殺人
居酒屋を出て外崎を予定通り家に運ぼうとしていると酔っ払って呂律が回っていない舌で喋り始めた。
「つじ〜、俺は嬉しかったんだよ〜。
お前がァ〜俺のぉ〜頑張りをさぁ〜認めてくれたことがさぁ~嬉しかったんだよ〜。
俺はさぁ〜嬉しかったんだよ〜」
何が認めただ、それはお前を飲みに誘うための口実だよ。
同じ事を何度も言ってるし本当に酔っぱらい過ぎだろ、まぁ俺にはそのほうが都合がいいんだが。
外崎に肩を貸しながら歩いていると俺の家についた。
「あれぇ〜?ココドコぉ〜?」
「俺の家だよ、終電も逃したし今日は泊まってけ」
「ありがとぉ〜、助かるよ〜」
流石に外崎に肩を貸しながらぼろアパートの階段を登るはキツかったが、なんとかして登りきり部屋に着くとことができた。
部屋に着くといつも俺が寝てるせんべい布団に外崎を寝かせた。
あとはこいつを殺すだけだ、こいつは今酔っ払っている簡単だ。
なのになんで、こんなに心臓か鳴っているんだ、耳元に心臓があるみたいだ、外崎に聞こえないかすら心配になるくらいだ。
でもお前がちゃんと仕事しておけばこんなことになってないんだ。
だから
「お前が悪いんだからな」
「あれぇ、なんで辻さん包丁を持ってるんですかぁ〜」
横たわってる外崎を刺すのは簡単だった、外崎もほとんど抵抗らしい抵抗もなかった、出来なかったのかもしれないが、今となってはもう分からん。
俺は本当にこれで良かったのか、自分が生き長らえるだめに若者を手にかける、それでいいのか?
「やぁ、お疲れ様。
どうだった?ハジメテの殺人、思ったよりも簡単だったでしょ?
この調子でどんどんと殺っていけよ!
期待しているよ!」
気がついたら黒服の男が横に立っていた。
「俺はこれで良かったんだよな?
なぁ、教えてくれよ!!」
「ハァ?
知らないよそんな事、俺はお前が誰を殺すかなんて関係なかったし。
俺がそいつを殺せって言ったのはお前が、うじうじしていたからだよ。
これで良かっただぁ?
しらね〜よ、テメェで考えろ!
そもそもな、良くないからってお前は死ぬのか?
死なねーだろ、テメェは、何も考えず殺せば良いんだよ!!
ったく、めんどくせぇ野郎だな」
そう吐き捨てると外崎に手を置いたかと思うと外崎はいつまにかいなくなっていた。
布団に広がっていた血もものの見事になくなっていた。
「なっ、後始末は考えなくていいって言ったろ、じゃあ俺はここらで、じゃあな。
次はそうだなぁ、あのうるさい上司はどうだ?」
そう言い残すと、黒服は去っていった。