペンギンの飛行スキルと攻撃を覚えたようだ。
フーちゃんが待ち望んでいた飛行スキル。
ついに手に入れてしまった。
さっきまで大怪我をしてぐったりしていたのに、今では大喜びで小躍りまでしている。
因みに、予想通りあの巨大ペンギンは地下3階のエクストラボスだった。
ルナウルフの時と同じだ。
そして案の定、あの虹色スライムはいつの間にか消えていた。
今回で2回目になる虹色スライムは、いったいなんの目的があって現れているんだろう・・・?
今考えてもしょうがないことだけど、謎が深まるばかりだ。
『飛行スキルはどーやって使うんやろか?
さっきから飛ぼうと思って、スキルを試してるんやけど全然飛ばれへんねん・・・・・・』
「・・・えっ!?」
スキルを覚えたあとは
そのスキルを使おうと思えばすぐに使えるという便利仕様になっているはず。
・・・ってことは・・・?
飛行スキルって書いてあるだけで、どうしてフーちゃんが飛べると思っちゃったんだろ。
だって飛ぶといったら、フーちゃんしか思い浮かばなかったのだ。
・・・もしかして、私か、ズーマが飛べるってことなのかな?
「飛行」
試しに飛行を使おうとしてみたけれど、私では発動しなかった。
ということは・・・?
ズーマの方を見る。
誰に押されるでもなくズーマがこちらへと向かってきていた。
「!?
フーちゃん!ズーマがっっ!
勝手に動いてるぅーーー!!!」
『ほんまや!レベルが上がって自分で動けるようになったんか?』
「え、そーなのっ!?」
パァー(桃色)
ズーマが喜んでるっ!
一応ズーマって私の武器ってことになるんだよね?
他のみんなの武器って自分で意思を持って動くのかな?
刀が勝手に動いているところを想像してしまって、身震いする。
こんな現象、きっとズーマだけだよね?
・・・また麗央さんに呆れられるところが想像できてしまった。
次から次へとハプニング続きで心が休まらない。
「そうだズーマ!もしかして、新しいスキルの飛行を使えちゃったりなんか・・・する・・・?」
『なっ・・・なんやてっ!!!』
パァー(黄色)
フーちゃんがものすごい顔で絶句している横でズーマからYESと返事があったのだ。
そして今、私の目の前ではズーマが空中に浮いている。
自転車が飛んでる〜
「・・・ってほんとに飛べちゃったよー!!!」
『な・・・・・・なんでやー!!!
ワイの何があかんのやー!!!
ペンギンが飛べるなら・・・アヒルが飛んだってええやろー!!!』
フーちゃん・・・・・・。
フーちゃんがあまりのショックに倒れこんでしまい、地面を叩きながら叫んでいる。
私も飛べるようになったのはフーちゃんだと思ったよ・・・。
「フーちゃん・・・いつかきっと飛べるようになるよ!!!・・・知らんけど!」
『いつかっていつやねーん!ほんで知らんのかーーーいっ!』
落ち込んでてもちゃんとツッコミはやってくれるんだ(笑)
それだけ元気があるなら大丈夫でしょっ!
そんなことより、ズーマはどれくらい飛べるのかな?
私がズーマに乗ったままでも飛べるのかな?
「私を乗せたままでも飛べたりする?」
パァー(黄色)
一緒に乗って飛べるんだ!ってことは・・・
「フーちゃん!ズーマに乗れば一緒に飛べるよ!飛んでみようよっ!」
『なっ・・・なんやてー!!!ズーマッ!はよ乗せてくれー!』
凄い勢いで立ち直ったフーちゃん。
その後、しっかりと定位置のハンドルに乗り、私もズーマに跨った状態で飛行を試してもらった。
特等席で飛べたフーちゃんは大はしゃぎで、
『ズーマとワイは一心同体なんやから、ズーマが飛べるイコール、ワイも飛べるってことやんなっ♪ズーマ!ありがとうなーっ!』
と言ってなんだかんだ納得していた。
その後もいろいろと検証してみた結果、飛行スキルでは10mほどの高さまで上がれて、飛び続けられる時間は10分ほどだった。
10分経てば自然に着陸してそこからクールタイムもなく、すぐにまたスキルが使えたのだ。
使い方次第では、すごく便利かもっ・・・!
これからレベルが上がっていけば、飛べる時間も増えていくのかもしれない。
時間制限があるため、移動手段としてはあまり使えそうにないけれど、戦闘面では大いに役立ちそうなスキルを手に入れることができた!
・・・そして今回の戦いでは、これからの問題が浮き彫りになった。
今までのようなズーマ頼りの戦闘じゃ、今回みたいな時に何もできない。
何もできないままフーちゃんに血を流させてしまった。
やっぱりこれからは私自身がもっと戦えるようにならないと。
この先に進んでいくのは難しいと実感した戦いだった。
最後まで読んでくださってありがとうございます✨
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それでは、また次の話でお会いしましょう!!




