42 レベルアップ・・・!?
最初のプリマヴェール戦から順調に戦闘を重ねていく。
途中では、2階層でお馴染みのホーンラビットとアッシュウルフも出現した。
しかし2階層よりもひと回り大きくなり、更にパワーアップしていたので少し手こずってしまった
のだ。
プリマヴェールと同じく1回では倒せなくなっていたので、何度も当たっていく。
そして・・・すっかり忘れてたの。
2階層ではずっと無双しまくっていたから。
あの可愛いホーンラビットが、
悪魔になることを・・・(笑)
窮地に陥ると第二段階に入り、デーモンホーンラビット化する事をすっかり忘れていたのだ。
久しぶりに見たデーモンホーンラビット化・・・。
っ怖かったよー。
ホーンラビットからデーモンホーンラビット化しても魔石は変わらないんだから、なんとしてもホーンラビットの時に倒しておきたいっ!
私の心の安定の為にもっ!
そのためにはレベルを上げて強くなるしかないので、しばらくの我慢だっ・・・!
そんなこんなで、
幾度目かの討伐完了音の後・・・
——ピロリロリーン
を聞いたあとの
《レベルアップ》
という文字を見た時。
あの感動は計り知れないっ!
これでデーモンホーンラビットとお別れできる!
私たちのステータスは、レベルとシンクロ率がしっかりと上がっていたため、数値もかなり上がっていたのだ。
【ステータス】
◇レベル : 53 ※→ 9
・体力 :10,600 ※→ 1,908
・魔力 :10,600 ※→ 1,908
・攻撃力 :10,600 ※→ 1,908
・耐久力 :10,600 ※→ 1,908
・敏捷性 :10,600 ※→ 1,908
・器用さ :10,600 ※→ 1,908
・知力 :10,600 ※→ 1,908
※シンクロ率により全ステータス制御
現在のシンクロ率:18%
「やったー!
これでホーンラビットを一撃で倒せるようになったよね?もうデーモンホーンラビットと戦わなくて済む?」
『どーやろなー?4回攻撃して倒してたんが3回の攻撃で倒せるようになったくらいちゃうか?』
そんなっ!
嘘だと言って!フーちゃん・・・!
『そんなことより、そろそろお昼どきちゃう?
ワイのキュートなお腹からキュウキュウ可愛い声が聞こえんねんけど〜?』
そんなことっ?
いま、めちゃくちゃ大事な話をしてたんだけどっ
フーちゃんのキュートなお腹からの声はさておき、
確かにそろそろお昼の時間なんだよね。
・・・そーなんだけどさっ!
もうちょっと親身になってくれてもいいと思うんだー。
チラッ
『もうちょい先に行ったところに、ちょうどセポがあるわ!そこで昼にしよっ!なっ?』
「ハイハイ。わかりましたよー!」
何も言わずにズーマがセポへと向かってくれている。
ズーマ・・・ほんといい子なんだからっ!
レベルが上がったことで、ズーマの移動速度も更に上がっている。
ズーマってどこまで速くなるんだろ?
今でも充分速いのに、このままどんどんレベルアップしていくと、とんでもない速さになりそうな気がして・・・。
そのうち周りから見えなくなっちゃいそう。
そしてフーちゃんが言っていたとおり、少し走ったところで、セポが見えてきた。
今にもフーちゃんがズーマから飛び降りて、先に走って行きそうな気配だったので、慌てて止める。
「フーちゃんっ!誰か他にも冒険者がいるかもしれないから!ダメだよっ!」
『!!!そやった。
ついウッカリ。お昼が楽しみすぎて忘れてたわ!』
危なかったー!
ほんと、ついウッカリじゃないんだからね!
他の冒険者に見られちゃったら、言い訳のしようがないんだからっ!
セポの入り口でズーマから降りて、押しながら入っていく。
セポの中に入ると、5人組の冒険者が2組それぞれで固まって座っていた。
右側にいるのは、男性3人、女性2人のパーティー
左側にいるのは、男性5人組のパーティー
だった。
・・・すっごく見られてる・・・。
とりあえず「こんにちは〜」と軽く挨拶しながら空いている奥のスペースへ向かい、アイテムボックスから椅子を出して座ってみる。
・・・この空間じゃフーちゃんご飯食べられないじゃんっ!
(どーする?)
(テント出そうやー!せっかく買ったんやし!)
(あっ、そーだね!じゃないとご飯が食べられないもんね!)
そうと決まったら!
早速、テントをアイテムボックスから出して広げていく。
他の人の視線は気にしない!
気にしない!
星屑マーケットのおじさんに教えてもらった通りにテントを建てて、ささっと中へと入る。
よかったー!
めちゃくちゃ簡単に組み立てられたよっ!
テントの中は、広さも十分ある。
この大きさのテントを一人で使ってるのは、贅沢だよねー。
(よし!じゃあパパッとお昼を食べちゃおう!)
(今日の昼はアレに決めたで!!!カツ丼や!
昼からも勝って、勝って、勝ちまくらなあかんからなー!)
(カツ丼ね(笑)ゲン担ぎしすぎだよー!)
握り拳を天井に向けているフーちゃんを横目に、アイテムボックスから予め買って入れておいたカツ丼を2つ取り出す。
あと、サラダと豚汁。・・・っと。
テーブルの上に並べるだけで、ほかほか出来立てのカツ丼定食の出来上がり〜!
パチパチパチパチ
(それじゃあ、いただきまーす!)
(待ってたでー!いただきまーすっ!)
フーちゃんの小さな体のどこに入っているのか分からないけど、一人前をペロッと平気で平らげてしまうのだ。
しかも、食べるのが早い。
(もうちょっと落ち着いて食べなよー)
(ガブガブ・・・モグモグ・・・
ごちそーさん!美味しかったわー!
ほな絃もはよ食べて、狩りにいくでー!)
(まだ食べてるからっ!もうちょっと待ってて!)
フーちゃんに急かされつつも、しっかりと食べ終えて片付けてからテントを出る。
テントを出て周りを見回すと、さっきまでセポの中にいた2組のうち、1組はすでにいなくなっていた。
残っていたのは、セポに入ってから左側にいた男性5人組のパーティーだった。
さっとテントを片付け終えたところで5人組のうちの1人、猫目でヒョロッとした優しそうな人が話しかけてきた。
「こんにちは〜。きみ、ダンジョンの中を自転車で走ってるって噂の子だよね?
もしかして、1人で3階層まで来てるの?」
・・・やっぱり目立つもんね。
もうズーマのことを聞かれるのは慣れっこになりつつあるから、冷静に答える。
「そうなんです。目立っちゃってますよね・・・!
まだパーティーを組んでいなくて、1人で潜ってます!(ほんとは1人じゃないんだけどね)」
「急に話しかけてごめんね〜。
こんなに可愛い子が自転車で、しかも1人でいるからびっくりしちゃってさ・・・。
つい声をかけちゃった。でもこの3階層を1人で潜るのは危ないよ?
俺たちのパーティーでよければ、一緒に周る?」
と優しいお誘いをしてくれた。
後ろにいる4人も「うんうん」とうなずいている。
でも・・・フーちゃんとズーマがいるのに、知らない人達とは行きづらいし。
私にはフーちゃんとズーマがいてくれれば十分だ。
申し訳ないけれど、お誘いはお断りさせていただく。
「お誘いありがとうございます。でも、危なくなったら自転車で逃げられるし、1人で平気です!気にかけてくださってありがとうございました!」
「・・・そっか〜!
俺たち、まだしばらくは潜ってるから、また会ったらよろしくね。
・・・それじゃあ、気をつけてね。」
そう言って5人組は、ニコニコと手を振りながらセポを後にした。
そんな彼らの事をフーちゃんがどんな表情で見ていたかなんて、その時の私は、全く気が付いていなかった——




