44 巨大ペンギン・・・!?
『っっデカすぎやろ・・・!』
フーちゃんの呟きに、無言で頷く。
「・・・これって、やっぱりこのペンギンと戦う流れなんだよね・・・?」
『そーやろなぁ!流れ的に、逃げられへんやろ!上見てみー!ペンギンの肩のところ。こないだのあいつがおるで!』
あいつ・・・?
フーちゃんに言われたとおり、巨大ペンギンの肩の方を目を凝らして見つめてみる。
「あっ!!!」
ルナウルフの時にもいた
「虹色のスライムだ・・・!」
『あいつがこのペンギンを連れてきたんやろなー!とにかく、この前みたいに絶対手強い相手なんは間違いないやろな!』
ルナウルフを操っていたと思われる虹色スライムがいるってことは、このペンギンも操られているということなんだろう。
私たちは慌てて立ち上がって、すぐに戦闘態勢を整える。
すると、巨大ペンギンの周りに氷の結晶が浮かび上がってきた。
パキッ、パキッ、パキッ——
「きゃっ!」
氷の結晶が浮かび上がった途端に辺り一面、氷の世界へと変貌していた。
周辺には、私たち以外の冒険者はいない。
ダンジョンの地下3階層のことはここに来る前には事前に調べていた。
でも、こんな状況になるなんて聞いていない。
あの虹色スライムもそうだし、前回のルナウルフと同じ状況ということだ。
これは逃げられない
戦うしかないんだ!
それにしても・・・さ、寒いっ!
めちゃくちゃ寒いっ!
先ほどまでの過ごしやすかった気候から、
一気にマイナスの世界へと変えられてしまった。
ダンジョンの中は過ごしやすい気候だから、防寒具なども用意していないので寒さに耐えるしかない状況だ。
ふと足元を見るとズーマのタイヤ部分が一緒に凍ってしまっていて、ぴくりとも動かない。
「ズーマが凍ってるっ!どーしよう!?」
『っとりあえず、ズーマから降りるでっ!』
フーちゃんがズーマのサドルからぴょんっと飛び跳ねて私の胸ポケットの中に収まった。
フーちゃんがしっかり胸ポケットに入ったことを確認した後、慌ててズーマから降りる。
そしてタイヤ部分を確認してみると、完全に凍ってしまっていて全く動かせそうになかった。
『危ないっ!避けろっ!』
フーちゃんの声がしたので、慌てて横へ飛び退いて避ける。
が、あたり一面スケート場のようになっているため避けた拍子に滑って転んでしまった。
「いったーい!し、冷たいっっっ!」
転んだところから、さっきまで私達がいたところを見てみると、そこには鋭く尖った氷の矢が突き刺さっていた。
あ、あ、あ、危なかったー!
「フーちゃん。ありがとね!おかげで串刺しにされなくて済んだよっ」
『ええんやで!
でもこのままやとズーマには乗られへんで!
ってなったらさっきと一緒や!飛び道具出すしかないでーーー!』
!!!!
ついさっき使い所を考えなければ・・・!
と思ってたあの攻撃を!?
・・・でもそんな事を言っている場合じゃなさそうだ。
ズーマが凍っちゃって移動も攻撃もできないならあれを使うしかなさそうだ。
さっそく出番がきちゃったよー!
そうしている間にも、最初の一撃から続いて次から次へと降ってくる氷の矢を滑りながらもギリギリのところで躱していく。
レベルが上がった分、私自身の身体能力も上がっていて今のところなんとか攻撃を躱せてるっ!
でも避けるのが精一杯だよ!
攻撃を躱しつつ、三日月斬を発動する。
目の前に3つの三日月が浮かび上がる。
そして三日月斬を打つタイミングを見計らって、3つの三日月を一気に放つ。
シュンッ——シュンッ——シュンッ——
目にも止まらぬ速さで三日月の斬撃が巨大ペンギンへと向かっていく。
・・・・・・当たったっ!?
三連続で放った三日月斬は見事、巨大なペンギンへ命中した。
そして大きな巨体がゆっくりと倒れていく。
ッドスン——ッッ!!!!!!
巨大なペンギンが倒れたせいで、ものすごく冷たい冷風が襲いかかってくる。
「ううっっ・・・!!!」
寒い・・・!!
体が凍りそう・・・!
ブルブルと震える体を丸めて、冷風が通り過ぎるのを待つ。
しばらく耐えていると、冷風の霧がはれてきた。
「・・・た、倒せたのかな?」
『絃ーっ!大丈夫かっ?カタカタ震えてるやん!ワイの羽毛分けようか?』
あ、ありがとー。
気持ちだけ受け取っておくよ(笑)
フーちゃんの羽毛を分けてもらったら・・・・・・
もふもふのボディがツルツルになっているところをつい想像してしまった。
や、やめて・・・。
フッ、お腹痛くなっちゃうっ...フフフッ
『なーんか、めっちゃ失礼な事考えてたやろー』
とジト目で見られたけど、ここはスルーさせてもらう。
「フーちゃん!まだ討伐音が鳴ってないから、倒せてないはず!戦闘体制に入るよっ!」
『(ごまかしたなー!)わかったでー!』
霧が晴れた少し先に、倒れている巨大ペンギンが見える。
そして、倒れているペンギンのお腹の上にはあの、虹色スライムが見えた。
ルナウルフの時と同じように虹色スライムが光り始め、巨大ペンギンが変形していく。
「っ・・・な!!!!!!
そんなのありなのーーー!?!?!?」
変形していく巨大ペンギンの背中から、
メキメキ・・・と巨大な羽が生えてきたのだ。
ペンギンは飛べないからペンギンなのよっ!!
ペンギンが飛べるなんて・・・
それはもはやペンギンじゃないっ!!!
『・・・あ、あ、あ、あいつ、飛ぶ気やで!!!
ワイの専売特許を奪う気や!
これは、絶対倒さなあかんっ!
負けられへん戦いが始まるでー!!!』
フーちゃん・・・
飛べないじゃん。
軽やかなジャンプで飛んでる風にしてるだけなのに・・・。
それを言うと確実に地雷を踏みそうなので、心に留めておこう。
こんなこんなでフーちゃんが巨大ペンギンに嫉妬している間にも、変形が完了した巨大ペンギンが今まさに飛び立とうとしていた。
バサァー
巨大な体から広がる羽はとても大きくて、まるで飛行機のようだ。
そして広げた羽を優雅に羽ばたかせて、空中へと舞い上がる。
「飛んだーっ!!!!!!
ほんとにペンギンが飛んじゃったよー!!!」
『・・・・・・・・・・・・っ!!!』
巨大ペンギンが飛んだことがよほどショックだったのだろう。
フーちゃんは一言も話さないまま、空を飛んでいる巨大ペンギンを驚いた表情でじっと見つめていた。
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それでは、また次の話でお会いしましょう!!




