34 モテ期!?
大和くんからのお誘いに嬉しくなる。
三人と一緒にダンジョンに潜るの、楽しそうっ!
ぜひ行ってみたいと思う!
しかし・・・そこで山田くんの存在を思い出す。
さっき誘ってくれた山田くんに返事をしていなかった。
山田くんのことを断って、大和くん達と行くって言うのはだめだよね。
チラッ・・・と山田くんの方を伺うと、大和くん達を見て厳しい表情をしていた。
男友達も多くて、気さくな山田くんが珍しいな・・・?
「神楽の知り合い?・・・俺、山田 涼。神楽と同じ高校のクラスメイトで、ちょうど一緒に潜らないかって話してたところ。」
山田くん・・・ほんとどうしちゃったんだろ?いつもの元気印が身を潜めていることに不思議になる。
「ごめんっ!話に割り込んじゃったんだね!俺は、真白 大和だよっ♪よろしくね!」
「東雲 聡だ。」
「一ノ瀬 蓮。」
山田くんの態度の悪さを気にすることなく、大和くんが自己紹介する。
東雲くんと一ノ瀬くんは、涼しい顔で簡潔に自己紹介した。
な、なんだか空気が悪いっ!
男の子の間に挟まれて焦る日が来るなんてっ!
もしかして・・・これがモテ期!?!?!?
なんて盛大にボケてる間に、大和くんが山田くんに話しかけていた。
「絃ちゃんと潜る予定にしてたなら、俺らと一緒に行かないー?五人いれば安心だしね♪」
「・・・いいのか?一人で来てるから、一緒に行ってくれるならすげー助かるけど。」
え、この五人で行くの!?
・・・私、いらなくない??
なんだか、お断りしたくなってきたなー・・・
「えっと・・・今回は」
「やったー♪じゃあ、五人でパーティ申請しよ♪」
お断りしようと思ったところで、大和くんの声にかき消されてしまってなんだかんだ行くことになってしまった・・・。
(ええやん!いい機会やから、他の人とパーティ組んでみたらええねん!ワイらだけで行くのもええけど、他人との連携を覚えるんもこれから冒険者をやっていくなら大事なことやで!)
フーちゃんの言葉に納得する。
確かに・・・他の人達と一緒に戦うのもいい勉強になるよね。
やっぱりフーちゃんってここぞって時に頼りになるんだよね!
フーちゃん本人には言わないけど(笑)
(そうだねっ!頑張ってみるよ!)
その後、五人でパーティ申請をして、現在は地下二階層へ到着している。
ダンジョンに入ってからはズーマに乗って、みんなの速さに合わせて進んでもらっている。
ほんと優秀な子だ!
大和くん達は、私がズーマに乗っているところを初めて見たから、とにかく質問攻めだった。
東雲くんにはどんな仕組みで動いているのかとか、スピードはどれくらいでるのかとか分析されまくっていた。
一ノ瀬くんがズーマに乗っている私を見て、少し羨ましそうにしているのを見たのは、秘密だ。
そして一階から地下二階へ降りるときの、大和くんの大興奮ぶりにはびっくりした。
自転車で階段を降りるなんて、普通じゃできないもんね。
山田くんは昨日の爆走を見ていたからか、そんなに驚いた様子もなく静かだった。
いつもクラスで騒いでいる山田くんが・・・!
大和くん達に緊張してるのかな?
それか大和くんとキャラが被って、どうしていいかわからないとか⁈
地下二階に降りてしばらく進んでいると、少し先にホーンラビットが二体いるのを見つけた。
「お、ホーンラビットが二体もいるじゃん!ラッキー♪えっと・・・蓮と涼くんだね!」
地下二階に来るまでにそれぞれの武器や戦闘方法について詳しく話した。
大和くんのエアガン、東雲くんの杖、一ノ瀬くんの刀。
そして山田くんの武器は、剣だった。
山田くんは冒険者になってからダンジョンに潜るたびに、ギルドでパーティ編成をしていたらしい。
毎回違うメンバーと組んでいたけど、いつも前衛で、先制攻撃をしていたとのことだった。
私たちはまず戦う順番を決めて、魔物が現れたらその順番ごとに倒していくことに決めたのだ。
ちなみにジャンケンで決めて、一ノ瀬くん、山田くん、大和くん、東雲くん、私の順番だ。
ジャンケン、私が一番弱かったな・・・。
一ノ瀬くんと山田くんがホーンラビットへと近付いていく。
残った三人は周囲の警戒と、魔物への警戒をする。
もし誰かが苦戦していたら、すぐ助けに入れるようにするためだ。
あのホーンラビット素早いんだよねー。
昨日は、ズーマのおかげでいっぱい倒せたんだもんね!
一ノ瀬くんはホーンラビットに気づかれない位置で立ち止まり、そこから構えて
「一閃」
スパーンッ
少し先にいるホーンラビットが真っ二つになった。
さすがだ・・・!
この前見たときはステータスを獲得する前だったからスキルは使っていなかった。
それでも凄かったのに、スキルを使うと段違いだった!
気づかない間に真っ二つになってしまったホーンラビットが可哀想に思えてくる。
一ノ瀬くんのスキルに驚きながら、山田くんがもう一匹のホーンラビットへと走っていく。
走るのが速いっ!
そう言えば、体育の授業で50m走をしたとき男の子の一番は山田くんだった気がする。叶さん達が「かっこいい〜♡」って騒いでいた。
ちなみに、女の子の一番は陽菜だった。
陽菜、かっこよかったな〜!
私はというと・・・ちょうど真ん中くらいだった・・・。
ホーンラビットが山田くんに気付いて、戦闘体制を取っている。
山田くんが走りながら、剣を振り下ろした。
・・・避けられたっ!
え?
避けられたかと思った攻撃が、見事に命中していて、ホーンラビットが倒れていく。
「外れたと思ったのにっ!当たってたの?」
「俺も、外れたと思ったよー!涼くんのスキルかな?」
大和くんも不思議そうな顔をしている。
「確かに外したように見えたが、攻撃の瞬間、山田くんの周辺が少し歪んで見えたな。」
東雲くん、そんなのが見えたの⁈
「見えたのか?凄いな・・・!俺のスキル、幻覚を使ったんだ!正面から切ったように幻覚を見せて、実は後ろから回り込んで切ったんだよ!」
幻覚スキル!前からきた攻撃を避けたと思ったら後ろからグサッとね!
自分がやられたら、めちゃくちゃ怖いやつだー!
「東雲、凄いな!幻覚を作り出した時の歪みを指摘されたの、お前が初めてだぜ!てか俺も、聡って呼んでいい?あ、俺の事は涼でいいぜー!」
戦闘が無事に終わってほっとしたのか、いつもの山田くんに戻って、さっそく東雲くんと打ち解けている。
魔石を拾って帰ってきた一ノ瀬くんがテンションの高い山田くんを見て、不思議そうな顔をしていた。
一ノ瀬くん、こっちのテンション高い山田くんがデフォなんだよ・・・。
「一ノ瀬くんの一閃、かっこよかったよ!土曜日の時も凄かったけど、今日の攻撃は段違いだねっ!」
「ああ。スキルを獲得して刀も成長しているみたいだ。前とは比べ物にならない程の威力が出せる。」
一ノ瀬くんが刀を見つめながら話す。
一ノ瀬くんにとっての刀がわたしにとってのフーちゃんとズーマなんだ・・・。
柔らかい表情で話す一ノ瀬くんを見てそう思った。
「か、神楽っ!俺の戦闘はどうだった?」
山田くんが一ノ瀬くんの方をチラチラと見ながら話しかけてくる。
一ノ瀬くんはその視線を気にすることなく、山田くんを見つめ返している。
「お疲れ様。山田くんの幻覚スキル、凄かったよ!避けられたと思ったらホーンラビットが倒れて、びっくりしちゃった!」
「そ、そっか・・・」
私の言葉に、山田くんが照れながら笑っている。
コソッ
「涼くんって・・・もしかして、絃ちゃんのこと・・・?」
「そうだろうな。最初に会った時の態度で気づいていた。」
「えーーー!?」
・・・なんて、大和くんと東雲くんが話していることには全く気がつかなかった。




