29 ボ、ボス級⁈
狼の背中に何かある・・・?
何があるのか、目を凝らして見てみると、虹のようなものがうっすらと見えた。
虹色に光っていて、蜃気楼みたい・・・
「フーちゃん、あの狼の背中に何か見えるんだけど・・・」
『なんかってなんや?あれは・・・虹⁈あいつ、背中に虹乗せてるんか⁈』
「確かに虹みたいだけどっ!虹って背中に乗るのっ?」
『頑張ったら乗るんちゃうか?・・・って!大将が動いたで!!』
少し先で止まっていた狼が、こちらへ歩き出している。
すると、さっきまで晴れ渡っていた青空が嘘のように、一瞬にして真っ暗な空へと変わった。
急に真っ暗になったことに慌てて、上を見上げると夜空に、大きな月が輝いている。
その月明かりだけが、静かに夜空を照らしていてほんのり明るい。
『ワォーーーーン——』
狼が月に向かって吠える。
真っ白な狼が月の光に照らされて、キラキラと輝いている。
きれい・・・——。
めちゃくちゃ幻想的だー!
パシッ、パシッ、パシッ!!
『いとっっっ!しっかりせぇ!!!あいつに気持ち持っていかれてんでっ!!!』
ハッ!!!!
フーちゃんの羽でビンタしてくれたおかげで、意識がはっきりした。
「ご、ごめんっ!あの狼見てると意識がボーっとしてきて・・・フーちゃん、ありがとう!」
『どういたしまして♪ワイは、このサングラスのおかげで幻惑系のスキルは効かへんねんっ!』
ドヤッ!と胸を張っているフーちゃん。
えーー!!!
そのサングラスに、そんな効果があったなんて・・・!
ただのオシャレサングラス?(笑)
だと思ってたよ!
それにしても、幻惑スキルか・・・。
どうやって戦えば・・・目を瞑る?
・・・でも、それじゃ攻撃ができない!
・・・フーちゃんのサングラス!
私にも欲しいよーっ!!
『これからどうやって戦うかやな!今のワイらより、遥かに格上やで!』
「そ、そうだね・・・!でも!私たちの戦い方は、やっぱりこれしかないよねっ!!」
『そやな!ワイらにはこれしかないねんっ!ズーマ、爆速・回避・硬化でガンガン攻めるで!絃はあいつの幻惑スキルがやっかいやから、目瞑っとくか⁈』
フーちゃん、私と同じこと考えてるじゃんっ!
でも目を瞑ったら前が・・・
『安心せぇ!ワイが絃の目になったるから!』
「・・・わかった!フーちゃんに任せるねっ!」
『おう!いっくでぇー!!!』
狼を見ないように目を瞑り、ペダルを漕ぎはじめる。
目を瞑ったまま自転車に乗ったことなんて、あるわけないじゃんーー!
怖いっ!けど、信じてるからね!フーちゃん!
「フーちゃん!ズーマ!よろしくねっ!」
目を瞑ったままだと、いつもよりスピードが出ているように感じる。
『まずはそのまま真っ直ぐ突っ込むで!』
フーちゃんの言葉を聞いて、狼へ向かって直進する。
が、何かに当たった感覚はない。
『次、右や!』
『左!』
『真っ直ぐ行って、右!』
フーちゃんの指示通りにハンドルを動かしていく。
しかし、狼に攻撃が当たることはなかった。
『あいつ!めっちゃ逃げ足速いでっ!ヤバイっ!!!!右や!右にいけっ!』
フーちゃんの慌てた声に、慌ててハンドルを右に切る。
ドォーンッ!!!!
「きゃっ!」
轟音がしたと思った瞬間に横から爆風がきて、ズーマから投げ飛ばされてしまった。
「いたた・・・フーちゃん、ズーマ!大丈夫っ⁈」
『ズーマの硬化のおかげで、ワイらは全然大丈夫や!絃はケガしてないか⁈』
「ちょっと擦りむいちゃったけど、大丈夫だよ!」
『後でポーション使うで!今ははよズーマに乗りや!また攻撃くんでっ!』
狼の攻撃に備えて、急いでズーマに乗る。
膝と肘の擦り傷がズキズキ痛いけど、今はそれどころじゃない。
「すごい衝撃だったけど、どんな攻撃だったの?」
『なんや三日月みたいな形した斬撃やったで!あれはヤバイッ!絶対にまた打ってくるから、振り落とされんようにしっかり握っときや!』
しっかりとハンドルを握って攻撃に備える。
『っ!!!三日月の斬撃が三回くるでっ!』
『左!』
ドォーンッ!
『右!』
ガァーンッ!!
うっっ!急いで右に避けたけど、攻撃が後輪に当たったようでバランスが少し崩れた。
衝撃で落ちそうになるが、振り落とされないようにしっかりとしがみつく。
『すぐ左や!』
さっきの攻撃で落ちそうになりながらも、左にハンドルをきる。
見えていない状態で左右からの攻撃に対処するのは、めちゃくちゃ難しいっ!
フーちゃんの指示ですぐにハンドルをきったけど、避けきれなくて最後の攻撃が直撃してしまった。
ズーマ硬化で緩和されていてもかなりの衝撃があり、飛ばされないように必死にしがみついたけど、ダメだった。
ズーマから投げ出されて、地面に叩きつけられたあと三回転してから止まった。
「ぐっ、ゲホッ・・・」
『絃ーッ!!!』
フーちゃんが急いで走ってきてくれてるのが、遠目に見える。
・・・痛い・・・口の中も切れてるし、何より肋骨の辺りがすごく痛い。
肋骨が折れてる気がする・・・。
『絃ッ!動けるかっ?すぐにポーション飲むんやっ!』
フーちゃんの言葉に頷き、動きづらい体を必死に動かしてアイテムボックスから中級ポーションを取り出した。
『飲めるかっ⁈一気にゴクッとや!』
小瓶に入った中級ポーションを一気に飲み干すと、体が淡い光に包まれ、怪我が治っていく。
あ、痛みも引いていく。
「・・・治った。フーちゃん、心配かけてごめんね。」
『グスッ。全然心配なんかしてへん!絃なら大丈夫ってわかってたからなっ!ズビッ』
フーちゃんが背中を向けて、鼻を吸っている。
『やっぱ、絃が目を瞑ったままやと難しいな!
どーにかせんと・・・!』
スピードも攻撃力も、これまで戦ったホーンラビットやアッシュウルフとは桁違いだ。
今のままじゃ、勝てないっ・・・!
最後まで読んでくださってありがとうございます✨
感想・レビュー・お気に入り登録、めちゃくちゃ励みになります!
それでは、また次の話でお会いしましょう!!




