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特捜~青少年特殊捜査本部1課2係7班へようこそ~  作者: 八嶋 黎
第3話 戻ってきたR国スパイ(上)(全9エピソード)

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リベンジマッチの内容説明 (12月5日15:00)

――20XX年12月5日 15時00分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス


渦雷(からい)たちはオフィスで仕事をしていた。

今日は平日だが、班員はそろっていた。


霧島(きりしま)嵐山(あらしやま)雪平(ゆきひら)は青少年特殊捜査本部に就職しているため、シフトの日は出勤している。

彼らは基本的に平日のどこかで1日と、日曜日を休んでいた。

今日は3人とも揃っている日だった。

あの暴露大会以降、班の空気が軽くなったようで、3人で会話しているのをよく耳にするようになった。

最近はオフィス内が明るい気がする。



晴野(はれの)は大学生だが、今日の授業は午前中の2コマのみだったため、講義後は特捜に来て業務にあたっていた。

R国スパイの件が片付いた後、兄と会って話し、毒親に対する対応を決めたらしい。

その結果、最近はゆとりのある生活が送れているようだ。

嬉しそうにス〇バの新作を飲みながら、パソコンのキーボードを高速で打っている。



渦雷(からい)雨宮(あまみや)は高校生だが、それぞれが早く帰れていた。


渦雷(からい)はテスト期間中だ。テストは午前中だけなので、その足で特捜に来て仕事をしていた。

ちなみに渦雷(からい)の学校は明日でテスト期間が終わる。

そのあとは免許を取得し、特捜での仕事をこなしながら、大学受験に専念する予定だ。

教習所に通ってはいるが、最近まで行動制限がかかっていたため、未だに実技が突破できていない。

何とか今月中には免許を取得しておきたい。


雨宮はテスト期間前の準備のため、早めに帰宅できていた。

だが、今日の夕方に秘匿班(スカウト)の呼び出しがかかったようで、学校帰りにオフィスに来て、ついでに仕事をしていた。

雨宮の学校のテスト期間は来週の1週間のようで、今週末の土日で仕事を休み、テスト対策の追い込みに充てると言っていた。



東雲(しののめ)は中学生だが不登校のうえに引きこもりの為、いつも7班オフィスの資料室で生活している。

時々オンラインで担任の先生と面談しているようだ。

卒業後はこのまま特殊捜査本部に就職を考えているらしい。

秘匿班(スカウト)だろうか。東雲も何か業務をしているようだった。



先月は月末まで全員がオフィスに泊まり込んでいた。

公安部の許可が下り、5日前に自宅に帰宅したばかりだ。


学校への通学については11月半ばで許可が下りたため、オフィスから登校していた。

総務から必要な書類をもらい、学校側に提出して出席日数にカウントしてもらっているので、留年や内申に対する不安はない。



前回の一件はもやもやすることが多かった。

監視が外れたあとは、班内で情報を共有して今後の方針を決めた。


結果、班の解散や離脱はしないことが決まり、このままのメンバーで業務にあたることとなった。

今まで以上に話し合い、出来る限りの情報共有を行う。

やっと班らしくなったなと、全員がほっとしていた。




各々が業務に取り組んでいると、足音が聞こえてきた。


第二ロックの開錠音が響き、ドアが開く。

入室してきたのは天笠(あまがさ)天道(てんどう)、そして内事(ないじ)1課の斎藤(さいとう)だった。


斎藤さんが居るとは珍しい。


斎藤さんとは、先月まで何度か一緒に仕事をしていた公安内事(ないじ)課に所属する警察官だ。

左手に2つ紙袋を持っている。

変装有りの仕事帰りなんだろうか。お疲れ様です。



「みなさん、お疲れ様です。」

「お邪魔します。お疲れ様です。」

「おまえら仕事や。ミーティングルーム()つきぃ。」


天笠、斎藤、天道がそれぞれ発言する。



「お疲れ様です。」


班員は口々に挨拶を返し、ミーティングルームに着席する。

東雲(しののめ)は遠隔でミーティングルームのカメラの電源を入れ、スタンバイした。


上司2名と斎藤さんからは微妙な空気が漂っている。

いったい何があったんだろうか。


全員の準備が整ったのを見て、腹をくくったかのようにため息をつき、天道が発言する。


「あー。昨日、()()()()()が羽田空港から()()()()。」


ちょっと待て。

()()()()()だと?

渦雷(からい)が詳しく聞いてみる。


「…天道さん、その……アレクセイって、()()、この前のR国スパイの…アレクセイ・アレクサンドロヴィチ・アルチェミエフですか?」

「せやで。」


天道さんにあっさりと即答された。


「は!?公安と入国審査仕事しろ!?」

「しとるでー。現在外事(がいじ)課が追尾(ついび)しとる。入国は…うん。仕方(しゃー)ない。入国審査に公安の情報は共有されてないんや。情報共有せず隠す、日本の体制の最たるものやろうな…。文句()ったらあかん。こればかりは、なかなか変わらへんよ。」


晴野(はれの)が速攻で反応する。

天道は晴野に返答した。


「そして…阿久津(あくつ)の件、覚えとる?あのテロリストの一味と思われる男に、アレクセイ(R国スパイ)が接触しやがった。」

「やっぱり……繋がっていたか。」


霧島の返答に天道と斎藤が頷く。

天笠も頷いていた。



「悪いが安全確保のため、君たちには再度オフィスに泊まり込んでもらう。…これ、良かったら食べてくれ。」

「あ、ありがとうございます。」


斎藤さんはそう言い、紙袋の1つをミーティングルームの机の上に置いた。

中身は差し入れだったようだ。

渦雷(からい)が礼を言い、他の班員も口々に礼を述べた。


「これはアレクセイの昨日の行動と、接触した協力者一覧だ。今はこれだけだが、随時報告を入れるから安心して欲しい。またアレクセイの資料も置いておくから、適宜参考にしてくれ。」


斎藤さんはミーティングルームの机の上に、もう1つの紙袋を置いた。

中身は公安が作成した、アレクセイのファイルのコピーだった。

前回はデータでもらったが、今回は紙ベースで持ってきてくれたらしい。


渦雷(からい)は班員を代表して礼を言った。


「重ね重ね、ありがとうございます。」

「いや。今回もよろしく頼む。……一緒に頑張ろう。」


言葉の最後で斎藤さんは少しだけ微笑んだ。


それを見て天道がお前、そんなキャラだったか?というような視線を送っている。

晴野は小さく「Oh…。リアルなクーデレはじめて見た…。」と呟いた。

晴野の隣に居た雪平は、晴野の言葉にツボったようで、小刻みに震えていた。



《ねぇ、()()?監視はもうやめるって言ったよね?当たり前だけど、もうしないってことでいいんだよね?》

「ああ。この前も言った通りだよ。」

東雲(しののめ)が天笠に念押しし、天笠はそれに答えた。



「にしてもまた厄介な事になりそうだな。」


霧島が呟くと、雨宮が申し訳なさそうに小さく右手をあげた。


「話の腰を折るようで申し訳ありませんが…(わたくし)、来週1週間テスト期間ですの。通学はできるのかしら。……こんな時に、ではありますが…進級がかかってますのよ…。」


そうだ、雨宮は来週1週間がテスト期間だ。

通学は必須になる。


渦雷(からい)自身は試験期間が終わっていたから、この後休んでもテストの結果を受け取るのが遅くなるだけなので、さほど問題はない。

ただ、個人的に通っている教習所に行けず、免許取得までの期間が……実技の期間が延びるだけで。


「あー。すんません。私も大学の必修授業で実習科目入ってるっすー。この2日だけは絶対に休めねぇ…。」


晴野も出席しなければならない授業があるようだった。


「事情は把握した。公安が送り迎えする。このあと学校の時間やスケジュールを共有してもらえるだろうか。」

「承知いたしましたわ。どうぞよろしくお願いいたします。」

「あざます!!助かるー!!」


斎藤に対し、雨宮と晴野は頭を下げ、礼を言った。

話はまとまったようだった。



「何で戻ってきたのか、今んとこ理由はわからへん。…まぁ、()え。入って()たんは仕方(しゃー)ない。…リベンジマッチや。ええかお前ら、絶対にボコボコにすんぞ!!今度こそPNG撃つで!」


前回の鬱憤もあったのだろう。

天道は言葉の後半に怨念を込めて宣言した。


幸か不幸か。

雪辱のリベンジマッチ、開始であった。


3話から5話は、2話のリベンジマッチになります。(予定では)

1話のテロリストも絡んできます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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