12話 色々と駄目だから!!
バイトから帰って来たよ
「疲れた。これからどうしよう···」
志希はバイトからの帰り道、悩みながら自転車を走らせていた。
今日のバイトは大変だった
仕事内容はいつもと変わらなかった。
しかし、問題は別にあった
『7人の精霊さん』
何かのタイトルみたい(逃避
今朝バイトに行く時、7人の精霊さん達がついてきた
周りからは『視覚不可能·接触不可能·感知不可能』の安心仕様だった···が、問題は昼休憩の時に起きた
賢い人達は既に理解しているだろう
『精霊さんの昼ご飯』(牛乳×7)
ハイ。
精霊さん達を
·『見えない』
·『触れない』
·『感知できない』
状態であっても
牛乳が『減っていく』のは『見える』
牛乳パックには『触れられる』
飲む音は『聞こえる』
そこを心配したが、精霊さん達が『触れている〖モノ〗は阻害する事が可能』だった。
では『何が問題か?』というと
牛乳(小)とはいえ、『7個も買って休憩スペースで飲む人』はいないよね!?
仮に飲むなら『大きい牛乳』買うよね!?ねっ!?
つまり、問題は僕の怪しい行動だった···
仕方ないので昼休憩(4個)と午後の小休憩(3個)に分けて、ロッカーで精霊さん達に牛乳渡したよ···。
でも、不思議に思われただろうね
一応言い訳用意したよ···
『背を伸ばしたい』ってね···
レジ係の風間さん(女性·一児の母)には暖かい目で見られたよ(泣
「(やっと帰ってこれた。)ただいま~」
「オカエリナサイマセ。アルジサマ」
「ただいま。···って、何で声が?精霊さん達の声じゃないよね?」
『世界樹の声。』(白色の精霊さん)
「······あっ。ソウデスカ···」
バイト先の悲しい出来事を無事(精神ダメージ80%)乗り越え、自宅へ帰ったところ···。
世界樹がお出迎えしてくれた
何を言ってるのかわからないと思うけど、目の前の世界樹が、ホログラムで『オカエリナサイ。アルジサマ』と表示して音声出力までしている
うん。遂にここまで来たか
世界樹は玄関の真正面の窓に置いてあって、玄関を開けると見える位置だ
ホログラムを出している世界樹を見つめる···
『世界樹を見つめる時、世界樹も見つめているのだ。』(赤色の精霊さん)
そんな丸パク哲学要りません。
てか、世界樹に目はない···よね?
深呼吸···深呼吸······暫くお待ち下さい······
よし。受け入れた。
さぁ夕食作ろ
荷物を部屋に置き、冷蔵庫から夕食の食材を出して調理開始
今夜は野菜炒め(コンソメ醤油味)と白米と味噌汁だ
キャベツを洗い、ざく切りにして水気を切る為にザルへ
次は人参を薄く短冊切りにして、小さなボウルに入れる
あとはもやしと豚肉だけだ
豚肉を切り終えた時、目の前にホログラムが展開して世界樹から音声メッセージが来た
「アルジサマ。『ヤサイノハイキブブン』ヲクダサイ。キュウシュウシタイデス」
「(あっ!大根あるから、ついでに味噌汁に入れるか···)ん?野菜クズ?いいよ~。誰か世界樹にあげて~。」
『『は~い』』
精霊さん達が野菜くずを世界樹の元へ運んで行く
もう驚きません。逆にゴミ減って助かるよ
さて、野菜炒めを作ろう
すりおろし大蒜を軽く炒め、人参を投入。続けて豚肉も投入。軽く火が通るまで炒め、キャベツ·もやしを投入して少量の水で溶いたコンソメを投入し、蓋をしてキャベツが軽くしなるまで待つ
キャベツがしなったら軽く混ぜ、生姜醤油で香りつけして全体的に火が通ったら完成
···これは野菜炒めと言えるのだろうか?
まぁいいや
大根は『おろし』にしておき、味噌汁に入れる事にした。
野菜炒めを皿に盛り付けて、味噌汁はまだ作らずにテーブルへ共においておく
白米はもう少しで炊けるようだ
料理が終わったので、世界樹を見に行くと、精霊達が野菜くずを世界樹の根元に刺していた
「そんなに刺してもすぐには無理···って、吸収してるみたいだね···水だけじゃ栄養不足だった?」
刺された野菜はみるみる萎み、土へ沈んでいく
「イエ、コレハ『タベモノノデータ』ヲトリコンデイマス」
「なら良かった···のか?ところで、音声で話せるとはいえ、片仮名だと読み難いから、読みやすいように変換ってできる?」
「イエス。ヘンカンキノウヲキドウ···。これでいかがですか?主様」
「良いね。じゃあ、ついでに呼び方も変えてくれる?主様は恥ずかしいよ」
「了解しました。次の呼び方から選んで下さい」
·ご主人様
·家主様
·マスター
·お兄様
·お兄ちゃん
·兄様
·お兄ちゃま
·にぃや
·兄君さ「ストーップ!!それ以上はいけない!!色々と駄目だから!!」
慌てて止めました。
僕には12人のシスターはいない
色々あって、呼び名は「志希さん」になりました
うん。音声もお姉さん風にしたよ
機械音声で呼ばれるのはちょっとさみしいので···
なんだかんだとしていたら、炊飯器から『ご飯が炊けた』と音が鳴る
「それじゃ夕飯食べますか」
『『は~い』』
炊けた白米を茶碗に盛る
いい香りが食欲を刺激する
『『(じーっ)』』
「···。」
『『じーっ』』
「······食べる?」
『『食べる!!』』
「そんなに(2合しか)炊いてないから、少しだけだよ?」
『『わ~い』』
炊いたお米の残りは精霊さん達に食べられました
「次からは5合炊きにしよう···。」
次回『ミニチュアみたいだね』




