表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/429

6話 コロネは細い方から食べる派です

志希はカタマっている

「······。何あれ?」


時間にして3分は経過しただろうか?漸く絞り出した第一声はこれだった


「いやいや、待って!?昨日植えた種だよね?何で葉っぱ青いの??何で光ってるの???てか、そもそも何で木になってるの???」


早口で問いかけるが、答えは返ってこない


(今日は朝から何なの?目が覚めたら光る球体が浮いてるし、バイト先では球体が僕にしか見えてないみたいだし、帰ってきたら昨日植えた種が青い葉茂らせて木になってるし?しかも光ってるよ!?)


『···光ってるから周りが明るい。これで夜中でもトイレにいける。安心。』


「うんうんそうだね。これで夜も安心···って!?違う!!」


何処からか声がしたので、思わずノリツッコミっぽく返してしまった


「頭がおかしくなったのか?それとも夢か?」


頭を抱えてうずくまると、また声が聞こえて来た


『···お腹すいた。牛乳···飲みたい···』


「···牛乳?まさか?」


カバンの中を見ると、光っていた球体は無くなっていた。


が、代わりに小さな女の子が入っていた


「······。どちら様?何で僕のカバンの中にいるんですか?それと、あの球体知りませんか?」


『···牛乳。』


会話ができてない?いや、互いに言葉は通じているっぽいから、会話は出来そうだ


『······牛乳』


小さな女の子はこちらを見つめて牛乳を欲しています。牛乳をあげますか?

→はい

→イエス

→少女最高!!好きなだけ飲みなさい


何なのこの選択肢?


『···牛にゅ』


「わかったわかった。今牛乳出すよ。とりあえずカバンから出てこれる?嫌じゃなければ手に乗って」


とりあえず牛乳をあげる事にした。


だって話進まなそうなんだもん


少女は僕の手に乗っておとなしくしている


テーブルに少女を移動させて冷蔵庫から牛乳を出し、朝使った深めの皿に注いで少女の前に置いた


『···ありがとう。』


少女は皿を傾けて牛乳を飲み始める


その姿が今朝見た球体と被る


「もしかしてあの球体が君なの?あっ、飲み終わってからでいいよ」


少女は返事をしようとしたのか、牛乳を飲むのをやめたが、僕の言葉に再び牛乳を飲み始める


(よく見ると背中に羽がある。小さい姿で羽のある少女···。ファンタジーで出てくる妖精か?)


牛乳を飲んでいる姿を観察しながら考える


(駄目だ訳がわからない。とりあえず害はなさそうだから、僕もご飯にしよう)


袋からコロネを出して噛る


僕は細い方から食べる派だ


1/3ほど食べるとチョコレートに

あたる


「甘いなぁ。でも今の僕にはこの甘さがちょうど良い」


僕は今、チョコレートの甘さにちょこっと感動している!!


チョコだけに!!


···誰か僕を●して下さい。


『···それなぁに?』


少女は牛乳を飲み終えたのか、僕が

食べているコロネに興味を示した


「これはチョココロネっていうパンだよ」


『···(じーっ)』


「···食べる?」


『···(コクン)』


コロネを小さくちぎり、チョコを塗って少女に差し出した


『···美味しい。甘い。』


少女はコロネのチョコを舐めて笑顔になる


「気にいった?ならもう少し食べる?あっ、牛乳ももう少し出すね」


牛乳を取りに行くついでに小皿を出す。


牛乳を深皿に注ぎ、コロネをちぎってチョコを多めに塗り、小皿にのせて少女の前に置く


『ありがとう。』


少女は笑顔で礼を言うと、コロネと牛乳を食べ始めた。


僕も残りのコロネを食べる


妖精っぽいとはいえ、誰かと一緒にご飯を食べる


久しく無かった事だ


「···やっぱり。誰かと一緒に食べるのは···いいね」


志希はポツリと呟き、笑顔になる


普段は一人きりのさみしい部屋が少しだけ暖かくなった気がした




次回は『君は妖精?違う?精霊でしたか。あの木は···マジで??』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ