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時の伝書鳩  作者: 夜光哉文
第二編
32/54

二十六 ファム

 レオ院長がゆっくりと目を開けた。

 私は彼をあらかじめイスに縛り付けておいた。

 「さて、これでゆっくりお話ができますね」

 彼は目を見開き、身震いをしたが、すぐに諦めたかのようにため息をついた。

 「わかったわかった。なんでも聞いてくれ……」

 「今から一年以内に何か計画していますよね?それを教えてください」

 彼はなぜそれを?と言いたそうな目でこちらを見た。

 「どこまで知っている?」

 「何かある……ということしか」

 なるべく多くの情報を引き出すため、リヨンが関係しているなど、余計なことは言わないようにした。

 「そうか……わかった。話そう」

 

 知っての通り、私は裏ルートから臓器を入手し、世界の大富豪へ移植を行なっていた。

 臓器を提供する中で、もちろん取引先にはこだわりたい。私は様々な組織と取り引きをし、その品定めを行なっていた。

 ある時、優良な取引先を発見した。その組織の名前はファム。普通、裏ルートで手にいれる臓器は、訳ありの場合が多く、品質が低い場合が多い。しかし、ファムは継続的に高品質かつ、豊富な種類の臓器を提供してくれる。私やマフィアはかなりお世話になった。

 だが、私達はそれだけでは満足できない様になった。ファムの企業秘密を知りたくなったのだ。

 そのために、まずは臓器について詳しく調べる事になった。その仕事を担当したのが私だ。

 結果、驚きの事実が明らかになった。ファムから提供される臓器は、全て同一人物ものだということが判明した。同じ臓器を二つ購入し、遺伝子検査を実施すると、それらの遺伝子は一致した。

 このことから、ファムは高度なクローン技術を持っていると推測された。

 私達はそれを欲した。検査で臓器はフランス人の物だと分かったため、現在マフィアが調査をしている。

 

 「で、その都市がリヨン、と……」

 「な、なぜそれを……」

 「どうでもいいでしょう。それで後々、政府にも協力を仰ごうとしているんですね」

 「……」

 「あんたらの強欲がなかったら、世界は平和なままだったのになあ……」

 「どういうことだ?」

 「あなたには関係ないです。じゃ」

 私は部屋を出ようとした。

 「ちょっと、縄を解いてくれないのか?」

 「そのつもりでしたが、冷めました。どうせなかった事になるんで、大丈夫ですよ」

 そう言って、部屋を出た。

 「どうでした?」

 私は車に戻って、修に聞いた。

 「私も君と同じ感想かな。人間は強欲でいけない」

 「ですよね。これからどうします?」

 「まずは、あの取り引きの夜へタイムリープをして、あのワゴンを追跡しようか」

 「でも、あの車の所在は割れてますよ?リヨンから調査した方がいいのでは?」

 「ああ、そうだったね。では、そうしよう」

 私達はタイムリープでリヨンへ戻った。

 「どうです?戦争を止めるビジョンは見えましたか?」

 「いいや、極論マフィアを潰せばいいかとも思ったが、それはあまりにも現実的ではないよね」

 「ですね。それよりも、ファムを潰す方が楽そうです」

 「確かに」

 私達はファムの調査を始めた。

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