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19/41

18 ステータス獲得⑤!?

 




「・・・と!・・・いと!——ッいと!」




 ハッ!

 誰かに呼ばれて、慌てて目を覚ます。


「いと!何回も呼んでるでしょ!早く起きなさいっ。朝ごはん、出来たわよ。」


「お、お母さん・・・?」


「どうしたの?まだ寝ぼけてるんじゃない?支度して、早く降りてきなさい!」


「はーい。」


 身体を起こしてどこにいるのか確認する。


 そうだ、ここは私の部屋だ。

 ・・・なんだか、すごく嫌な夢を見ていた気がする。




 時計を見ると時刻は7時を指していた。

 ヤバいっ!早く準備しないとっ!

 私は着慣れた制服に素早く着替えた。


 あれ?制服ってこんなだっけ?

 いつもの着慣れた制服のはずなのに・・・。

 なんでそう思ったのかはわからないが少し、違和感を感じた。


「早く行かないとっ!」


 バタバタバタッ!


 いつものことなので、足を踏み外さないように駆け降りるのには慣れている。

 階段を駆け降りリビングへと急ぐ。


「もー!絃は毎日毎日慌ただしいわねー!

 響を見習って、もう少し早く起きる練習をしなさいっ!」


 リビングに入るとお父さん、お母さん、響が座っていて、私を待ってくれていた。


「絃、早く座りなさい。食べるぞ。」


「お姉ちゃん、おはよー!」


「お父さん、響、おはよー!」



 私は響の隣へと座る。


「「「「いただきます!」」」」



「はぁー・・・!お母さんのお味噌汁、美味しいー!体に染み渡るー!」


「なぁにババくさいこと言ってるのよ!毎日食べてるでしょ。」


 そうだ。毎日食べてるはずなのに、どうしてこんなに懐かしい気持ちになるんだろう。


「お姉ちゃん、後ろの寝癖すごいから、後でちゃんと直しなよ。」


「ほんと⁈急いで食べなきゃー!」


「こらこら。ゆっくりよく噛んで食べなさい。」


「ほんとそそっかしいわねー!一体、誰に似たのかしら?」


「・・・絶対、お母さんでしょー!!!」



「「「「ぷっ、あはは」」」」



 私の、いつもの穏やかな日常。



 大切な——家族——




 夢の中での私は、何か大切なものを失くして、ひとり孤独に戦っていたような気がする。

 今まで悪夢を見てたみたい。


 こっちが現実よ。


 この暖かな日々が私の現実なの——。




「お姉ちゃん、僕、先に学校に行くからね。遅刻しないように、ちゃんと余裕持って出なよ。」


「響っ!わかってるよー!いざとなったら自転車ぶっ飛ばすから!任せといてー!」


「・・・それが危ないから言ってるんでしょ。」


「わかった!わかった!後で追いかけるからー!いってらっしゃい!」


「いってきます。」


 可愛い一つ下の弟、響を送り出した後、私も急いで学校へ行く準備をする。

 ——響、元気そうでよかった。



 ???




 元気そうでよかった?響はいつも元気なのに・・・。

 なんだかよくわからない気持ちになる。

 まだ悪夢を引きずってるのかな。


 よしっ!今日も元気に、頑張りますかっ!


「いってきまーす!!!」


 ドアを開け、自転車の元へと走り寄る。


「私の自転車ってこんなだっけ?


 それに・・・・・・アヒル?」



 自転車のハンドルの上にアヒルが乗っていた。

 自転車にこんなの付ける趣味はなかったはず・・・。

 なんで付いてるんだろ?




 うっ!突然頭に痛みが走った。





 ——『(自称)自転車の妖精、不死鳥のフェニックスとはワイのことやで〜!』


 ——「はいはい。不死鳥のフェニックス、フーちゃんね!」


 ——『なんやねん。フーちゃんて、ワイはもっとかっこいい呼び方が——!』


 ——(お、おう。確かに、ヤバそうなやつやな!ただ、ワイらには敵わへんで!)





「・・・フーちゃん?」





 ぱぁっ——



 突然、ハンドルの上に乗っていたアヒルが光り出した。



『ぷはーっ!やっっと息ができるー!ワイのキュートな羽がカッチコチになってもうたわー!』


 フーちゃんが腕をぶんぶんと振り回している。

 ひどく懐かしさが込み上げてきて、なぜか目に水が溜まってくる。


『ようワイのこと思い出してくれたなっ!おかげで動けるようになったでー!


 ほら、自転車もこの通りやっ!』


「っ!!」


 私の自転車も進化した電動自転車へと戻っていた。



「フーちゃん・・・ここがどこかわかる?」


『ここは、絃の精神世界っちゅうやつやな。あの黄金スライムに、精神攻撃されたんや。絃にとって居心地のええ世界を見させて、ここから出さんようにしてるっちゅうことや!』


「そんなっ!どうすれば現実に戻れるの⁉︎」


『それはもちろん、元凶の黄金スライムを倒すしかないやろー!』


「でもっ!スライムがどこにいるのかわかんないよ?」


『大丈夫や!このチャンリンコがちゃーんとスライムのところまで運んでくれるわ!ワイらチームで、家族やろ?安心しぃ♪


 せやけど・・・あの黄金スライムを倒すには、弱さに漬け込まれんような、"強い心"が必要なんやで!』


「わ、わかった!」


 自転車に跨ろうとして、ふと思い出す。

 そうだ!この子に名前をつけようと思ってたんだっ!


 えっとー、チャリーナ!

 は違うか、チャリコ・・・

 いや、女の子かわかんないしっ!


 爆走、ズーマ・・・。




 ズーマ(Zoomer)!



「あなたの名前っ!〈ズーマ〉はどうかな?いつも勢いよく走り抜ける姿がかっこいいから!」



 私がそう言うと、自転車、いやズーマが桃色に強く光った。

 光の色で感情を表してるのかな・・・!!



 多分桃色は・・・喜びだよねっ!

 今まで桃色に光っていた時のことを思い出す。



「喜んでくれてよかった!ズーマ!さっそくだけど私、黄金スライムのところへ行きたいの!連れて行ってくれる?」


 ズーマが黄色く光る。オッケーってことかな?


 私はすぐにズーマへ跨り、ペダルを踏んだ——。





 ・・・黄金スライムの元へと向かいながら、考える。



 ここは、私の精神世界だと言っていた。


 家族みんなで過ごしていた、すごく幸せだった時を見せられたのね・・・。


 何気ない毎日が本当に、幸せだったんだ・・・。







 すごいスピードで走っていたズーマが、減速し始めた。



 ——・・・いた。




 空き地の真ん中で佇んでいる、黄金スライム。





 この世界でこのまま、楽しい日々に浸っていられたらどれだけ幸せだろう。


「でもそれは・・・過ぎ去った過去よ!


 現実世界では、生死の境を彷徨いながら、戦っている響が待ってるの!

 私はこんなところで、立ち止まってなんかいられない!

 響を治せるスキルを手に入れて・・・必ず——響を目覚めさせるのっ!!」


「ズーマっ!お願いっ!〈爆速〉で黄金スライムに突っ込んで!」


 黄色く光り、私に応えてくれる。



「ブォオオオオンッ!」


 ズーマの爆速に土煙が舞う。


 戦う準備は整った。

 フーちゃんとズーマと一緒に、あのスライムを倒すんだっ!



『ターゲットロックオンや!いったれ、ズーマ!・・・お、敵さん攻撃してきよるで!回避や!』



 黄金スライムが不気味に輝く針を繰り出し、次々と放ってくる。


 あんなのに当たったら・・・考えただけでも震えが止まらない。



 スライムの針が風を切る鋭い音が耳をつんざく。




 シュシュシュッ——



 ズーマはその攻撃を目にも止まらぬ速さで躱しながら、加速していく。


 痛いっ!


 スライムの放った針が、少し絃の左頬をかすめた。

 頬から出た血が粒となって飛んでいく。


「でもっ、回避成功っ!あと少しでスライムに届くっ!」



 黄金スライムの体が、目の前へと迫る。


 スライムはズーマの速さに対応しきれていないようで、攻撃できそうにない。



「今だっ!!!」




 ッッドン!!!



 重たい衝撃音が鳴り響き、スライムが倒れていく。



 ドォ——ン



 スライムが倒れたことで、土埃が舞っている。


 黄金スライムを轢いた後、ズーマは少し離れたところで停止した。


「はぁっ、はぁっ」


 呼吸が荒くなるのを感じながら、目を凝らしてスライムが倒れていくのを見守った。




 そして——



 ——ピロリロリーン


 ▶︎《ラディアント・スライム討伐完了。》




 パキッ、パキッ、パキパキ——


 精神世界が崩れようとしていた。


 現実世界に、戻れるっ・・・!





最後まで読んでくださってありがとうございます✨


感想・レビュー・お気に入り登録、めちゃくちゃ励みになります!

それでは、また次の話でお会いしましょう!!


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