23話 完璧な返答だ!!
雨宮さんと話そう
心配事が無くなったのに、すぐに心配事がやって来たよ!?
目の前には雨宮さんがいる
「すみません。もう一度お聞きます。どこかで···いえ、昨日お会いしませんでした?」
何故か少し冷たい目で質問して来る雨宮さん
どうしよう?なんて答える?
·はい
·イエス
·多分前世でお会いしたかもしれませんね
·もう少しマシなナンパ文句ありませんでしたか?
·ここに伝説の樹は売ってませんよ?
·大丈夫ですか?お薬苦いけど、ちゃんと飲もうね?
·その冷たい目線···我々にはご褒美です!!ありがとうございます!!
まともな選択肢がない!!最後のはただの変態だ!!
(世界樹の樹なら家にありますよ?最近冷たくて、倦怠期かしら?)
(違います。)
まさかの返答が来たよ!?
遂に幻聴が···疲れているのかな···?
「失礼ですが、昨日は買い物以外で外に出ていません。もし、そう思われるのなら、その時にすれ違ったとかではないでしょうか?」
よーしよし!!完璧な返答だ!!
「そうですか···そうかもしれませんね。失礼しました。実は昨日、ある男性に助けていただいて···」
彼女は少し考える素振りをしたが、納得する様に頷き、謝罪してから昨日の事を話し始めた
「···と、言う事がありました。···でも勘違いだったみたいですね。すみません長々とお話してしまって」
「いえ、お気になさらず。誰だって勘違いはありますよ。では、自分は仕事がありますので、失礼します。」
彼女の謝罪に営業笑顔で答え、その場から離脱しようと背を向ける
「はい。失礼しました。お仕事頑張ってください。また此方にも来ますので、その時はまたよろしくお願いいたします。···今度はちゃんとお礼致しますね?」
「だから、お礼はいらないって言っ······今なんと?」
恐る恐る振り返るとそこには眩しい笑顔(目は笑ってない)の雨宮さんがいた
「やっぱりそうですよね···?昨日助けてくれた方ですよね···。髪型は違いましたが、身長と声が同じでしたので、カマをかけさせてもらいました。」
なんてこった!!認識阻害で髪型と服装変えたけど、声までは変えて無かった!!
しかし、まだ乗り切れるはずだ!!
「ハハハ···何を言っているんですか?身長と声なんて似てる人は沢山いますよ?それにその人はすぐに『帰って行った』のでしょう?」
「実は、あの後不思議に思いました。なぜあの方は『あの方向へ走って行ったのかな?』···と」
何の事だ?
「気づきませんか?私はあの方が『店の方へ走っていた所』を声をかけて、助けてもらったんです。そしてあの方は『来た道を戻る方向』に走って行きました。」
「···つまり?」
「つまり、あの方は『なぜ来た道を戻って行った』のでしょうか?
『私が声をかけた時はお店の方向へ走っていた』のに、別れる時は『来た道を戻って行く』のは不思議に思いませんか?それに···今『帰って行った』と言いましたね?」
しまったぁ!!そうじゃん!!やらかしたぁ!!いやいや、まだ乗り切れるはず!?
「それは目的地が途中にあって、送ったから戻ったのでは?」
「そうかも知れませんね。しかし、あの道は自転車で通るには細い道しかなく、周りにお店はありませんでした。でもあの方は戻った···なぜかしら?」
ぐぬぬ···よく知ってるなぁ···
「途中で自宅や友達の家があったとか?」
「それもあり得ますが、残念ながら違いました。」
彼女は首を横に振る
「?どうして言い切れるんです?」
「あの周辺一帯を調べました。あの方を知っている人がいないか、一つ一つ、一人一人、念入りに···ね?」
そう言って彼女は怪しい笑顔を浮かべた
どうしよう···とんでもない人を助けてしまったみたいだ
次回『気にしないで欲しいな』




