エピローグ
「くっさい!やだーーー!!洗っても落ちないーーー!!」
二部屋離れたシャワールームから爽の声が聞こえる
俺も3回ぐらい洗ったがまだ少し臭う
「先生~臭い~」
爽が頭を拭きながら出てくる
もちろん既に部屋着を着ている
「先生、もっと良い方法無かったんですか?」
髪を乾かしながら言う
「いや、俺もまさかあんなのが出てくるとは思わなかったしな…」
しばらくあの辺り一帯は匂いに悩まされるだろう…
「先生、あれは何だったんだんですか?水神様じゃないてますよね」
「あれはな…」
─回想─
「さぁ、終わりましたよ。もうこれで水が出てくる現象は収まります」
「いやあ本当ですか!助かりました!しかしこの匂いは…」
相川が眉をひそめる
「この玉はそのまま祀ってもらって大丈夫ですよ」
「で、さっきのヘドロなんですが、この井戸にいた水神様の残りが暴走したものです」
「水神様ですか…」
「以前の持ち主がこの井戸の為に玉を祀っていたんですが、持ち主が変わり祀り方が変わってしまった為に暴走した様なものです」
「へぇ、そうだったんですね」
「これからはたまには思い出してあげてください、玉をだけに…」
シーン…
「先生、白けてますよ…」
─回想終わり─
「あの時は水神様と言ったが、まぁ、アレだ。知ってる名前を使って説明した方が納得しやすいからな」
「嘘も方便ってやつですか」
「まぁな、で、実際はあの井戸に住み着いた水の精霊が暴走したものだったんだ」
「精霊ですか?神様と関係無いじゃないですか」
「そうだ、しかし以前の持ち主があの玉をを使って神域を作ってしまったんだよ。よほど信仰心が高かったんだな」
「でだ、神域は精霊にとっても居心地が良いんだ。人間だってそうだろ?神社に行って気持ちいいと感じる場所がある様に」
「それで住み着いたと…」
「そうだ、そして持ち主が亡くなって新しい建物が立つ、その時に井戸も塞がれた」
「でも、井戸は"井戸祓い"をしますよね?って、そうか、そうか、精霊に井戸祓いは通じない…」
「うん、種類が違うからな、今まで自分の為に祈ってくれてたのに、今は違う祈りをしている」
「う~ん、水神様を祀ってたのにいつの間にか自分の為に祈ってくれていると思い込んだのね…」
「あぁ、ちょっと可愛そうだな」
「最後はどうしたんですか?」
「俺が引き受けたよ、今は俺の水の精霊の一部になってる」
「よかった、消滅させたんじゃないのね」
「あはは、まだ俺にはそんな力は無いよ」
「それにしても爽の結界は強いな、あんな針みたいな水を防ぐなんて」
「誰の子だと思ってるんですか、防御なら任せてください」
「頼りにしてるよ」
こうして短くも臭い一日は終わった…