調査隊
「これは…ピラミッド…?」
「さすが先生の娘さんだ。そうです、日本でも数少ないピラミッドの一つです」
一見するとただの山にしか見えないが、所々生えている木の種類が違う
近くに開けた場所があり、人が居るのが分かる
「あそこに降ります」
二人を乗せたヘリがゆっくり下降していく
「西川先生お疲れさまです!」
数人の部下が声を揃えて言う
「そちらの方は?」
「小嶋君お疲れ様。こちらは教授の娘さんです。今日から捜査に加わります」
「え?大丈夫なんですか?危険かと思いますが…」
それもそうだ、何一つ手がかりがない状態だ
「私の事なら心配ありません。父から色々学んできましたから。それに、たった一人の肉親なんです。ただ待ってるだけにはいきません!」
「そうですか…西川先生、頼みましたよ」
「もちろんです」
「では装備を整えましょうか」
そう言って西川はベストを渡してきた
ベストのポケットにはフラッシュボムやチャフグレネード、無線機が入っていて
もう一つ渡されたベルトには背中側にナイフ、左側にはロープが引っ掛けてある
家から持ってきたアーティファクトを内ポケットにしまう
「お母さん…お父さんを守って…」
祈る様に言うと、何か吹っ切れたように
「さあ西川さん、行きましょう!」
洞窟は一本道だった
数十メートル進むと少し開けた場所に出る
そこには仮設調査室が作られ、有線電話機と外から空気を送るダクト、様々な機材が置いてある
調査隊達が壁のあちこちを調べていたり、壁に沿って横穴を掘ったりしている
しかしそれらはまるで無駄な事だった
壁に手を当て意識を合わせる
「父さんはこの中に居ます」
断言できる。父はこの壁の向こう、しかも何か良くないものと一緒に居る
「本当かい?でもどうやって中に…この扉みたいなものは開かないんだよ」
「これ、破壊しても良いですか?」
物騒なことを言う
「破壊…この洞窟の中じゃ爆発物は使えないよ…」
それは分かっている。でも爆発物を使うわけじゃない
爽には別の方法がある
「少し、離れててもらえますか?」
「あ…ああ」
何をするか分からないが言われた通り少し下がる
「血の盟約に従い、この壁を壊せ…」
次の瞬間、壁が砂のように崩れていく
「えっ?!何をしたんですか?!」
西川と他の調査隊も驚いている
「企業秘密です」
そう言うと、ナイフを構えながら中へ入っていく